質問本文情報
平成三十年三月五日提出質問第一一二号
優生保護法における強制不妊手術とNHKとの関係に関する質問主意書
提出者 初鹿明博
優生保護法における強制不妊手術とNHKとの関係に関する質問主意書
独立系インターネットメディアのワセダクロニクルの調査によると、優生保護法における強制不妊手術の件数が全国二位であった宮城県において、一九五七年に、当時の東北電力社長を会長とし、県の小学校長会の会長、PTA連合会会長、医師会会長など地元の有力者が役員に名前を連ねる宮城県精神薄弱児福祉協会という団体が作られました。
この会の顧問には県知事や仙台市長、県議会議長、衆参の国会議員、そして、地元の有力紙である河北新報の会長や現在のNHK仙台放送局に当たる仙台中央放送局の局長も就任していました。
設立趣意書には、協会が手がける仕事について「遺伝性の精神薄弱児をふやさないという優生手術の徹底」と明記されており、優生手術を「宮城県百年の大計として、民族の再建を考えるなら、どうしてもやらなければならない仕事」であると位置づけていました。
つまり、行政に加えて、政界、経済界、医学界、そして、メディアを挙げて優生保護法に基づく強制不妊手術を推し進めていたことが推察されます。
今、宮城県で強制不妊手術を受けた当事者が国を相手取り訴訟を提起し、与党内でも補償を含めて検討が始まると報じられています。
優生手術と言われていた強制不妊手術は、当時は合法であったとしても今の常識に照らしてみれば障害者に対する偏見と差別からなる人権侵害であることは明白です。
この明らかなる人権侵害に我が国唯一の公共放送機関であるNHKが関わっていた可能性があるというのは非常に問題であると考え、以下、質問します。
二 また、宮城県以外の他の都道府県で同様の組織はありましたか。
三 国の特殊法人である唯一の公共放送機関、NHKの幹部社員が強制不妊手術を推進する団体の顧問に就任していますが、これは個人の判断のみで顧問に就任していたのですか、それとも、NHKも了解の上で認めていたのですか、政府の承知するところをお答え願います。また、国はNHKの幹部社員が上記の団体の役員に就いていたことを知っていましたか。
四 世論に大きな影響を及ぼすNHKの幹部社員がこのような団体に加入することは不適切であったと考えますが、政府の見解を伺います。
五 NHKが強制不妊手術の旗振り役となって世論形成に影響を及ぼしていた可能性がありますが、過去にNHKにおいて強制不妊手術を推進するかのような番組を放映していたことを政府は把握していますか。
六 宮城県において強制不妊手術を推進する団体に当時の放送局長が関係していたことが判明した以上、優生保護法における強制不妊手術が推し進められていく中でNHKが世論形成にどのような影響を及ぼしていたのかを調べるべきだと考えますが、政府の見解を伺います。
右質問する。