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平成三十年五月九日提出
質問第二七九号

相対的貧困状態の家庭の子の教育環境の実態調査に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




相対的貧困状態の家庭の子の教育環境の実態調査に関する質問主意書


 兵庫県尼崎市は子どもの貧困対策に取り組むため、小中学生を対象に「経済的に恵まれていない家庭の子と、それ以外の子との間には、生活習慣の傾向に違いがあるのか」という観点から初めて調査を行った。調査項目として、ゲームへの依存度、虫歯の有無などを設定したと承知している。
 尼崎市によると、「子どもの生活に関する実態調査」は、平成二十九年九月、尼崎市立の学校に通う小学五年と中学二年とその保護者を対象に実施された。
 収入を含めて回答した約二千三百三十世帯を、相対的貧困の状態にある家庭(約二百三十世帯)と、それ以外の家庭(約二千百世帯)に分け、両グループの傾向を比較した。
 一日に授業以外でどのくらい勉強するかを尋ねた質問では、小中学生ともおおむね相対的貧困層の子の勉強時間が短い傾向にあった。「まったくしない」と答えた子の割合を両グループで比べると、小学生では貧困層の方が四・五ポイント高かった。中学生ではさらに差が開き、十・八ポイント差となった。
 OECD(経済協力開発機構)では、等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人数の平方根で割って算出)が全人口の中央値の半分未満の世帯員を相対的貧困者と定義している。相対的貧困率は、単純な購買力よりも国内の所得格差に注目する指標であるため、日本など比較的豊かな先進国でも高い割合で存在すると考えられている。
 「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」は、一九八九年の国連総会において採択され、一九九〇年に発効した。我が国も一九九四年に批准している。同条約第二十八条1では、「締約国は、教育についての児童の権利を認めるものとし、この権利を漸進的にかつ機会の平等を基礎として達成するため、特に、(a)初等教育を義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとする」とされ、同条約第二十九条1では、「締約国は、児童の教育が次のことを指向すべきことに同意する」とし、「(a)児童の人格、才能並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること」が謳われている。
 これらを踏まえ、相対的貧困状態の家庭の子の教育環境について疑義があるので、以下質問する。

一 政府として、相対的貧困状態にある子の教育環境についての実態調査を行ったことはあるか。
二 各自治体で行われている調査のうち政府が把握しているのはどの程度か。それは全国の基礎自治体のうちのどの程度の割合か。政府の見解如何。
三 尼崎市の行った実態調査では、回答した約二千三百三十世帯のうち相対的貧困の状態にある家庭(約二百三十世帯)とそれ以外の家庭(約二千百世帯)に区分しているが、これは我が国の平均的な相対的貧困状態の家庭の分布と比べて高いのか、あるいは低いのか。政府の見解如何。
四 尼崎市の生活保護の受給率は平成三十年一月時点で四・〇五%であり、全国値平均値の一・六七%を大きく上回っている。二〇一六年度の厚生労働省の統計では、全国の政令指定都市・中核市で大阪市が五・三五%、函館市が四・六三%であり、尼崎市の四・〇六%は三番目に受給率が高い。大阪市ならびに函館市の相対的貧困の状態にある家庭とそれ以外の家庭の比率はどの程度か。政府の見解如何。
五 尼崎市の行った実態調査では、一日に授業以外でどのくらい勉強するかを尋ねた質問では小中学生ともおおむね相対的貧困層の子の勉強時間が短い傾向にあった。政府は、かかる傾向は全国的にも妥当する傾向であると考えるのか。政府の見解如何。
六 子どもの権利条約で謳われているように「児童の人格、才能並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること」は政府の責務であると考える。政府は全国的な実態調査を行ってその現状を把握し、相対的貧困状態の家庭の子の教育環境を向上させるように取り組むべきではないか。相対的貧困状態の家庭の子の教育環境の向上は貧困の連鎖を断ち切るためにも欠かせないものである。政府の見解如何。
七 現在、相対的貧困状態の家庭に対する特別な支援措置としてどのようなものが存在しているのか。

 右質問する。



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