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平成二十八年十月三日提出
質問第三四号

自由民主党の憲法改正草案の位置付け等に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




自由民主党の憲法改正草案の位置付け等に関する質問主意書


 平成二十八年九月二十七日、安倍総理は衆議院本会議で、「自民党草案を撤回しなければ議論できないという主張は理解に苦しむ」と答弁するなど、いくつかの質疑に対する答弁で、自由民主党が平成二十四年四月二十七日に決定した「日本国憲法改正草案」(「本草案」という。)に関して、本草案を撤回しないこと、その上で各政党に憲法に関する議論を促していると承知しているが、そもそも本草案の位置付け等に疑義があるので、以下質問する。

一 行政府の長でもあり、自民党総裁でもある総理にとって本草案は、日本国憲法を改正する上で、理想とする条文であり、その目標であると考えているのか。見解を示されたい。
二 本草案をあえて撤回せずに、総理は各党に憲法の議論を促しているが、本草案は、改正のための議論のたたき台的意味合いを持つものなのか、どういう位置付けなのか明確にされたい。
三 安倍総理は、例えば、平成二十八年五月十八日の国家基本政策委員会合同審査会において、「我が党の憲法改正草案でありますが、これは我々が野党時代につくったものでございますが、当時、まさに、約七十年間、指一本触れてはならない、憲法議論はいわばこれはしてはならないという空気を変える大きな一石を投じるものになった、こう思っている」と述べ、平成二十八年三月二十三日の参議院総務委員会では、「自民党は昨年立党六十年を迎えたのでございますが、立党したときからのまさに党是として憲法改正を掲げているわけでございます」「私がということだけではなくて、まさに自民党の総裁であれば、既にそういうお約束をしている以上、その約束を実行していくという責務を負っていると、このように考えております」と表明している。また、安倍総理(自民党総裁)は、平成二十八年七月十一日、自由民主党本部で記者会見し、「憲法改正に向け、未来のために、まさに子供たちの未来のために、「わが党の案をベースにしながら(衆参各院の)三分の二を構築していく。それがまさに政治の技術だ」」と表明し、憲法改正議論にあたり、各政党で憲法改正の案づくりを慫慂するかのような発言をしている。しかしながら、憲法改正に反対の政党もあるし、憲法の条文の全てを必ずしも改める必要がないと考える政党もある。さらには、憲法改正に反対ではないが現状では取り立て急いで改正する条項がないと考えている政党などもあり、各政党には様々な考えがある。このような各政党の方針がある中、改正案づくりを慫慂することは、安倍総理の考えや自由民主党の党是を国会における多数に恃んで各政党に強要することになり、適切ではないと思われるが、見解を示されたい。
四 安倍総理が国会における答弁などで、繰り返し憲法改正議論に言及し、「憲法改正に向け、未来のために」「どの条文をどう変えるべきか」「憲法審査会において、まずは真剣に議論をしていくべきではないのか」などと積極的に踏み込み、日本国憲法の改正に前向きな姿勢を示すことは、行政府の長としての則を越え、日本国憲法第九十九条の「国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」ことに反するのではないか。見解を示されたい。
五 安倍総理は、平成二十八年三月二日の参議院予算委員会で、「私は政府を代表する立場で内閣総理大臣としてここに立っております。憲法改正草案は、御承知のように、これは閣法ではないわけでありまして、政府として提出するものではないわけであります。まさにこれは議会において提出をしていただくものであろうと。だからこそ、憲法審査会がつくられ、そこで各党各会派がそれぞれ今見識を述べているということではないかと、こう思います」と答弁しているが、他方、平成二十八年三月二十三日の参議院総務委員会では、「自民党は」「まさに党是として憲法改正を掲げている」「私がということだけではなくて、まさに自民党の総裁であれば、既にそういうお約束をしている以上、その約束を実行していくという責務を負っている」とも答弁しているが、国会答弁において、総理としての見解と自由民主党総裁としての見解が混在し、整合性が取れていない。安倍総理が国会で答弁したような「自民党草案を撤回しなければ議論できないという主張は理解に苦しむ」あるいは「どの条文をどう変えるべきかということについて、憲法審査会において、まずは真剣に議論をしていくべきではないのか」などの表明は、日本国憲法第九十九条の要請するところに従い、内閣総理大臣としては慎むべきではないか。見解を示されたい。

 右質問する。



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