衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十九年六月十四日提出
質問第四一二号

米軍嘉手納基地の旧海軍駐機場の再使用に関する質問主意書

提出者  仲里利信




米軍嘉手納基地の旧海軍駐機場の再使用に関する質問主意書


 米軍嘉手納基地の旧海軍駐機場は、嘉手納町屋良の住宅地域に隣接していたのにもかかわらず長年にわたり米軍軍用機のエンジン調整やジェット噴射、洗機場の洗浄等が昼夜を分かたず行われ、地域住民への騒音や悪臭、洗浄水の飛散被害を生み出していたことから、我が国の負担で新たな駐機場を造り、移転することとなったが、移転後一カ月も立たない本年二月から再び使用される事態が相次いでいる。
 そこで以下お尋ねする。

一 政府が「国民の血税百五十七億円を投じて移転先の駐機場を整備した」理由と目的について政府の認識と見解を明らかにされたい。
二 本職は、一九九六年のSACO(日米特別行動委員会)最終報告で旧海軍駐機場の移転を「騒音軽減イニシアティヴの実施」として盛り込まれ決定したものと承知している。しかし、現在の実態を見ると合意の趣旨に反した使用が続いている。そこで改めて、SACO最終報告における旧海軍駐機場の移転の名称や理由、目的、内容について政府の認識と見解を明らかにされたい。
三 二〇〇九年二月十日の日米合同委員会で承認された海軍駐機場の移転に関する名称や理由、目的、内容について政府の認識と見解を明らかにされたい。
四 政府が住宅地に隣接し、住民への被害や負担が大きい海軍駐機場を日本側の負担で主要滑走路の反対側に新たに整備し直して移したのは、移転後は旧駐機場を駐機場として使わないという日米両政府の合意がそもそもあったからではないかということについて政府の認識と見解を答えられたい。
五 海軍駐機場が嘉手納町屋良の住宅地域に隣接した区域にあった時に常駐していた哨戒機のP八やP三C等は、新たな駐機場で運用されていると承知しているが、移転後の旧海軍駐機場に在韓米軍のU二偵察機や岩国基地のKC一三五空中給油機等の外来機が駐機する状況が常態化している理由や目的等について政府の承知するところを明らかにした上で、今回の移転は米軍にとって新たな駐機場を日本政府の負担で獲得し、さらに外来機用の指定席・拠点化として旧海軍駐機場の使用も可能にしたということとなり、負担軽減を名目とした基地の運用の拡大になってしまったということについて政府の見解を答えられたい。
六 稲田朋美防衛大臣は六月九日の記者会見で「米軍との認識は異なる」として、米側が主張する「必要な運用に応じて旧海軍駐機場を使用する」という合意はしていないと明確に否定した。そうであるならば、沖縄県や嘉手納町等と同様に政府も「旧海軍駐機場は駐機場として使用できない」との認識と見解を共有していると理解して良いかということについて政府の認識と見解を明らかにされたい。
七 質問六に関連して、記者が稲田大臣に「駐機場としての使用の可否」を再三質問しても、稲田大臣は「必要な運用に応じて使用するというような合意はしていない」と繰り返し、完全に使用を否定することを避けたとのことである。使用を合意していないのであれば、なぜ明確に使用を否定しないのか、その理由について明らかにするとともに、記者会見での煮え切らない対応について政府の認識と見解を明らかにされたい。
八 政府が口を濁し、明確な答弁を避けていることから、公表されていない合意事項の中で、「必要な運用に応じて使用するというような合意はしていないが、駐機場を使用できると解釈される何らかの合意があるのではないか」と取りざたされているところであるが、政府は本当に「旧海軍駐機場の移転と移転後の使用」に関して協議を行ったのか、その結果複数の合意が得られたのか、さらには「使用しない」とした公表に反する内容の合意を実際には結んでいたのか、などについて明らかにされたい。
九 SACO最終報告における合意に基づき駐機場が移転した後の旧海軍駐機場の使用について、政府と米軍の見解と言い分について政府の承知するところを明らかにした上で、政府は「騒音を出さなければ航空機の使用は認める」との「容認」の見解や認識を持ち、米軍にもそのように伝えているかについて政府の認識と見解を答えられたい。
十 報道によれば、旧海軍駐機場が使用されなくなった一月中旬には、それまで観測されていた黒色粒子と臭気レベル高濃度の頻度が十分の一に減少したことが北海道大学グループの調査で判明したとのことである。このような調査結果と内容について政府の承知するところを明らかにした上で、嘉手納町屋良の住宅地域に隣接して軍用機のジェット噴射等が行われることは地域住民の健康や生命に甚大な被害を与え続けることに他ならず、直ちに廃止させるべきことであると思われることについての政府の見解を答えられたい。
十一 去る六月五日、沖縄県は沖縄防衛局に対して「嘉手納の旧海軍駐機場使用問題」に関する照会文書を送付したとのことであるが、その照会文書に対する回答について政府の承知するところを明らかにした上で、沖縄県や嘉手納町、周辺自治体が「約束違反だ」として強い憤りや不満を訴え、即時廃止を求めていることについて政府の見解を答えられたい。
十二 報道によれば、米空軍嘉手納基地第十八航空団のポール・オルダム司令官は六月八日、旧海軍駐機場の継続使用について「二〇〇九年の日米合同委員会で運用の必要性に応じて使用することに同意している」とのことである。一方、沖縄防衛局は八日、日米間の合意の存在を否定し、米側に抗議したことを明らかにしたとのことである。政府と米軍の言い分が真っ向から対立した形であるが、事の真実を明らかにするため並びに国民の知る権利と主権在民を守るためには「二〇〇九年の日米合同委員会」や「一九九六年のSACO最終報告」、「その他これまでの日米合同委員会の全て」の議事録を公開して検証するべきであると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十三 近年、沖縄における米軍の行動はやりたい放題であり、その身勝手な行動は余りにも目に余るものがある。沖縄県民からその不透明さと余りにも米軍に偏った内容から批判と廃止要望が絶えないSACOの最終合意であるが、そのSACOの最終合意ですら米軍は最早守ろうとしていない。その端的な事例が今回の旧海軍駐機場問題であり、嘉手納基地のパラシュート降下訓練や夜間の降下訓練、外来機の度重なる飛来と一時配備等である。沖縄県民にとって到底看過できないこのような事態がなし崩し的に行われているのは、ひとえに政府が対米追従主義に走り、主権国家としての尊厳を放棄しているからであり、米国の植民地主義の考えを沖縄だけに押し付けているからである。このような政府の姿勢は糾弾されるべきであり、米国に対して毅然とした態度をとるべきであると本職は考えるが、本職のこのような考えについて政府の認識と見解を答えられたい。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.