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平成三十年三月八日提出
質問第一二八号

いわゆる「引越し難民」の緩和のための政府の取り組みに関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




いわゆる「引越し難民」の緩和のための政府の取り組みに関する質問主意書


 毎年、三月から四月にかけては進学及び転勤が重なるため、一年で最も引越しを行う人が多いが、昨今、この時期に引越しをしたくてもできない、いわゆる「引越し難民」が増加しているとの報道がなされており、社会問題化している。
 平成三十年二月二十七日、閣議後の記者会見で、「春の本格的な引越シーズンを前に、引越業者の人手不足から、既に業者が見つからないという問題が各地で発生し」「このままでは、引越したい時期に引越できない、いわゆる引越難民が発生するおそれもありますが、国土交通省として業界等とどのような取組、対応」をするのかとの問いに対し、石井大臣は、「引越運送業を含むトラック事業におきましては、トラックドライバーの有効求人倍率が二.七四倍となるなど、近年、ドライバー不足が大きな課題となっております。また、大手引越事業者に聞き取った結果によりますと、引越については、三月から四月にかけて依頼が集中しておりまして、特に三月におきましては、通常月と比べて引越件数が約二.五倍となっており、人員と車両の両方の確保の面からピーク時の対応が難しくなって」おり、「国土交通省といたしましては、引越事業者において、繁忙期の引越依頼に対応できるよう、計画的なドライバーや車両の確保に努めていただけるように働きかけてまいりたい」、「今後の動向を注視しつつ、引越が円滑に進むよう、取組を行ってまいりたい」と発言した。
 このようなトラックドライバーの不足、さらには政府の提唱する働き方改革の一環として、企業が繁忙期の引越しの受付を抑制していることも否定できない。
 また、トラックドライバーの確保のために賃金上昇が生じること、繁忙期に引越し依頼が殺到することによる引越し料金の上昇等で、引越しを行おうとする者の経済的負担が増加する懸念が生じる。
 さらには、社会問題化しているいわゆる「引越し難民」の諸問題の解決のためには、三月および四月に引越しを行う者を減らすように、政府自らが率先して行動することが重要である。すなわち、国家公務員の人事異動は四月一日付で発令されるものも多く、かかる異動で転居を伴うものの時期を分散することで、一定の効果が生じ、地方公務員、民間企業にも波及することが期待できる。
 このような観点から、以下質問する。

一 いわゆる「引越し難民」の現状について、政府はどのように把握しているのか。国土交通大臣においても、「今後の動向を注視しつつ、引越が円滑に進むよう、取組を行ってまいりたい」と発言していることから、「動向を注視」しているものと思料する。政府の見解如何。
二 平成二十九年三月および四月に転居を伴う異動を行った国家公務員の数、平成二十九年一月から十二月までに転居を伴う異動を行った国家公務員の数はそれぞれどの程度か。
三 国家公務員の異動が三月および四月が多い理由および背景はどのようなことによるのか。政府の見解如何。
四 国家公務員の異動を三月および四月以外に分散することによる不利益は想定されるのか。この場合、法令等で何らかの阻害要因となるものはあるのか。政府の見解如何。
五 国家公務員が転居を伴う異動のため、三月および四月という繁忙期に転居をする場合、引越し料金の上昇に伴い、その費用が増加することは否定できない。この場合、異動のための国家公務員に支給される赴任旅費だけでは足りず、結果として当該国家公務員の個人負担になることがあるが、この場合の国家公務員の個人負担はやむを得ないものであると考えるのか。政府の見解如何。
六 いわゆる「引越し難民」の抑制、引越し料金の上昇の抑制、トラックドライバーの確保、トラックドライバーの働き方を改革し、その処遇改善のためには、国家公務員の異動を三月および四月からできるだけ分散させるべきではないか。政府の見解如何。
七 流通政策を専門とする流通経済大学の野尻俊明学長は、三月五日の産経新聞で、「日本では需要の繁閑差の大きい分野が多く、物流、とりわけ引っ越し運送は最たるものの一つ。労働集約的な産業で人手不足が深刻化する中、需要の分散化で社会全体として生産効率をあげる取り組みが必要」と指摘しているが、政府の見解如何。
八 七に関連して、国土交通大臣は、「国土交通省といたしましては、引越事業者において、繁忙期の引越依頼に対応できるよう、計画的なドライバーや車両の確保に努めていただけるように働きかけてまいりたい」、「今後の動向を注視しつつ、引越が円滑に進むよう、取組を行ってまいりたい」と発言しているが、政府として、「需要の分散化で社会全体として生産効率をあげる取り組みが必要」なのではないか。今後、政府は具体的な政策誘導を行う意向はあるのか。政府の見解如何。
九 石井国土交通大臣のいう「計画的なドライバーや車両の確保に努めていただけるように働きかけてまいりたい」との発言は、今後どのように具体化されるのか。政府の見解如何。

 右質問する。



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