衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十九年六月八日提出
質問第三七三号

辺野古新基地建設工事の護岸造成工事やボーリング調査のあり方に関する質問主意書

提出者  仲里利信




辺野古新基地建設工事の護岸造成工事やボーリング調査のあり方に関する質問主意書


 政府は沖縄県民の民意を無視して辺野古新基地建設を強権的に進めようとしているが、護岸造成やボーリング調査に関して工事計画書と異なる方法等が用いられている可能性がある。
 そこで以下お尋ねする。

一 政府は、工事計画書において、K−九傾斜堤護岸の基礎となる捨て石を保護するため被覆ブロックや消波ブロックを用いることを記述しているが、その被覆ブロック及び消波ブロックの構造や大きさ、重量等については一切明らかにしていない。問い合わせたところ「重量で積算しており、どのような構造物になるかは今後の協議である」とのことである。そうであるならば、護岸別に被覆ブロックや消波ブロックの重量を決定する際の基礎的な判断材料となった潮流の大きさや方向等について政府の承知するところを明らかにした上で、被覆ブロックや消波ブロックの構造や大きさ等によって、護岸の基礎となる捨て石の大きさや材質、容積、さらには護岸等工作物の構造(断面)自体が変更を余儀なくされる可能性が生じるか否かについて政府の認識と見解を答えられたい。
二 政府が埋立工事のアリバイ作りとして強権的に進めているK−九護岸の築造現場では、工事計画書で記載されている捨て石や被覆ブロック、消波ブロックを用いずに、本来は仮設工法である、ひし形金網製の籠状構造物の中に自然石や砕石等を中詰めしたふとん籠を用いているのが確認されている。なぜ工事計画書と現場での実際の施工が異なっているのか、その理由や目的、経緯について政府の認識と見解を答えられたい。
三 質問二に関連して、仮設工法であるふとん籠から、工事計画書で使用することになっている捨て石や被覆ブロック、消波ブロックにいつ置き換える予定なのか、その際にはどのような工法で置き換える考えなのか、などについて政府の認識と見解を答えられたい。
四 政府は、シュワーブ(H二十六)ケーソン新設工事(一工区)の詳細施工計画書(ボーリング工)の工事概要において、深田サルベージ建設所有の多目的作業船ポセイドン一を使用してケーソン新設工事に伴う確認ボーリングを行うことを特命している。ところでこのポセイドン一は二〇一五年六月に完成したばかりの新造船であり、総トン数四千トンで三千メートルの深海底下を百五十メートル掘削し、地層サンプルを採取できる「海底着座型ボーリング機」や、遠隔操作無人探査機、自立型無人潜水機、自動船位保持装置、航海データ自動記録装置、瞬時に船位や調査結果等の記録を電子情報として表示する装置等を備えており、様々な条件下で多様な海底資源調査を効率よく実施できる多目的海洋調査船である。このような最新の機器を備えた多目的海洋調査船を、浅海域においてしかも僅か二十四カ所でしかないボーリング調査にあえて使用した意図や理由、目的、経緯、成果等について政府の認識と見解を答えられたい。
五 質問四に関連して、政府が最新の機器を備えた高性能の多目的海洋調査船であるポセイドン一を特命するに当たって、当然比較検討したであろう費用対効果や、調査結果・成果、さらには海上ボーリング調査では一般的かつ頻繁にはスパット台船と大型クレーンが使用されていることからその経費と成果等も比較検討の対象としたものと思われることから、それらについて政府が承知するところを明らかにした上で、ポセイドン一でなければ辺野古新基地建設に係るボーリング調査を担い得ないと判断した根拠について政府の見解を答えられたい。
六 政府がポセイドン一を使用するための契約の方法と目的、内容、金額、工事内容、工事の段取りや期間等について政府の承知するところを明らかにした上で、政府が請負業務契約においてポセイドン一を特命したことの妥当性について政府の見解を答えられたい。
七 ポセイドン一は、二月六日から四月十九日までの二カ月半かけて調査を実施したことが確認されている。その航跡を「ライブ船舶マップ」等を駆使して解析すると、ケーソン新設工事に伴う確認ボーリング箇所とは明らかに異なる「C−三護岸築造予定海域の沖合二百メートル付近の海域」や「海上ヤード付近の海域」等において、十メートルピッチで東西南北を縦横にしかも二十四時間以上の連続航行で調査したことが明らかになっている。このような調査は、従来のボーリング調査が作業船を定位置に固定して標準貫入試験を行う地盤調査とは全く異なる調査であり、そのやり方からして海底地形調査や地層調査、資源採集等の調査を行ったものとしか考えられない。よって、ポセイドン一が実施したボーリング調査や海底地形調査、地層調査、資源採集等に関する箇所の詳細な位置と範囲、調査方法、調査目的、調査を行った理由、調査結果の内容等について政府の承知するところを明らかにした上で、なぜ工事概要に記載されていない確認ボーリング調査以外の調査を実施できるのか、なぜ二十四箇所以外の海域で調査を実施できるのか、などについて政府の見解を答えられたい。
