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平成二十九年二月三日受領
答弁第三号

  内閣衆質一九三第三号
  平成二十九年二月三日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員仲里利信君提出沖縄県名護市安部の沿岸部で発生した米軍オスプレイの墜落事故後に原因究明や説明がないままに飛行等が再開されたことに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員仲里利信君提出沖縄県名護市安部の沿岸部で発生した米軍オスプレイの墜落事故後に原因究明や説明がないままに飛行等が再開されたことに関する質問に対する答弁書



一について

 平成二十八年十二月十三日に沖縄県名護市の沖合で発生した垂直離着陸機MV二二オスプレイ(以下「MV二二」という。)の不時着水事故(以下「本件事故」という。)について、稲田防衛大臣は、同月十四日未明に、マルティネス在日米軍司令官との間で電話会談を行い、原因究明、十分な情報提供及び安全が確認されるまでの飛行停止について申し入れたところ、同司令官からは、本件事故が沖縄で起きたことについてその重大性を受け止めている旨、地元の懸念を払拭すべく最大限努力したい旨、追加的な情報については速やかにお知らせしたい旨及び飛行停止については検討の上返事をする旨の発言があったところである。その後、同日の再度の電話会談において、同司令官から同大臣に対し、検討の結果、安全が確認されるまで日本国内におけるMV二二の飛行を一時停止するとの回答があったところである。

二から八まで、十八、二十一、二十三及び二十五について

 お尋ねの「主権国家の誇りを置き去りにして従うことにしたのか」及び「政府が「訓練再開は合理性がある」とした理由の中で「空中給油訓練を行わないから」とした」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、日米間のやり取りの詳細について明らかにすることは、米国との関係もあり、差し控えたいが、政府としては、本件事故の発生以降、本件事故の原因、対策等について米側との間で集中的かつ緊密に協議を行ってきたところである。
 平成二十八年十二月十九日のMV二二の空中給油を除く飛行の再開については、米側から、本件事故は、空中給油の際にMC一三〇の給油ホースが事故機のプロペラに接触したことによるものであり、集合教育、手順の確認及び地上におけるシミュレーターを用いた空中給油のシミュレーション等が完了した後に空中給油を実施すること、日本におけるMV二二の飛行を一時停止し、普天間飛行場に配備されているMV二二全機の機体構造、電気系統、エンジン、油圧機構等の飛行安全上の重要箇所全てについて点検し、問題がないことを確認していること等の説明を受けたところである。政府としては、この米側の説明につき、本件事故当時の気象状況、MV二二の機体構造、プロペラ損傷時に安全に着陸するための対応要領等についての防衛省・自衛隊の専門的知見に照らして確認し、当該説明について合理性が認められると判断したところである。また、同日にMV二二の空中給油を再開したとの事実はない。
 また、平成二十九年一月六日のMV二二の空中給油の再開については、現時点において、本件事故については、引き続き米側において調査しているところであるが、当時の天候は、夜間の空中給油を行うために許容される条件の範囲内であったと承知している。政府としては、空中給油訓練の際にMC一三〇の給油ホースが事故機のプロペラに接触した原因としては、夜間の空中給油という搭乗員の高い技能を要するオペレーションが強風、乱気流といった気象条件下で行われていたという環境要因のほか、人的要因も複合的に重なって発生した可能性が挙げられるところである。なお、この分析については、米側とも見解が一致したところである。
 お尋ねの「連携の向上」については、MV二二を運用する米海兵隊とMC一三〇を運用する米空軍が、本件事故を検証し合い、相互に連携して安全に活動できるよう、飛行中の連携要領を再確認し、クルー・リソース・マネジメント及びオペレーショナル・リスク・マネジメントの基本理念や重要性を再確認したところである。その上で、状況分析及び意思決定を行う手順を再確認するとともに、平時及び緊急時における搭乗員の安全と効率性を最大化することを確認したものと承知している。
 また、お尋ねの「対応の改善」については、空中給油時に発生する緊急事態における経験等を踏まえた最適な手順を強固にするため、パイロット、搭乗員等の経験談及び教訓を共有するとともに、空中給油の専門家が、風及び乱気流の影響、安全に給油を行うための飛行速度、空中給油を受けて帰投するのに最適な燃料の量及び給油ホースに接触した同様の事例からの教訓について詳細な教育を行ったと承知している。
 さらに、政府としては、米側から、空中給油訓練は、今後とも、陸地から離れた海域の上空でしか実施せず、陸地の上空では実施しないことも確認したところである。
 その上で、政府としては、米側から得た情報等を踏まえ、当該接触を引き起こした要因についてあらゆる可能性を分析した上で、当該要因について、お尋ねの「連携の向上」及び「対応の改善」を含め、これまで米軍が空中給油の再開に向けてとってきた安全対策が適切なものとなっているかについて評価を行った結果、本件事故の原因となり得る人的要因及び環境要因を幅広く網羅する再発防止策が全て実施されたことを確認し、これらの対策は、防衛省・自衛隊の専門的知見及び経験に照らしても妥当であることから、安全に空中給油を再開する準備は整ったものと考えたところである。
 いずれにせよ、政府としては、MV二二を含め、米軍機の飛行に際しては、安全の確保が大前提であると考えており、米側に対し、引き続き事故の再発防止を強く求めてまいりたい。また、本件事故については、引き続き米側において調査しているところであり、政府としては、米側から情報が得られ次第、関係地方公共団体等に対して丁寧に説明してまいりたい。
 以上のことから、「米軍の都合や言い分だけで強行」及び「危険な行為がまかり通る」との御指摘は当たらないものと考える。

