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平成三十年四月十八日提出
質問第二三五号

幹部自衛官による国会議員への「国民の敵」との発言に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




幹部自衛官による国会議員への「国民の敵」との発言に関する質問主意書


 平成三十年四月十六日、国会議事堂周辺の公道で、防衛省統合幕僚監部に所属する三等空佐が小西洋之参議院議員に暴言を浴びせかける事件が発生した(「本件事件」という。)。
 翌十七日、参議院外交防衛委員会で小西議員は、「昨晩の午後九時前でございますけれども」、「参議院の議員会館を出てすぐのところ、国会議事堂の目の前の公道の場で、現職の自衛隊員と名のる者から、私は、おまえは国民の敵だなどと繰り返し罵声を受けました」、「職務質問を行う複数の警察官が集まってくれましたけれども、そうした警察官の前でもそうしたおまえは国民の敵だというような発言を繰り返しました」と本件事件の状況について発言を行った。
 自衛隊法第五十八条は、「隊員は、常に品位を重んじ、いやしくも隊員としての信用を傷つけ、又は自衛隊の威信を損するような行為をしてはならない」とし、同法第六十一条では、「隊員は、政党又は政令で定める政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもつてするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない」と規定されている。
 幹部自衛官に求められるものとして、防衛大学校の初代学長の槇智雄氏が示した「服従の誇り」がある。槇氏は、「服徒の真価はみずから進んで行なうところにある。よい服従は表裏のない誇りをもった服従であり、それは自律にまで高めることができる」と示し、幹部自衛官の政治への服従、すなわち、シビリアンコントロールの本質を教示している。
 このような観点から、以下質問する。

一 本件事件は、どのような状況下で、何分間にわたり、どのような罵声を小西議員に浴びせかけたのか。その経緯の全てについて具体的に示されたい。
二 四月十七日に河野統合幕僚長が小西議員への謝罪のために参議院議員会館の小西議員室に訪問したと承知している。本件事件について、政府はどのような点が問題であると認識しているのか。政府の見解如何。
三 四月十七日、小野寺五典防衛大臣は、「不快な思いをさせたのであれば申し訳ない。国民の一人として当然思うことはあると思うが、それを口にするかどうかは自分が置かれた立場をおもんぱかって対応すべきだ」と述べたと承知しているが、本件事件は小西議員に「不快な思いをさせた」だけにとどまる問題であるとは到底考えられない。実力組織に属する佐官級(指揮官級)である幹部自衛官が、警備中の警察官が制止に入ったにもかかわらず、長時間にわたり、選挙で選ばれた国民の代表たる国会議員であることを承知の上で、繰り返し罵声を浴びせることは、かかる国会議員にとっては不快感のみならず、恐怖感を引き起こすものであろう。本件事件は、刑法上の脅迫や暴行にも相当する重大な影響を与えるものではないか。政府の見解如何。
四 小野寺防衛大臣は「不快な思いをさせたのであれば申し訳ない」と発言したが、これは誰に対する陳謝であるのか。政府の見解如何。
五 四に関連して、小野寺防衛大臣が陳謝の言葉を口にするだけで済む問題であるのか。政府の見解如何。
六 本件事件は、自衛隊法第五十八条および同法第六十一条に違反するのではないか。政府の見解如何。
七 小野寺防衛大臣は、「国民の一人として当然思うことはあると思うが、それを口にするかどうかは自分が置かれた立場をおもんぱかって対応すべきだ」と発言しているが、三等空佐の内心の自由は当然に保障されるべきものの、国会での言論に関して、その国会議員が「国民の敵」であると決めつけるような自衛隊員の存在を容認するという理解でよいか。政府の見解如何。
八 槇智雄氏が「服従の誇り」で示すように、「服徒の真価はみずから進んで行なうところにある。よい服従は表裏のない誇りをもった服従」であることが、シビリアンコントロールの本質であると考える。小野寺防衛大臣のいうところの、「国民の一人として当然思うことはあると思うが」との発言はかかる「服従の誇り」を否定するもので、本来、その「真価はみずから進んで行なうところ」に反するものである。現在、自衛隊員に対する教育では、かつて槇智雄氏が「服従の誇り」で示していたような精神は過去のものであり、尊重する必要はないと考えているのか。政府の見解如何。
九 小野寺防衛大臣の「国民の一人として当然思うことはあると思うが」との発言は、昭和十一年二月二十六日午後三時三十分の「陸軍大臣告示」でいうところの、「諸子ノ真意ハ国体顕現ノ至情ニ基クモノト認ム」と軌を一にするものであり、実力組織の指揮官としては到底容認できない、シビリアンコントロールに反する認識を幹部自衛官が持つことを大臣が容認するものである。かかる陸軍大臣告示などが容認されていくことで、戦前のわが国の文民統制は崩壊し、先の大戦で多くの国民に惨禍がもたらされることになった。小野寺防衛大臣はかかる発言を撤回し、謝罪すべきではないか。政府の見解如何。

 右質問する。



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