八 識者は、沖縄本島北部の地層に多く分布する琉球石灰岩は強度のばらつきが大きく、重量構造物の支持層となり得るN値五十以上の硬い岩盤層としては適さないと指摘するが、政府の認識と見解もその通りであると考えてよいか、明らかにされたい。
九 米軍が一九四九年に、軍事基地の本格的な建設に向けて作成した「基本地図」の一つに「軍用地形図」がある。その地形図では埋立予定海域の大部分の地質がサンゴ礁や砂地であることが記載されているが、識者はその地下に琉球石灰岩の堆積という軟弱地盤の存在を指摘している。米軍が嘗て辺野古に新基地を建設しようと目論んで断念せざるを得なかった理由の一つに、大浦湾や辺野古崎の海域の地盤が琉球石灰岩で軟弱であることが挙げられているところであり、政府も同海域の地盤については軟弱地盤であるとの認識と見解を持たざるを得ないものと考えるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十 質問九に関連して、「軍用地形図」では辺野古崎南側、リーフと呼ばれる遠浅な沿岸部、北側の大浦湾の地形に沿って広がるサンゴ礁群と水深が詳細に示され、大浦湾にせり出す新基地の滑走路先端部分に当たる護岸部分は、水深数メートルから二十数メートルの絶壁がそびえており、さらにその先には五十メートルを超える深海が広がるなど複雑な海底地形が見られている。このため、米軍はこのようなところに新基地を建設することを断念せざるを得なかったと言われているが、このことについて政府の認識と見解を答えられたい。
十一 質問九及び十に関連して、大浦湾や辺野古崎について米軍作成の「軍用地形図」が一九四九年に作成され、またこれまでの多くの調査結果や知見が公表されていることからして、政府は大浦湾や辺野古地先海域に複雑な海底地形と軟弱地盤が存在することを承知しているはずである。それにもかかわらず、政府の工事計画書ではケーソン護岸の基礎となるべき海底地形が平坦で、しかもケーソンを支えることが出来る強固な支持地盤が確保されていることになっており、現場の実態を無視した設計となっている。このような設計を行った理由や目的等について政府の承知するところを明らかにした上で、絶壁や急斜面等の複雑な海底地形を克服するためには基礎の捨て石の投入量を大幅に増やすとともに、急斜面から捨て石が転がり落ちることを防ぐために個々の捨て石へコンクリートを打設して一体化することや、軟弱地盤である海底の地盤を改良すること等当初の計画と設計になかった方法や工法を講じる必要があると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十二 辺野古新基地の東側護岸(C護岸)が築造される海域は、五十メートルの水平距離に対して、C−一護岸では三十メートルから三十五メートルに、C−三護岸では十五メートルから三十五メートルに、A護岸では五メートルから二十五メートルに、それぞれ水深が急激に変化しており、絶壁がそびえたっているとしか言いようがないほどに急斜面で複雑な海底地形となっているが、このような絶壁が至る所に存在する複雑な海底地形に杭を打ち込んで護岸を築造することは可能か、絶壁や急斜面を崩落させることにならないか、重量構造物を支える強固な支持地盤を確保することが出来るのか、などについて政府の認識と見解を答えられたい。
十三 政府は、ケーソン新設工事に伴う確認ボーリング調査として今回二十四カ所行うとしているが、僅か二十四カ所のボーリング調査で、巨大な構造物となるケーソンの重量を支えることができる頑丈な地盤を確認できるのか、ボーリング調査の数としては余りにも少なすぎるのではないか、辺野古新基地の埋立面積や築造護岸の総延長等を考えた場合適当とすべきボーリング数は何カ所が妥当か、などについて政府の認識と見解を答えられたい。
十四 質問十三に関連して、政府は辺野古崎のような浅瀬でのボーリング調査は多く実施しているが、大浦湾の深場や複雑な海底地形、急斜面でのボーリング調査はあまり実施しておらず、また経験も有していないものと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.