九について

 オスプレイの我が国への配備については、米海兵隊を含む在日米軍全体の抑止力を強化するものであるとともに、これによって、日米同盟の抑止力及び対処力を向上させ、沖縄を含む我が国のみならずアジア太平洋地域の平和と安定に資するものであると考えており、米国政府に対して、オスプレイについて、「運用を停止」し、「配備を撤回」することを求める考えはない。

十から十二までについて

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、日本国内における在日米軍施設・区域外で米軍機による事故が発生した場合には、当該事故の個別具体の状況に応じ、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第十七条、日米地位協定についての合意された議事録の第十七条に関する規定、刑事裁判管轄権に関する事項についての日米合同委員会合意、日本国内における合衆国軍隊の使用する施設・区域外での合衆国軍用航空機事故に関するガイドライン等に従い、適切な措置がとられることとなる。また、沖縄県名護警察署において、御指摘の「米軍の指示の下、稲嶺名護市長を始め地域住民、市民、沖縄県の職員、県民、報道陣に対して、米軍が独自に設けた規制エリア内への立ち入りを規制した」という事実はない。
 政府としては、これまでも本件事故の状況等について、沖縄県をはじめとする関係地方公共団体等に説明してきたところであり、今後とも、米側から情報が得られ次第、関係地方公共団体等に対して丁寧に説明してまいりたい。

十三について

 現場で米軍の隊員が着用していた服の種類や目的等については承知していない。

十四について

 お尋ねの「有害な物質」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十九年一月二十日に沖縄県が公表した「米軍MV−二二オスプレイ事故に伴う環境調査の結果について」によれば、空間放射線量率は、一般環境と同レベルであり、また、水質調査及び底質等調査においては、環境基準や暫定除去基準を超えている値はない等、事故による影響は確認されなかったと承知している。
 また、沖縄防衛局においても、平成二十八年十二月二十三日から、事故現場周辺において水質、底質等の調査を行っているところであり、調査の結果が判明し次第、速やかに公表してまいりたい。
 さらに、米側から、事故機には、放射性物質は搭載されていなかったとの説明を受けている。

十五について

 平成二十八年十二月十三日、MV二二が普天間飛行場に帰還した際、機体に格納されている着陸装置(脚部)を機体から出すことができなくなり、垂直離着陸モードにて、着陸時の衝撃を吸収するパッドの上に緩やかに着陸し、負傷者及び機体も含め財産被害はなかったものと承知している。
 また、お尋ねの「構造的な欠陥」の意味するところが明らかではないが、政府としては、MV二二を含め、米軍機の飛行に際しては、安全の確保が大前提であると考えており、引き続き事故の再発防止を強く求めてまいりたい。

十六及び十七について

 ニコルソン在日米軍沖縄地域調整官と安慶田沖縄県副知事(当時)とのやり取りについて承知しておらず、お尋ねについてお答えすることは差し控えたい。また、平成二十八年十二月十四日、同調整官は、記者会見において、本件事故について謝罪する旨述べたと承知している。

十九及び二十二について

 お尋ねの「植民地意識丸出しの発言」及び「米国政府や米軍の言うがままであり、対米従属若しくは隷属そのもの」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

二十について

 お尋ねについては、米軍の運用に関することであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。

二十四について

 米側は、引き続き残骸の回収を行う考えであり、政府としては、残骸の回収が早期かつ適切に行われるよう、米側と連携して対応していく考えである。

二十六について

 お尋ねの「機体やフライトレコーダー等の重要な記録資料」は、入手していないが、二から八まで、十八、二十一、二十三及び二十五についてで述べたとおり、米側から得た情報等を防衛省・自衛隊の専門的知見に照らして確認し、MV二二の飛行及び空中給油の再開について準備が整ったと判断したものである。



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