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平成三十年二月五日提出
質問第五三号

日本円のデジタル通貨発行に関する質問主意書

提出者  中谷一馬




日本円のデジタル通貨発行に関する質問主意書


 自国のデジタル通貨の発行によって、金融分野における競争力を高めると同時に、コストカットや経済成長を目指して戦略的に取り組みを進めている国がある。
 例えば、スウェーデンにおいては、デジタル通貨「eクローナ」発行の検討を行っている。また、ウルグアイでも希望者一万人を対象に「eペソ」を発行し、試験運用を始めた。そのほかにも英国、中国、ロシア、エストニアなどでもデジタル法定通貨の研究が行われている。また、シンガポールでは、現金や小切手といった紙ベースの決済手段の利用に伴うコストはGDPの〇・五二%に達すると試算されており、現金から電子的な決済手段への移行を後押しする取り組みが進められている。
 日本においては、日本銀行で「中央銀行発行デジタル通貨について」というレビューがまとめられ、海外における議論と実証実験を研究している。また、デジタルイノベーションに関する国際的なカンファレンスを開催するなど議論を深めている。
 そのような中、日本の中央銀行におけるデジタル通貨発行に関して政府としてどのように対応していくのか、具体的な方向性については示されていない。
 日本銀行が発行する日本銀行券、および造幣局が製造し政府が発行する貨幣、硬貨といった法定通貨をデジタル通貨(e円)へと段階ごとに切り替えていくことは、銀行券や硬貨の発行に加え、現金や小切手といった紙ベースでの決済手段の利用管理に伴うコストの削減に繋がると同時に、ユーザー利便性の向上、金融政策の有効性確保、通貨発行益(シニョレッジ)減少防止にも繋がると考える。
 また、昨年六月に閣議決定された「未来投資戦略二〇一七」において、Society 5.0に向けた戦略分野の一つとして、FinTechがあげられており、「今後十年間(二〇二七年六月まで)に、キャッシュレス決済比率を倍増し、四割程度とすることを目指す」というKPI(成果指標)が示されているが、デジタル通貨によるキャッシュレス化の推進は、効率性・利便性を高め、社会のスマート化を進めることに繋がり、金融、経済、観光、福祉、行革、防犯などあらゆる分野で様々な効果をもたらす可能性があると考える。
 これらの状況を踏まえ、確かな技術の活用と万全な管理体制を構築し、安全性を確保した上で、日本円のデジタル通貨発行を含めた、仮想通貨の可能性や是非について本腰を入れて研究・検討すべき時期であると考え、政府の見解を確認したく、以下質問する。

一 日本政府として、中央銀行によるデジタル通貨を発行する可能性について、現時点でどのように考えているか、所見を伺いたい。
二 各国のデジタル法定通貨に関係する取り組みについて日本政府としてどのように捉えているか、所見を伺いたい。
三 日本政府においてもシンガポールのように、日本の現金・小切手等の紙ベースによる決済手段利用に伴うコストを調査し、デジタル通貨などの電子的な決済に置き換えることで、どの程度の効率化が図られるのか研究・試算すべきであると考えるが、如何か。
四 また、三に加えて、日本円をデジタル通貨化した時に得られる包括的なメリット・デメリットを、政府として公式に調査・研究すべきと考えるが、如何か。
五 二十か国財務大臣・中央銀行総裁会議(G二〇)などの国際的な経済・金融問題について話し合う会議で、民間の仮想通貨、国家のデジタル法定通貨による金融システムや金融政策への影響について意見交換を行い、議論を深めるべきと考えるが、所見を伺いたい。

 右質問する。



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