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平成三十年四月二日提出質問第一九五号
米国の戦略態勢に関する米議会諮問委員会での秋葉剛男駐米公使の発言に関する質問主意書
提出者 逢坂誠二
米国の戦略態勢に関する米議会諮問委員会での秋葉剛男駐米公使の発言に関する質問主意書
平成三十年四月一日、朝日新聞は、アメリカのNGO「憂慮する科学者同盟」のグレゴリー・カラキ上級アナリストのインタビューを報じた。カラキ氏は、アメリカのペリー元国防長官が座長を務めた「米国の戦略態勢に関する米議会諮問委員会」で、二〇〇九年二月に当時の秋葉剛男駐米公使が述べた意見について明らかにした。
秋葉公使は、「究極の目標として核兵器なき世界を支持するが、日本を取り巻く安全保障環境は米国の核を含む抑止を必要とする」、「米国が実戦配備した戦略核の一方的削減は、日本の安全保障に逆効果かもしれない」(「秋葉発言」という。)などの発言を行ったと承知している。
秋葉発言に関する朝日新聞の取材に対して、外務省日米安全保障条約課は、「諮問委は外に議論を明かさず、公式な記録は作らないということなので、確認には応じられない」と答えたとされる。
これらを踏まえ、以下質問する。
二 秋葉発言に関する朝日新聞の取材に対して、外務省日米安全保障条約課は、「諮問委は外に議論を明かさず、公式な記録は作らないということなので、確認には応じられない」と答えたのは事実か。
三 「公式な記録は作らないということ」は日本政府が記録を作成しないとの意味なのか、またアメリカ側が記録を作成していないという意味なのか。政府の見解如何。
四 秋葉剛男駐米公使は、秋葉発言を行うにあたり、日本政府ならびに外務省本省と緊密に意見交換し、政府を代表する見解を述べたのか。それとも駐米公使である秋葉剛男氏の個人的見解を述べたのか。政府の見解如何。
五 四に関して、本件に限らず一般論として、通常、米国議会の諮問委員会で駐米公使などが発言する場合、日本政府ならびに外務省本省と緊密に意見交換し、政府を代表する見解を述べるものか。それとも駐米公使である当該外交官の個人的見解を述べるものなのか。政府の見解如何。
六 米国の戦略態勢に関する米議会諮問委員会は、他の同盟国の意見も聴取した上で、二〇〇九年五月に報告書をまとめ、オバマ大統領に提言している。このような日本の安全保障政策の基本に関わる諮問委員会での日本政府側の者の発言について記録を残さないことは不適切ではないか。政府の見解如何。
七 本発言は米国の核戦略に影響を及ぼし、日米の安全保障政策の根幹に関わる問題であるため、一定期間は機密扱いにすることは妥当であるものの、後世、日本の安全保障政策の意思決定過程を検証し、ひいては日本の民主主義の健全な発展に資するためには、記録の保存、公開が欠かせないと考える。国民が知らないうちに、かかる枢要な発言を駐米公使が行い、米政府がそれを受けて政策を決定していくことは由々しきことであると考えるが、政府の見解如何。
右質問する。