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平成三十年四月二十五日提出
質問第二五三号

生活保護基準改定における前回の検証(平成二十四年検証)と今回の検証(平成二十九年検証)の検証方法の違いと検証結果に及ぼす影響に関する質問主意書

提出者  池田真紀




生活保護基準改定における前回の検証(平成二十四年検証)と今回の検証(平成二十九年検証)の検証方法の違いと検証結果に及ぼす影響に関する質問主意書


一 年齢に応じた水準(「一類費の基準額」)について
 (一) 平成二十四年検証では、第一・十分位の消費支出と生活扶助基準の乖離率を算出する際、検証対象の年齢区分につき、「一類費の基準額」の年齢区分(〇〜二、三〜五、六〜十一、十二〜十九、二十〜四十、四十一〜五十九、六十〜六十九、七十〜)を採用している。
  これに対し、平成二十九年検証では、「一類費の基準額」の年齢区分(平成二十四年検証の年齢区分)と全く異なる年齢区分(〇〜五、六〜十一、十二〜十七、十八〜六十四、六十五〜七十四、七十五〜)を採用しているが、これにより、@平成二十四年検証において、生活扶助費が大幅に上方乖離していた(生活扶助費を下げるべき)「十八歳〜十九歳」・「二十歳〜四十歳」の年齢層が、A同検証において、生活扶助費が若干上方乖離していた(生活扶助費を少しだけ下げるべき)「四十一歳〜五十九歳」の年齢層と、B同検証において、生活扶助費が下方乖離していた(生活扶助費を上げるべき)「六十歳〜六十四歳」の年齢層と一緒になることで、「十八歳〜六十四歳」の年齢層全体として、生活扶助費が上方乖離しているという検証結果が導かれている。
  上記のような検証の際の年齢区分の変更は、生活扶助費の一類費の年齢区分と異なるという意味で、また実態に反するという意味で、極めて恣意的ではないか。
  このような不合理な年齢区分による検証を行ったのは、生活保護受給者の多くを占める高年齢世帯の生活扶助費を下げなければ、全体の生活扶助費を下げることができないという理由からではないか。当初から生活扶助費全体を下げるという目的があったのではないか。
 (二) 厚労省は、平成二十九年検証の「一類費の基準額」に関する年齢区分につき、
  「〇 そのうち、十七歳以下の子どもの年齢区分については、子どもの就学状況等により必要な生活費にも変動が考えられることから、未就学時期の〇〜五歳、小学生六〜十一歳、中高生十二〜十七歳の区分とすることとした。
 〇 十八歳以上の成人期については、
  ・身体機能や社会活動の状況や実際の消費支出の差については、年齢による差よりも個人のライフスタイル等による影響が大きく、年齢差を考慮しないことがより妥当と考えられること、
  ・六十〜六十四歳については、老齢年金支給開始前の年齢で、近年就業率も上昇しており、成人期と同等に取り扱うことが適当であること
  から、十八〜六十四歳までを一つの区分としてまとめることとした。
 〇 六十五歳以上の高齢期については、身体機能や社会活動の状況の変化に伴い、消費支出も六十五歳の前後及び七十五歳の前後を境にしてそれぞれ変化がみられることから、六十五〜七十四歳、七十五歳以上の二つの区分とすることとした。」と説明している(基準部会報告書十二ページ)。
  上記の説明は、具体的なデータに基づく検証を経たものか、それとも客観的な根拠がないものか。仮に具体的なデータに基づく検証を経たものであるのであれば、検証に用いたデータ及び検証方法を明らかにされたい。
  特に、例えば、十八歳・三十歳・四十歳・五十歳・六十五歳・・・の個人は、年齢ごとに定型的に消費行動が異なると考えられることからすると、「十八〜六十四歳までを一つの区分としてまとめる」という結論には、合理性がない。六十五歳以上を細分化したにもかかわらず、「十八〜六十四歳」を一まとめにした理由は何か。
二 世帯人員に応じた水準(「一類費の基準額」)について
 平成二十四年検証では、世帯人員に応じた、第一・十分位の消費支出と生活扶助基準の乖離率を算出する際、「単身の消費支出」を一と設定したため、「現行の(単身の生活扶助)基準」は、〇.八八となり、両者の乖離率は、一.一三六となった結果、平成二十五年の生活扶助費の改定の際には、一類費につき、世帯人員に応じた乖離率として、一.〇六八(一.一三六の二分の一)の上方修正が行われている。
 これに対し、平成二十九年検証では、「世帯人員毎の世帯の消費の平均値(第一類費相当支出、第二類費相当支出別)を算出して単身世帯を一」(「基準部会報告書参考資料十ページ」)とする一方で、「第一類費、第二類費別に世帯人員別の基準額の指数(単身世帯を一としたもの)」(基準部会報告書参考資料十二ページ)とした結果、「単身の消費支出」を一として多人数世帯の消費支出をそれぞれ指数化するとともに、これとは別に、「現行の(単身の生活扶助)基準」を一として多人数世帯の生活扶助費をそれぞれ指数化したことになり、平成二十四年検証の場合と異なり、「単身の消費支出」と「現行の(単身の生活扶助)基準」との乖離が考慮されなくなってしまっている。
 平成二十九年検証において、上記のような方法(「単身の消費支出」を一と設定する一方で、「現行の(単身の生活扶助)基準」も一と設定する方法)を採用した理由は何か。また、上記の点について、平成二十九年検証は、平成二十四年検証と異なる検証方法を採用したことにはならないか。平成二十四年検証と同様の方法によった場合、「単身の消費支出」と「現行の(単身の生活扶助)基準」との乖離は、いかなる数値となるか。
三 級地間較差について
 平成二十四年検証では、級地間較差に関する、第一・十分位の消費支出と生活扶助基準の乖離率を算出する際、「一級地の一の消費支出」を一と設定したうえで、各級地の第一・十分位の消費支出及び各級地の生活扶助基準を指数化し、両者の間の乖離率を算出している。
 これに対し、平成二十九年検証では、「全級地平均の生活扶助相当支出額を一」(基準部会報告書十九ページ)と設定したうえで、各級地の第一・十分位の消費支出及び各級地の生活扶助基準を指数化し、両者の間の乖離率を算出している。
 平成二十九年検証において、上記のような方法(「全級地平均の生活扶助相当支出額を一」と設定する方法)を採用した理由は何か。また、上記の点について、平成二十九年検証は、平成二十四年検証と異なる検証方法を採用したことにはならないか。平成二十四年検証と同様の方法によった場合、各乖離指数は同じ数値となるか。

 右質問する。



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