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平成三十年五月十四日提出
質問第二九七号

タンカー衝突事故により流出した油状物等に関する質問主意書

提出者  山崎 誠




タンカー衝突事故により流出した油状物等に関する質問主意書


 平成三十年一月六日、東シナ海でイランの石油タンカー「サンチ」号が香港籍の貨物船と衝突、沈没した事故で流出した油等は、奄美大島から西方約三百十五キロメートル沖の日本の排他的経済水域まで漂着が確認された。さらに三月十七日には和歌山県沖にてパラオ船籍の貨物船「DONG KUN7」の事故も発生している。
 そこで、これら石油タンカー事故によって起こる諸々の政府の対応および生物被害に対する対応等について質問する。

一 平成十八年十二月八日に閣議決定された「油等汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」(以下、国家緊急時計画という)において、タンカーの油流出事故に対応するため、優先順位を含めた政府の対応方針が明記されている。
 1 今回の事故では、この手順が機能したのか。
 2 また、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第四十二条の二十五にて定義が行われている一号業務が行われたのか。行われた場合も行われなかった場合もその意思決定プロセスを示されたい。
二 国家緊急時計画で定められた手順通りの対応がなされなかったとすれば、それはなぜなのか。今回の事故に対する対応とその法的根拠、その原因や理由を示されたい。
三 今回事故を起こした船の積荷は揮発性の高いコンデンセートであったが、仮に積荷が原油等の非揮発性油であった場合、どのような被害が生じたかシミュレーションしているか。もしシミュレーションをしていればその結果を示されたい。
四 国家緊急時計画の第二章第六節には「外務省は、国土交通省及び海上保安庁と協力しつつ、近隣諸国等との油等汚染事件発生時の連絡体制の強化」や「海洋汚染に関する協力体制の一層の強化」がうたわれている。
 1 今回の事故では、具体的にどのように機能したのか。
 2 また、今回の事故を受けて、国家緊急時計画の改訂が必要と考えるが政府の見解を明らかにされたい。
五 今回の事故発生を受け、生態系や希少な野生生物の保全のためのモニタリングを継続することが重要と考えるが、国家緊急時計画のもと、事故発生後から現在までに実施された環境影響調査の具体的な内容と実施結果を示されたい。
六 今回の事故では、過去に人類が経験したことのない量のコンデンセートが海洋に流出した。平成二十二年にメキシコ湾で起こった海底油田事故では、事故発生後、数年を経過してからイルカに深刻な被害が生じたことが報告されている。
 1 今回の事故を受け、今後、長期的かつ複合的な被害のモニタリング計画が必要と考えるが、政府の見解を問う。
 2 あわせて、今後の取り組みについて、その具体的な内容、期間、予算額、自治体との連携策等、関係する省庁による施策を明確に示されたい。
七 今回の事故が発生したのは東シナ海であり、日本、中国、韓国をはじめとする沿岸国との長期的かつ効果のある情報共有が必要と考えるが、どのように対応しているか。
八 環境への被害やモニタリングの状況に関する情報が、政府によって迅速に公開されているとは言い難いと考えているが、見解を示されたい。また、国家緊急時計画では、国民への情報提供の仕組みがなく、情報を一元的に集約して国民に公開する方策などを検討し、計画に盛り込む必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。
九 国家緊急時計画の第三章第十二節では、関係行政機関、地方公共団体等は「油等汚染事件による沿岸域の生態系等環境への影響は、回復に長期間を要することがある」として「水質、底質、野生生物等への影響の調査を段階的・継続的に実施し、講じた措置の効果を検証する。」と明記されている。
 1 今回の事故の場合、関係行政機関、地方公共団体等は、どれほどの期間モニタリングを行うのか。
 2 また国は、地方公共団体等に対し、先に示した措置をとるための支援が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。
十 タンカー事故以降、複数の地方自治体にイルカが漂着した例があるものの、そうした情報が共有されないほか、被害の影響を分析するための検体としての活用もなされないまま、埋めたり隠されたりしている例があると聞くが、事実関係を確認されたい。また、メキシコ湾では、事故後に漂着した生物の死体を回収し、有識者の科学的な診断が行われている。日本でも同様の体制や専門家が参加したモニタリング体制の新たな整備が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。
十一 漂着した生物の死体を研究に活かすためには、漂着した地域の地方自治体が情報を把握し、国と共有するなどの仕組みが必要と考えるが、現状ではどのような体制、手順となっているのか明らかにされたい。特に仕組みがない場合、そうした仕組みの必要性について政府の見解を示されたい。
十二 被害が生じた地域の地方自治体は、事故の原因者に損害賠償を請求するまで、対応に要した費用等を立て替えて対応することになる。いつ発生するか予測しがたい事故に備えて、迅速に対応できる体制や予算を地方自治体は確保しているのか。今回の事故で実際行われた或いは行われようとしている対応とあわせて政府の見解を示されたい。
十三 初動体制の確立、被害への対応業務の指揮の統一、観光被害、環境被害、漁業被害額の算定など被災者の支援を取りまとめる組織、体制はどうであったか、或いは行われようとしているか示されたい。また、その体制の不備が指摘され、改善を求める意見が出されていると承知しているが、政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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