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平成二十八年四月十一日提出
質問第二四五号

米軍嘉手納基地周辺で高濃度の有機フッ素化合物(PFOS)が検出された問題に関する質問主意書

提出者  赤嶺政賢




米軍嘉手納基地周辺で高濃度の有機フッ素化合物(PFOS)が検出された問題に関する質問主意書


 沖縄県企業局は二〇一六年一月十八日、米軍嘉手納基地と周辺の河川や地下水を主な水源とする北谷浄水場で、全国の浄水場と比較して高い濃度の有機フッ素化合物(以下「PFOS」)が検出されたことを明らかにした。一四年二月から一五年十一月までの間に、一リットルあたりの浄水で最大八十ナノグラム、平均三十ナノグラムのPFOSが検出されたとしている。日本国内の他の浄水場では最大三ナノグラム(一一年度厚生労働省調査)、沖縄県内の他の浄水場では最大一ナノグラムが検出されているにすぎない。嘉手納基地内の井戸群で一八七〇ナノグラム、同基地内を流れる大工廻川で一三二〇ナノグラムが検出されていることから、「発生源は嘉手納基地の可能性が高い」としている。
 北谷浄水場は、北谷町、沖縄市、北中城村、中城村、宜野湾市、浦添市、那覇市の計七市町村を供給先とする県内最大規模の浄水場である。PFOSは化審法上、難分解、高蓄積、人や高次捕食動物への長期毒性のおそれから、国内での製造・輸入・使用が原則禁止される第一種特定化学物質に指定されており、県民の命と安全に関わる重大な問題である。
 私は、二月二十五日の衆議院予算委員会第三分科会(以下「分科会」)で、沖縄県による基地内への立ち入り調査とPFOSの使用中止を米側に働きかけることを政府に求めたが、その後、米側からは何の対応策も示されていない。
 以下、質問する。

一 在日米軍基地に関わる問題であったとしても、@国内での使用が原則禁止されているPFOSの環境中への漏出は許されない、A飲料水に関わる問題であり、早急な対応が必要である、BPFOSへの対応に当たっても、日本環境管理基準(JEGS)と同様に、適用可能な米国の基準、日本の基準又は国際約束の基準のうち最も保護的なものを採用するとの基本的な考え方の下にすすめられるべきと考えるが、以上三点についての政府の基本認識を示されたい。
二 沖縄県企業局は、一月二十一日付で行った要請に対し、米側がきわめて不誠実な回答を示したことから、二月二十二日付で、再度米軍に対し、沖縄防衛局を通じて、@PFOSの流出源を特定するために、嘉手納基地内の河川、排水路等からのサンプル採取を認めること、APFOS含有の泡消火剤の使用の有無と使用頻度・数量を明らかにすること、B航空機や部品等の洗浄剤など、泡消火剤以外のPFOS含有製品の使用の有無と使用している場合の廃液の処理方法を明らかにすること、CPFOS含有の可能性のある物質が漏出した場合の対応策を明らかにすること、D過去の泡消火剤の漏出の際に日本側への通報を行わなかった理由を明らかにすること、E沖縄県と嘉手納基地の担当者レベルで継続的に調査・協議を行う連絡会議の設置を検討することを求めているが、米側からはいまだに回答が示されていない。ただちに回答を行うよう求めるとともに、米側の回答結果を明らかにされたい。
三 化審法上、航空機や部品等の洗浄剤や作動油へのPFOS含有製品の使用は認められているか。
四 分科会で、米側が二月十七日付の回答で「嘉手納飛行場は、水成膜泡消火薬剤といった製品については、業界の標準的な慣行に従って使用しています。」としている点をただしたところ、政府は「業界の標準的な慣行の内容については確認させていただきたいと思っています。」と答弁した。米国又は日本、国際約束のうち、いずれの基準に基づく慣行を指しているかを含めて、確認結果を示されたい。
五 分科会で、ジャーナリストのジョン・ミッチェル氏が情報公開で入手した資料に基づき、一五年五月二十三日に、酒に酔った米海兵隊員が嘉手納基地内の消火装置を作動させ、約四百ガロンの消火剤を噴出させ、基地外に流出させる事故を引き起こす一方、何の回収措置もとらなかった問題を取り上げたのに対し、政府は当該流出に関する米側からの通報はなく、事実関係を照会中であることを明らかにした。米側の回答結果と政府の認識、今後の対応を示されたい。
六 過去十年間に米側から通報があった嘉手納基地における泡消火剤や燃料等の漏出事案の概要(発生年月日、発生原因、漏出した品目と量、PFOSを含む含有有害物質の種類、基地外への漏出の有無、回収措置の内容、地元自治体への通報の日時と内容)を明らかにした上で、当該流出事案に対する政府の認識を示されたい。
七 一月十八日の沖縄県企業局によるPFOS検出の公表を受けた外務省としての対応を示されたい(米側に要請を行った年月日、日米双方の役職と氏名、文書の有無を含む要請手段と内容)。
八 分科会で、今回のPFOSの漏出が環境補足協定に規定する「環境に影響を及ぼす事故」に該当するかをただしたのに対し、外務大臣は「環境補足協定にあります環境に影響を及ぼす事故が現に発生した場合の立ち入り申請に当たっては、米側からの情報提供が端緒となっていると考えます。」「ただし、米側から通報がない場合であっても、日本側として環境汚染を疑う場合には、別途、既存の日米合同委員会合意に従って、米側に、調査要請あるいは立ち入り許可申請、こういったことを行うことは可能であると認識をしています。」と答弁しているが、これは、同協定がきわめて実効性を欠いた取り決めであることを示すものと言わざるを得ない。「日本側として環境汚染を疑う場合」にも、米側に調査や立ち入りを申請できる仕組みとしなかった理由と今後の政府の対応を示されたい。
九 環境問題の調査団体「The Informed-Public Project(インフォームド・パブリック・プロジェクト)」(河村雅美代表)は、沖縄防衛局が沖縄県企業局の米軍宛要請文をずさんな英訳で提出するとともに、当該英訳文を沖縄県には示さず、また、沖縄防衛局が二月二十二日付で米軍に対して提出した要請文についても沖縄県に示していなかったことを明らかにしている(一六年四月八日、九日付で沖縄タイムス、琉球新報が報道)が、これらの指摘についての事実関係(防衛局内での翻訳作業の具体的手段と担当部署・人員、チェック体制の有無を含む)と政府の認識、今後の対応を示されたい。

 右質問する。



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