質問本文情報
平成二十八年十二月九日提出質問第二〇六号
民間地上空でのオスプレイによる吊り下げ訓練に関する質問主意書
提出者 仲里利信
民間地上空でのオスプレイによる吊り下げ訓練に関する質問主意書
去る十二月六日から八日までの三日間にわたり、沖縄県宜野座村城原区の民間地上空で、米海兵隊所属のオスプレイが物資の吊り下げ訓練を行った。また夜間の訓練としては四日連続となった。
ヘリに物資や兵士を吊り下げて移動する訓練は、過去に民間地域への落下事故を起こし、死亡事故まで生じていることから、沖縄県や地元市町村は政府や米軍に対してこれまで訓練を行わないよう強く抗議してきたところである。
しかも、今回は沖縄県や沖縄防衛局が強く抗議し、訓練の中止を求めた翌日及び翌々日の二日間にわたって再度訓練を強行し、さらに今後も同様な訓練を行うことを明言している。
これに対して、沖縄県民は「県民を馬鹿にしているのか」という強い憤りを露わにしている。
そこでお尋ねする。
二 報道によれば、今回のヘリ(オスプレイを含む。以下「ヘリ」と称する)の訓練飛行区域について、住民側は「民間地の上空であった」と主張し、米軍側は「提供施設区域内だった」と反論し、沖縄防衛局側は六日に「区域外と確認した」ものの、中嶋浩一郎沖縄防衛局長が安慶田光男沖縄県副知事と面談した際には一転して「微妙」と説明を変えるなどしており、双方の主張等に食い違いが生じている。そうであるならば真実を明らかにする必要があることから、今回のヘリの訓練飛行区域は六日から八日までの三日間にかけて、提供施設外の民間地上空であったのか、それとも提供施設内であったのかについて、政府の認識と見解を答えられたい。
三 菅義偉官房長官は七日の記者会見で「米軍による航空機の運用については、公共の安全へ妥当な配慮をするのは当然だ」と述べ、さらに中嶋局長が安慶田副知事に対して民間地での吊り下げ訓練は「許されない」との認識を示したとのことであるが、これらの発言の真意は、過去に沖縄で起こった悲惨な事故を教訓に、再びこのような事故を起こさないこと、そしてそのために「ヘリの吊り下げ訓練をさせない」こととの決意の表れであると思われるが、そのような理解と捉え方で良いか、政府の認識と見解を答えられたい。
四 質問三に関連して、そうであるならば、今回のような民間地上空での吊り下げ訓練に対して、政府は「今後断じて許さない」し、米軍に対して「強く訓練の即時廃止を求める」ものと理解してよいか、政府の認識と見解を答えられたい。
五 報道によれば、城原区のヘリパッド「ファルコン」での吊り下げ訓練に対して抗議を行った住民に対して、沖縄防衛局の職員が「特殊訓練だから」と説明し容認する姿勢を示したとのことであるが、吊り下げ訓練のどのような内容や方法が特殊な訓練となるのか、政府の認識と見解を答えられたい。
六 民間地上空でのヘリの飛行や訓練を避けるため、政府は十月下旬に集落の存在を米軍機に知らせるための標識を城原区に設置したはずであるが、今回、この標識は有効に稼働したのか否かについて、政府の認識と見解を答えられたい。
七 十二月六日に中嶋局長が在沖米海兵隊訓練作戦部のテイラー大佐に抗議を行ったとのことであるが、なぜ政府は抗議を行ったのか、その理由と目的について政府の認識と見解を明らかにされたい。
八 質問七に関連して、中嶋局長の抗議の内容とテイラー大佐の返答等その際のやり取りについて政府の承知するところを明らかにした上で、中嶋局長の抗議によりどのような効果や成果を得られたのかについて政府の見解を答えられたい。
九 中嶋局長の抗議の翌日に、米軍はまたしても同様の訓練を民間地上空で実施している。さらに、今後も同様の訓練を継続することを明言している。なぜ米軍は県民等から抗議が相次いでいるのにもかかわらず、訓練の取りやめや訓練方法の見直し、民間地上空への飛行停止を行わないのか、その理由と背景について政府の認識と見解を答えられたい。
十 今回のこのような事案が生じる度に、日米両政府は再発防止策として、飛行経路の変更や、パイロットへの周知徹底等を挙げるが、一向に成果が見えず掛け声だけが勇ましく、空しい限りである。一番の再発防止策は民間地上空での吊り下げ訓練を直ちにやめることであるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十一 沖縄県や地元市町村、住民が事ある毎に日米両政府に抗議を重ねるが、一向に埒が明かない。挙句の果てには政府は「米軍に強く抗議した」と言いながら、米軍や米国政府が反論すると、即座に矛を収めて、逆に米国側の代弁者となる有様である。これでは主権国家として、国民の生命・財産・安全を守ることは到底できないものと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
右質問する。