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平成三十年一月二十五日提出質問第二四号
関西電力電気料金値下げについての政府広報の在り方に関する質問主意書
提出者 阿部知子
関西電力電気料金値下げについての政府広報の在り方に関する質問主意書
本来、電気料金値下げの際に料金認可は不要であるが、関西電力は平成二十五年及び平成二十七年の二度値上げを行っており、「関西電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針」三十七頁では「値下げの実施時期や値下げ率等の適正性を確認・検証するとともに、広く情報を公開する観点から、値下げの時期を問わず(原価算定期間内外問わず)、電気料金審査専門小委員会によるフォローアップが必要である。」とある。関西電力の電気料金値下げに伴う「特定小売供給約款等の変更届出書」は、昨年七月六日届出、十一日電力・ガス取引監視等委員会の審査をもって適当であると判断されたと承知している。
こうした中で、経済産業省資源エネルギー庁のホームページにおいて、昨年八月一日付の特集記事「なぜ関西電力は電気料金を値下げできたのか?」(以下、「関西電力に関する特集記事」という。)が掲載された。この特集記事に関連して、エネルギー政策に関する政府広報の在り方について、政府の認識を問う。
二 関西電力に関する特集記事において、高浜原子力発電所三号機及び四号機の再稼働が料金値下げにさも最も貢献したかのような記述が見られる。しかし料金値下げの届出に際して関西電力が電力・ガス取引監視等委員会に提出した「電気料金の値下げについて」(平成二十九年七月十一日)の四頁において、今回の値下げ分は料金認可の対象とならない「燃料費調整による値下がり分」(十一パーセント)を除けば、「経営効率化の深堀り等による値下げ」(二・三パーセント)が「高浜三・四号機の運転再開による値下げ」(二・〇パーセント)を上回っている。つまり関西電力の電気料金値下げの最大の要因は、関西電力の自助努力による経営合理化であることは明らかである。では「値下げが実現できた理由とは?」という項目で「今回の値下げは、福井県の高浜原子力発電所三号機・四号機の運転再開によって実現しました。」との記述からわざわざ始まり、記事全体で値下げの理由として高浜原子力発電所再稼働の説明に終始したのはなぜか。その上、主因である経営合理化の扱いが「さらに経営の効率化も進めたことで、合計八百七十七億円のコスト削減分を値下げの原資にあてることができました。」の一文で終わっているのはなぜか。記事の内容が国民に対して不正確な情報や誤解を与えているという指摘や批判の声が専門家等からあることを踏まえて理由を明確に答えられたい。
三 関西電力に関する特集記事では、「冷房需要が高まる夏季は、電力が最も必要とされる季節です。」という記述がある。原発再稼働と値下げに関する特集記事であるにもかかわらず、わざわざこのように記述することは、「夏場に起こり得る電力不足が原発の電気によってまかなわれる」と国民の誤解を招くのではないか。ちなみに、二〇一四年夏季は、関西電力を含めて原子力稼働率ゼロであることは周知の事実である。政府の見解を伺う。
四 関西電力に関する特集記事では、「関西電力の値下げを受けて、二〇一六年四月の電力小売自由化で電力市場に参入した関西の各企業も、八月からの電気料金値下げを相次いで発表しており、消費者や産業界に広くメリットがもたらされることが期待されます。」という記述がある。
1 関西電力に関する特集記事で、関西電力は具体名を挙げたにも関わらず、小売参入自由化で参入した他の事業者については具体名を挙げなかったことは市場を歪め、電力の適正取引、公正取引および公正な競争を妨げるものではないか。このような扱いとした理由を明確に答えられたい。
2 関西電力に関する特集記事で、関西電力の料金値下げは具体的に記述されたが、他方で、他の事業者の値下げは具体的に記述されていない。こうした行為はあたかも関西電力だけが値下げしたという印象を与えかねず、適正かつ公正な取引と公正な競争を歪めていると考えるがどうか。
右質問する。