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平成二十九年一月二十日提出
質問第三号

沖縄県名護市安部の沿岸部で発生した米軍オスプレイの墜落事故後に原因究明や説明がないままに飛行等が再開されたことに関する質問主意書

提出者  仲里利信




沖縄県名護市安部の沿岸部で発生した米軍オスプレイの墜落事故後に原因究明や説明がないままに飛行等が再開されたことに関する質問主意書


 去る平成二十八年十二月十三日午後九時五十分頃、米軍のオスプレイが沖縄県名護市安部のキャンプ・シュワブ沿岸部の浅瀬に墜落し大破するという重大な事故が発生した。
 事故現場は、岸から約八十メートル離れた浅瀬であり、さらに安部の住宅地域から僅か八百メートルしか離れていなかったため、一歩間違えば地域住民の生命や財産、安全が損なわれるという甚大な事態に繋がりかねないことから、住民や県民は強い不安におののき、憤りを覚えている。
 また、墜落機と同様に航行し、その後、墜落機の捜索に当たっていた別のオスプレイが燃料不足のため普天間飛行場に帰還する際に着陸装置に不具合が生じたため、胴体着陸するという重大な事故を起こしており、改めてオスプレイの安全性に疑問と不安が生じている。さらに、日米両政府は墜落事故発生後六日しか経過していない十二月十九日に墜落事故原因の究明や公表、県民への説明を行わないまま一方的に飛行や空中給油訓練を再開した。
 そこでお尋ねする。

