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平成二十八年三月十一日提出
質問第一八四号

日本国憲法第九十条と特定秘密の保護に関する法律第十条第一項の文言上の齟齬に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




日本国憲法第九十条と特定秘密の保護に関する法律第十条第一項の文言上の齟齬に関する質問主意書


 日本国憲法第九十条では、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない」と示されている。
 特定秘密の保護に関する法律(「同法」という。)第十条第一項では、「行政機関の長は、次に掲げる場合に限り、特定秘密を提供するものとする」と規定されているが、他方、同項第一号では、「特定秘密の提供を受ける者が次に掲げる業務又は公益上特に必要があると認められるこれらに準ずる業務において当該特定秘密を利用する場合であって、当該特定秘密を利用し、又は知る者の範囲を制限すること」が明示され、「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき」との提供にあたっての留保条件が示されている。
 このため、日本国憲法では、会計検査院は、「すべて」検査し、「内閣」は「その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない」との義務を負っているものの、同法第十条の文言は留保条件を付けており、会計検査院は「すべて」の提供が受けられない可能性があるとともに、内閣は国会に提出する義務を怠る可能性が生じる。
 このような観点から、以下質問する。

一 日本国憲法第九十条でいう、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し」の「すべて」の示す範囲について、政府の見解を示されたい。
二 日本国憲法第九十条でいう、「内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない」という規定は政府に「すべて」のものの国会への提出義務を課したものと解すべきであるが、政府の見解を示されたい。
三 日本国憲法第九十条と同法第十条には、文言上は齟齬があると解される。すなわち、実務上の取り扱いではなく、日本国憲法第九十条は、「すべて毎年会計検査院がこれを検査し」と規定するものの、同法第十条第一項第一号では、「特定秘密の提供を受ける者が次に掲げる業務又は公益上特に必要があると認められるこれらに準ずる業務において当該特定秘密を利用する場合であって、当該特定秘密を利用し、又は知る者の範囲を制限すること」が明示され、「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき」との留保事項が示されているが、両者には齟齬があると解される。かかる文言上の齟齬について、齟齬が存在するのか、あるいは存在しないと解しているのか、存在していないと解しているなら、どのような根拠に基づくものか。政府の見解を示されたい。
四 同法第十条の留保条件は、日本国憲法第九十条でいう、「内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない」という規定を損なうものであり、日本国憲法第九十条が要請するところの、国会に対する内閣の義務を怠るものではないか。政府の見解を示されたい。
五 同法第十条第一項第一号でいう「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼす」との規定における「著しい支障」とは誰が判断し、具体的にはどのようなものなのか。かかる規定は、民主主義国家であるわが国の根幹である、国民の知る権利を損ないかねない規定であり、あらかじめ国民に具体的に示されるべきものである。「著しい支障」について、その判断を行う者と具体的な内容について、政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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