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平成三十年二月十四日提出
質問第七六号

NPRでいう核爆弾搭載可能なB−五二Hと航空自衛隊機との共同訓練に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




NPRでいう核爆弾搭載可能なB−五二Hと航空自衛隊機との共同訓練に関する質問主意書


 平成三十年二月五日、衆議院予算委員会で、アメリカの「核態勢の見直し」(「NPR」という。)に関して、「世界のさまざまな変化、それを取り上げて、核の抑止力、これが日本にとっても必要なんだということ、それはいろいろな御意見があるから私は述べていい」とした上で「だがしかし、こうやって、間髪入れず、高く評価をするなどというコメントを出すこと、こういうことにどんどんどんどん乗っていくことは、私、安全保障のジレンマに陥るその入り口に立っている」のではないかという逢坂誠二の問いに対して、河野外務大臣は、「今回のアメリカのNPRのように、きちんと同盟国に対して核の抑止力を明確にコミットしている、これを高く評価しない理由はない」と答弁を行った。
 NPRでは「現在の戦略核の三本柱は主に一九八〇年代かそれ以前に配備されたものだが、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を装備した潜水艦(SSBN)、陸上配備型大陸間弾道ミサイル(ICBM)、無誘導爆弾および空中発射式巡航ミサイル(ALCM)を運搬する戦略爆撃機から構成される」とした上で、「爆撃機の柱は四十六機の核爆弾搭載可能なB−五二Hおよび二十機の核爆弾搭載可能なB−二Aステルス$略爆撃機から成っている」と示されている。このようにNPRでは、B−五二Hが明確に核攻撃のための戦略爆撃機であると位置づけられており、「米国は、米国、同盟国、パートナー国の重要な利益を守るために極端な状況においてのみ核兵器の使用を考慮する」と明示されている。
 防衛省は、平成三十年一月二十九日、航空自衛隊のF一五が、平成二十九年八月二十二日に、米軍のB−五二Hと共同訓練を行っていたことを明らかにした。米軍機との共同訓練は平成二十九年四月以後、十数回繰り返されており、B−五二Hと航空自衛隊との訓練はその一部であると考える。
 これらを踏まえ、以下質問する。

一 NPRでは、「爆撃機の柱は四十六機の核爆弾搭載可能なB−五二H」であると位置づけられ、アメリカの核戦略の三本柱の一つを構成している。航空自衛隊のF一五と米軍のB−五二Hの共同訓練は、NPRでいうところの、米国、同盟国などに核抑止力を提供するための訓練であることは否定されないのではないか。政府の見解如何。
二 米軍のB−五二Hは米軍のグアム基地から飛来し、これに航空自衛隊の小松基地所属のF一五が合流し訓練を行ったと承知している。防衛省関係者がこの訓練を公表した当時、平成二十九年十一月十九日の報道では、「日本政府は「非核三原則」を踏まえ、訓練前に核を搭載しないことを確認した」とされているが、有事にも核兵器が搭載されるか否かは別であり、むしろグアムから日本海側空域まで通常兵器のみをB−五二Hで運搬することは軍事的合理性に欠ける。有事には、B−五二Hによる核弾頭の運搬が想定される。政府は、当該訓練のみならず、いかなる状態においても、米軍の戦略爆撃機を航空自衛隊の戦闘機が航空支援する場合には、非核三原則を踏まえ、核兵器の搭載をさせないことを合意しているのか。政府の見解如何。
三 国際社会にアメリカの核戦略の三本柱の一つであると認知されている戦略爆撃機B−五二Hと、航空自衛隊のF一五が共同訓練を行うことは、日本の非核三原則の運用を骨抜きにし、現実に日本の自衛隊がアメリカの核戦略の一翼を担うものであり、加えて、河野外務大臣の「今回のアメリカのNPRのように、きちんと同盟国に対して核の抑止力を明確にコミットしている、これを高く評価しない理由はない」との見解が示されることで、国際社会は、日本の非核三原則は事実上崩壊していると受け止めるのではないか。政府の見解如何。
四 「核爆弾搭載のB52米戦略爆撃機に対する航空交通管制の便宜に関する質問主意書」(第百一回国会質問第四五号)では、「グアムのアンダーソン基地を発進した核爆弾搭載可能のB52−G米戦略爆撃機が日本の上空、その周辺を通過する際に、運輸省(那覇航空交通管制部等)は、同機の作戦行動を支障なく遂行させるために、その都度民間機を排除して特別の航空路(アルトラブ=高度の留保)を設定する措置をとつている」「日本有事ではなく極東有事の場合に、核爆弾を搭載し核攻撃に向かうB52が日本の管轄する飛行情報区(FIR)を通過する時に、日本政府が管制上の便宜を与えることは許されるのかとの質問をした。これに対して、安倍外務大臣は「日米安保条約の枠内において日本が便宜供与をやるということはあり得る。」と、これを容認する姿勢を示した」ことが示されている。現時点でも、これに対する答弁書でいう、「航空交通管制上、米軍機に対し、空域の一時的留保を認めることは、日米地位協定第六条に基づく昭和五十年五月の航空交通管制に関する合同委員会合意によるものである」文書は外務省のホームページ上に掲載されている。現時点でも、日米地位協定第六条に基づく昭和五十年五月の航空交通管制に関する合同委員会合意は効力を持ち、「航空交通管制上、米軍機に対し、空域の一時的留保を認めること」がなされているという理解でよいか。
五 四に関連して、「航空交通管制上、米軍機に対し、空域の一時的留保を認めること」は、航空自衛隊のF一五が、平成二十九年八月二十二日に、米軍のB−五二Hと共同訓練を行った時にも認められたのか。政府の見解如何。
六 有事に、核弾頭を搭載した米軍の戦略爆撃機B−五二Hに関し、日本政府が管制上の便宜を米軍に与えるということは、日本の行政権の一部を米軍に一時的に委譲することである。これは、B−五二Hによる核攻撃を日本政府が具体的に支援するもので、非核三原則に抵触するのではないか。政府の見解如何。

 右質問する。



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