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平成二十八年二月二十二日提出
質問第一四一号

利用者選択のための貸切バス事業に係る情報提供に関する質問主意書

提出者  階  猛




利用者選択のための貸切バス事業に係る情報提供に関する質問主意書


 「貸切バスの需給調整規制廃止に向けて必要となる環境整備方策等について」(平成十年六月二日運輸政策審議会自動車交通部会答申(以下、「答申」とする))において、「(貸切バスは)利用に当たって事前に事業者を選択することが可能であり、市場における事業者の競争を通じて、良質、安価なサービスの提供を期待しうる事業分野であると考えられる」とし、市場における競争と選択によって価格の下落と併せて安全面を含む質の向上への期待が示された。さらに答申では、市場競争による貸切バス事業の質の向上のためには、「利用者及び旅行業者には、自己の責任の下、貸切バスに関する様々な情報をもとに、運賃のみならず、より良いサービスを評価し、選択し、利用することが求められる」としている。
 しかし、一般の利用者と貸切バス事業者や旅行業者の間には大きな情報の不均衡があることは明白であり、利用者自身の安全確保及び貸切バス事業の健全化に繋がるような利用者による選択を可能にするためには適切な情報提供の仕組みが必要である。この観点から、次の事項を質問する。

一 利用者が「より良いサービスを評価し、選択」(「答申」)するためには、どのような情報が必要であると考えているか。またそうした情報の提供が確実に行われるために現在取っているまたは取ることが検討されている措置をお示しいただきたい。
二 この度の軽井沢スキーバス転落事故では、利用者は旅行業者の販売するツアーを通して当該バス会社の利用に至った。利用者が安全・良質なバスを選択できるようにするという観点からみれば、旅行業者のツアー販売サイトでツアーを選ぶ際にも、ツアーで利用されるバスについて消費者が情報を入手できなければならないと言える。しかし現状では、転落事故に関わった旅行業者を含む多くの旅行業者のツアー販売サイトにおいて、利用するバスや事業者についての情報(運転者の数、バス事業者の加入する任意保険・共済等)は十分に示されていない。
 1 現在、貸切バスを利用したツアーの広告に際し、利用するバスやその事業者についての情報の表示を旅行業者に対して求めるガイドライン等は存在するか。存在する場合は、特に運行会社・実車距離・運転者の数・貸切バス事業者の加入する任意保険や共済の四点それぞれについての表示の要否について、お示しいただきたい。
 2 貸切バスの安全に関する十分な情報が旅行業者のツアー販売サイトにおいて提供されるようにするために現在取られている措置及び今後取る予定の措置があればお示しいただきたい。現在取られている措置がある場合は、なぜ運行業者や運転者の数を始めとする安全に関わる基本的な情報の掲示を行わない旅行業者が依然として多数存在するのかについて、考えられる理由をお示しいただきたい。無い場合は、そうした措置をとる必要性の認識があるかどうか及び現在対策が準備されていない理由をお示しいただきたい。
三 高速ツアーバスの新高速乗合バスへの移行以前には、「高速ツアーバス運行事業者リスト」が存在した。「高速ツアーバス運行事業者リスト」の様に、事業者に関する情報の提供を利用者に行うことを目的とした貸切バス事業者のリストは現存するか。無い場合、作成予定はあるのか。
四 平成二十七年度における、「貸切バス事業者安全性評価認定制度(以下、「安全性評価認定制度」とする)」の認定事業者(二十六年度又は二十七年度に認定)で関東に事業所を置く全二百十九事業者のうち、平成二十五年から二十七年の三年間に何らかの行政処分を受けた事業者は六十九事業者(三十一・五%)に上る。評価別では、三つ星事業者では四十一事業者中十四事業者(三十四・一%)、二つ星事業者では七十二事業者中十九事業者(二十六・四%)、一つ星事業者では百六事業者中三十六事業者(三十四%)となっている。
 1 これら事業者にみられる行政処分に該当する違反事項は、安全性評価認定制度の申請条件や評価基準にみられる「安全性に対する取組状況における法令遵守事項に関する違反」(国土交通省「『貸切バス事業者安全性評価認定制度』の概要」より)に該当するものはないのか。また、「安全性に対する取組状況における法令遵守事項に関する違反」を構成する違反とは何か。
 2 国土交通省はホームページにおいて、安全性評価認定制度の目的として、「貸切バスの利用者や旅行会社がより安全性の高い貸切バス事業者を選択しやすくする」こと、「貸切バス事業者の安全性の確保に向けた意識の向上や取り組みの促進を図り、より安全な貸切バスサービスの提供に寄与すること」の二点を挙げている。認定事業者の約三割が過去三年以内に行政処分を受けており、またその中には行政処分を繰り返し受ける業者が一定数存在する現状において、安全性評価認定制度は利用者の事業者選択に十分に寄与しているといえるか。また、「貸切バス事業者の安全性の確保に向けた意識の向上や取り組みの促進」、とりわけ法令遵守の徹底に繋がっているといえるか。この二点について理由とともにお示しいただきたい。
五 国土交通省自動車局の「輸送の安全を確保するための貸切バス選定・利用ガイドライン(以下、「ガイドライン」とする)」において、「輸送の安全性等を判断する上で参考となる情報」の一つに「国土交通省の行政処分情報」が挙げられている。しかし先述の通り、安全性評価認定制度で三つ星を獲得した事業者でも三割が何らかの行政処分を受けているのが現状であり、単に行政処分歴の有無だけでは安全性の判断に寄与しないのは明白であり、利用者が行政処分の情報を参考にするのであれば違反行為の重大さまで考慮しなければならない。翻って国土交通省の行政処分情報検索システムを見るに、そこでは行政処分事業者名・行政処分の内容・ごく簡単な違反行為の概要・違反点数等が列挙されるに留まり、一般の利用者がそこから違反行為の重大さ、ひいては事業者の安全性を判断するのは困難と言える。
  一般の利用者が国土交通省公開の行政処分情報をどのように活用して「輸送の安全性を判断する上で参考」(ガイドライン)となし得ると想定しているのか、見解を具体的にお示しいただきたい。また、行政処分情報について利用者の利便性を向上させる予定があれば併せてお示しいただきたい。

 右質問する。



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