一 稲田朋美防衛大臣は、マルチネス在日米軍司令官に「事故に係る原因究明・情報提供、安全が確認されるまでの飛行停止」を申し入れたとのことであるが、マルチネス司令官のその際の返答について政府の承知するところを明らかにされたい。
二 これまで墜落や不時着事故が起きる度に、日米両政府は今回と同様に「安全が確認されるまで飛行停止」を約束した。しかし、その実態は米軍や米国政府が「所定の手続きに従って安全を確認した」と言えば、日本政府は唯々諾々と「飛行の再開を認めた」のである。今回、またしても墜落事故が発生して僅か六日後にオスプレイの飛行を再開し、さらに一月六日から空中給油訓練も再開した。そうであるならば、その再開の理由は何か、これまでと同様に、米軍が「安全だ」と言えば主権国家の誇りを置き去りにして従うことにしたのか、主権国家として政府は「安全確認」をどのように行ったのか、などについて政府の認識と見解を答えられたい。
三 防衛省が平成二十九年一月五日付で公表した「MV−二十二オスプレイへの空中給油再開について」によれば、オスプレイの全搭乗員に対して、天候や飛行条件を事故発生時と同じに設定し、空中給油の手順を確認し、陸上でのシミュレーションなどを完了したとするが、天候や条件、手順、シミュレーション等の内容についての具体的な説明は一切明らかにされていない。また、搭乗員の安全と効率性を最大化することを確認したともするが、何をどのようにすれば最大と成り得るのか、その数値は何かについても一切明らかにされていない。さらに、詳細な教育が行われたとするが、どのような教育をどの程度行ったのかについても一切明らかにされていない。つまり、米軍の説明は美辞麗句を並び立てた、単なる説明であり、内容を伴わない自己満足に終始したものに過ぎないのである。それにもかかわらず、一体政府は何をもって納得したのか、本職は不思議に思える。よって、政府が納得した際の具体的な内容について政府の承知するところを明らかにした上で、米軍のこのような説明でなぜ再開が可能となるかについて政府の見解を答えられたい。
四 質問三に関連して、政府は米軍の説明に対して「搭乗員同士及び航空機同士の連携を向上させた」ことや、「緊急事態への対応を改善した」ことを容認の理由に挙げているが、一体何をもって向上や改善したとするのか、これまた一切明らかにされていない。よって、政府が再開の容認の理由に挙げた「連携の向上」や「対応の改善」の具体的な内容について政府の承知するところを明らかにした上で、そのような向上や改善が飛行や空中給油訓練の再開にどのように関連するのかについて政府の見解を答えられたい。
五 稲田防衛大臣は「防衛省・自衛隊の専門的知見や経験に照らしても妥当だ」とするが、それでは、一体どのような専門的な知見なのか、経験なのか、どのように妥当なのか、などについて政府の認識と見解を答えられたい。
六 質問五に関連して、政府は「米側は、接触を引き起こした可能性があるとして指摘された要因に対し有効であると思われる対策を幅広くとっているものと考えられる」とするが、しかし「安全が保証された」とは一言も言っていない。つまり「安全だから再開を容認したものではない」と本職は考えるが、「米軍の対策により安全がきちんと確認できたから再開を容認した」のか否かについて政府の認識と見解を答えられたい。
七 政府は、米軍が実施したとする対策について、実際にそれぞれの現場に職員を出向かせて調査・確認したのか、それとも説明や資料提供で判断したのか、などについて政府の認識と見解を答えられたい。
八 米軍や防衛省が行ったとする対策の中で、米軍が独自に設定した対策と日本側が要求して実現した対策について、それぞれ区分した上で、その内容について政府の承知するところを明らかにされたい。
九 オスプレイの危険性と沖縄県内の基地の状況を考えると、主権国家として政府が率先して行うべきことは、沖縄県民の生命と財産、安心・安全を守ることである。そのためには最早オスプレイの「飛行停止」ではなく、直ちに「運用を停止」し、「配備を撤回」すべきであると本職は考えるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十 事故機や墜落現場の保全や確認、原因の調査、検分、県民への公表・説明は主権国家として政府が当然行うべきものであると本職は考えるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十一 墜落事故現場の海岸で米軍が独自に規制エリアを設けて稲嶺進名護市長を始め地域住民や市民、沖縄県の職員、県民、報道陣を締め出したことについて政府の承知するところを明らかにした上で、米軍が独自に規制する法的根拠について政府の見解を答えられたい。
十二 名護警察署は、米軍の指示の下、稲嶺名護市長を始め地域住民、市民、沖縄県の職員、県民、報道陣に対して、米軍が独自に設けた規制エリア内への立ち入りを規制したが、そのような規制を行う法的根拠と沖縄県警が米軍の指示に従う法的根拠について政府の認識と見解を答えられたい。
十三 報道によれば、墜落事故現場で米軍が有害物質を防ぐ防護服を着用して事故機の残骸や海底の砂等を回収したとのことであるが、そのような有害物質防護服の着用について政府の承知するところを明らかにした上で、なぜ防護服を着用しなければならなかったのかについて政府の見解を答えられたい。
十四 事故墜落現場において事故機から人体へ有害な物質が大気中や水中に拡散したかについて政府の承知するところを明らかにした上で、事故機に搭載している有害物質の状況等について政府の見解を答えられたい。
