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平成三十年四月六日提出
質問第二一六号

長距離巡航ミサイルに関する質問主意書

提出者  宮川 伸




長距離巡航ミサイルに関する質問主意書


 平成二十九年十二月八日、小野寺防衛大臣は、概算要求に上がっていなかった、航空自衛隊の戦闘機に搭載するスタンド・オフ・ミサイルの導入経費を、平成三十年度予算に追加要求することを突如表明しました。その後の財務当局との折衝を経て、当該ミサイルの導入経費は、同年度予算に組み入れられました。
 今般導入されるスタンド・オフ・ミサイルは、公刊資料によると、F三五Aに搭載するスタンド・オフ・ミサイル(JSM)の射程が約五百キロメートル、F一五などへの搭載を検討しているスタンド・オフ・ミサイル(LRASM/JASSM)の射程が約九百キロメートルとされています。我が国領空から九百キロメートル圏内には、朝鮮半島全域、中国の一部及びロシアの沿海地方が含まれます。当該ミサイルは、一般に「長距離巡航ミサイル」と呼ばれるもので、敵基地攻撃の用途にも使用可能とされております。
 「敵基地攻撃」に関する政府の従来からの見解は、「他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能である」が、その能力は米国に依存し、我が国が自ら保持しないこととなっていました。また、我が国は憲法のもとで専守防衛を貫いてきました。平成二十九年版防衛白書には、「専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢をいう。」と記載されています。今般の長射程のスタンド・オフ・ミサイルの導入に当たっては、これらの従来の政府見解との関係について慎重に議論する必要があり、平成三十年三月二十日の安全保障委員会でも取り上げたところです。
 同委員会において、小野寺防衛大臣は、スタンド・オフ・ミサイルを導入する理由の一つとして、「昨年夏の概算要求以降、北朝鮮による核・ミサイル開発がこれまでにない重大かつ差し迫った脅威となっており、BMD任務に従事するイージス艦を防護する必要性が高まっております。」と説明しています。
 そこで以下のとおり質問します。

一 射程九百キロメートルのスタンド・オフ・ミサイルが必要な場合として、どのような状況を想定しているのですか。例えば、F一五が配備されている航空自衛隊小松基地から日本海の中心までは四百キロメートル程度、北朝鮮までは八百キロメートル程度なので、日本海で弾道ミサイル防衛(BMD)任務に従事しているイージス艦を、攻撃する敵から防護するため、九百キロメートルもの射程が必要だとは思えません。わざわざ、九百キロメートル離れた太平洋側に行った上でミサイルを撃つことも想定し難いと思われます。
 政府は、BMD任務に従事しているイージス艦やそのイージス艦を防護する航空機が、「どこから」、「どのように」攻撃されることを想定し、それに対し我が国が「どこから」、「どのように」防護するため、約九百キロメートルの射程とされるスタンド・オフ・ミサイルが必要であると考えているか、できるだけ具体的にわかりやすく説明をお願いします。
二 射程九百キロメートル圏内には、我が国の領空から朝鮮半島全域、中国の一部及びロシアの沿海地方が含まれます。スタンド・オフ・ミサイルは、敵基地攻撃のためにも使用可能なものと思われますが、なぜこれが自衛のための必要最小限度の範囲を超えないと言えるのか、政府の見解を伺います。

 右質問する。



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