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平成三十年四月十八日提出
質問第二三四号

国民皆保険制度を維持するための高齢者医療制度の見直しの必要性に関する質問主意書

提出者  西村智奈美




国民皆保険制度を維持するための高齢者医療制度の見直しの必要性に関する質問主意書


 四月五日、新聞各紙で、全国の生協(コープ)の従業員や扶養家族約十六万四千人が加入する「日生協健康保険組合」が早ければ今年度いっぱいで解散する方向で検討していると報じられた。また十四日には、人材派遣会社の従業員と家族約五十万人が加入する「人材派遣健康保険組合」も財政悪化を理由に、早ければ今年度中に解散する方向で検討に入ったと報道されている。
 こうした健康保険組合解散の最大の原因は、高齢者医療のための拠出金負担が重く、これをまかなうために毎年のように保険料が上昇しているためであることが指摘されている。
 健康保険組合が解散すると、加入者は協会けんぽに移行することになる。
 健康保険組合連合会(健保連)が昨年の夏にまとめた予測によると、このまま負担増が続くと、二〇二五年度までに三百八十組合が解散して協会けんぽに移る可能性があると指摘している。協会けんぽには国庫負担金が投入されており、仮に三百八十組合が協会けんぽに移れば、国庫負担は一八〇〇億円増加すると試算されている。
 国民皆保険そのものに重大な影響を与えかねない急速な変化が起きており、このまま放置すれば深刻な結果を招きかねない。よって以下の通り質問する。

一 日生協健康保険組合や人材派遣健康保険組合のような、解散の動きや今後の解散発生の可能性について、政府はどう考えるか。
二 協会けんぽに対する国庫補助は、平成二十二年度に十六・四パーセントに引き上げられており、協会けんぽの財政安定化に大きく寄与しているが、このことが健康保険組合の財政運営に与える影響についてどのように考えるか。
三 健康保険組合の解散、協会けんぽへの移行による国の財政への影響はどの程度だと考えるか。
四 国民皆保険制度を維持するためにも、高齢者医療制度の見直しによる被用者保険の拠出金負担の軽減や健康保険組合への財政支援策の強化など、財政安定化のための対策が必要ではないか。
五 高齢者医療への過重な拠出金を負担している現役世代の負担はすでに限界に達している。団塊世代が後期高齢者に移行する二〇二五年度を見据えれば、現行の高齢者医療制度の見直しは避けて通れないのではないか。国民皆保険制度の維持、現役世代の負担軽減の観点から、抜本的な改革が必要ではないか。
六 政府の「経済・財政再生計画改革工程表」では、平成三十年度中に結論を出すべき医療保険分野の改革項目として、@後期高齢者の窓口負担のあり方、A外来時の定額負担、B薬剤自己負担、C金融資産を考慮した負担のあり方等が挙げられている。このうち、後期高齢者は給付に比べ負担が極端に軽い。高齢者にも応分の負担を求めるべきではないか(例えば、原則一割負担とされている七十五歳以上の患者負担割合の見直し)。現役世代の拠出金負担軽減、将来世代のための見直しが必要ではないか。
七 健保連の推計によれば、団塊世代が後期高齢者となる二〇二五年度には国民医療費は五七・八兆円に達する見込みで、このうち後期高齢者医療費は二五・四兆円と四割以上を占める。これに伴い、健保組合の高齢者医療への拠出金の額も大幅に増加し、八百七十組合という半数以上の組合において、拠出金が法定給付費を上回るという異常な状況に陥る。また健康保険料率も上昇(二〇一五年度九・一パーセントが二〇二五年度十一・八パーセント)し、二〇二五年度には三百八十組合が協会けんぽの料率を超え、解散を検討せざるを得なくなる。健保組合の財政危機に対して、対応が必要ではないか。
八 たとえば、消費税等の配分を見直して高齢者医療に財源を分配し、健保組合の過重な拠出金負担に対し上限を設定するなどして負担を軽減してはどうか。平成二十七年の通常国会で、塩崎前厚生労働大臣は、「二十九年度において、全ての健保組合の義務的支出に占める拠出金の割合を仮に五十パーセントにするには約六四〇億円が必要と推計される」旨答弁した。後期高齢者支援金の全面総報酬割制度導入に伴う健保組合への追加支援である約七〇〇億円の範囲内だということだったが、今後の健保組合への財政的支援についてはどのように考えているか。仮に、拠出金の割合を五十パーセントにするためには、今後どの程度の額が必要になるのか。
九 平成二十九年度から導入された「特別負担調整」という仕組みでは、拠出金負担の重い上位の保険者の負担軽減に一〇〇億円を充てるとされてきたが、「一〇〇億円」が固定されているため、拠出金が増加するなかでは軽減効果が不十分となる。財政規模の拡大、または対象範囲を優先して財政規模を定めるなどの見直しが必要ではないか。

 右質問する。



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