十五 十二月十四日の報道によれば、普天間基地でオスプレイが胴体着陸を行ったとのことであるが、本事案について政府の承知するところを明らかにした上で、今回二つの事故が相次いで発生したことを考えると、やはりオスプレイには構造的な欠陥があり、そして過密な沖縄県内での訓練は極めて危険であると本職は改めて認識し直したところであるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十六 安慶田光男沖縄県副知事がニコルソン在沖米軍四軍調整官に抗議した際に、ニコルソン調整官は「パイロットは住宅、住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」と居直ったとのことである。このような発言について政府の承知するところを明らかにした上で、ニコルソン調整官のこのような発言は、沖縄県民に対して謝罪する気持ちを毛頭持ち合わせていないことや、沖縄に対する植民地意識を丸出しにした発言であることの表れであるという本職の考えに対する政府の認識と見解を答えられたい。
十七 質問十六に関連して、ニコルソン調整官は沖縄県民を代表して抗議を行った安慶田副知事に対してテーブルを叩いたり、墜落事故を「政治問題化するのか」と威嚇したりしたとのことであるが、ニコルソン調整官のそのような対応について政府の承知するところを明らかにした上で、ニコルソン調整官を罷免・更迭するよう米国政府に申し入れるべきであると本職は考えるが、政府の見解を答えられたい。
十八 ニコルソン調整官は「透明性」を理由に、考えられる事故原因を説明した。しかし、最終的な結論に至るまでには数カ月を要することを考えると、今回の説明はあくまでも最初の「推定に基づいた仮の報告」にしか過ぎず、少なくとも米軍が言うように「オスプレイの構造上の欠陥ではない」と断言することは少なくとも現時点ではできないものと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十九 ニコルソン調整官はオスプレイの飛行再開に当たり「安全性と信頼性に高い自信がなければ、米軍は飛行を続けない」とし、「重要なのは操縦士の練度を維持し、同盟国を支援するために行う訓練の機会を確実に持つことだ」と述べた。つまり、この説明の意味することは、墜落事故を起こしはしたがオスプレイは「安全だ」とし、パイロットの練度を保つためには「県民の生命と安全を危険にさらしても構わない」ということに他ならない。政府は沖縄県民へのこのような植民地意識丸出しの発言に対して強く抗議し、改めてニコルソン調整官に謝罪を求めるべきではないか、政府の認識と見解を答えられたい。
二十 報道によれば、マスコミが質問した@今夏から嘉手納のMC百三十と普天間のMV二十二の空中給油を伴う滑走路制圧訓練を行っているとの情報があるが、今回の訓練はどのような内容か、それとも通常の空中給油訓練か、A嘉手納のMC百三十と普天間飛行場のMV二十二の空中給油訓練はこの数年で増加傾向にあるのか、B事故を受けてMC百三十の飛行を中断しているのか、の三点について米軍はいずれも明確な回答を行っていないとのことであるが、マスコミが行った三件の質問について政府の認識と見解を答えられたい。
二十一 十二月十三日に墜落事故を起こしたオスプレイが十九日に飛行・訓練を再開するに当たり、在沖米海兵隊は空中給油訓練を含めた「再開」との認識を持っている。一方、政府は沖縄県民に対する説明では「空中給油訓練は当面中止」としている。一体どちらの言っていることが真実であったのか、十九日から空中給油訓練は再開されたのか、などについて政府の承知するところを明らかにした上で、政府が「訓練再開は合理性がある」とした理由の中で「空中給油訓練を行わないから」としたことについて政府の見解を答えられたい。
二十二 質問二十一に関連して、これらのやり取りを見ると、政府は結局米国政府や米軍の言うがままであり、対米従属若しくは隷属そのものであると言われても仕方がないものと本職は考えるが、政府の認識と見解を答えられたい。
二十三 墜落事故が起きてから僅か一週間足らずで飛行・訓練が再開されたことは事故原因が詳細に検討・解明されないまま、米軍の都合や言い分だけで強行されたことであり、沖縄県民の生命と安心・安全をそっちのけにする危険な行為がまかり通ることに他ならない。政府の認識と見解を答えられたい。
二十四 墜落現場の名護市安部の海岸では未だにオスプレイの残骸が至る所に散在し地域住民の生活に支障を来している。米軍や沖縄防衛局が再三除去宣言を行っても、依然として残骸が残った状態が続いている。また、米軍はいち早く立ち入り制限を行い名護市長や地域住民等を排除し、治外法権的に回収業務を実施したのにもかかわらず、残骸については知らんふりをし続けることは到底容認できないことである。政府の認識と見解を答えられたい。
二十五 政府は「安全対策を確認した」とする一方で、「事故原因の解明はまだ終わっていない」と認めている。そうであるならば、事故原因が解明されていない中でなぜ「安全対策」と言い切れるのか、そしてまた「確認できた」と言えるのか、などについて政府の認識と見解を答えられたい。
二十六 質問二十五に関連して、機体やフライトレコーダー等の重要な記録資料について政府は米軍から入手したのか、資料が入手できないと米軍の言い分を検証・評価できないのではないか、生のデータがなくても安全は確認できるのか、などについて政府の認識と見解を答えられたい。

 右質問する。



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