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平成三十年五月十八日提出質問第三〇六号
政府の卸売市場改革に関する質問主意書
提出者 岡本あき子
政府の卸売市場改革に関する質問主意書
卸売市場制度は、国民の食生活の根幹を支える生鮮食料品等の流通を、国民のための食料安全保障の立場から、企業の一方的な思惑やその営利活動の対象にさせることなく、公共の場で、社会的な需要と供給を突き合わせ、社会的な公正価格を決定し、これを建値として提示することで国民の生活に資するという使命を果たしてきた。
一方では、生産者側に対して、需要と供給の関係による生産の過剰・不足などの状況を日々の取引状況や結果を示すことにより、過剰生産の長期化などによる生産体制の弱化、危機などを防止し、国民の食料安全保障の根幹となる生鮮食料品生産体制の安定した発展に貢献してきた。
これらと併せて、もう一つの重要な使命として、卸売市場において、生産された生鮮食料品を公正・公平に価格形成を行い、これを地域の加工業者、各種の小売や飲食店、更には旅館やホテル業などのサービス産業等々に卸すことにより、資本の大小に脅かされることのない、自立した地域経済活動と地域の雇用を育んできた。そのため卸売市場では、取引に関わる者が誰であろうとも、価格決定権を保持させてはならない、価格操作・誘導の出来る立場においてはならないという、一般にはあまり見られない「完全競争原理」が採用され、今日に至っている。
これら卸売市場の状況を踏まえ、以下質問する。
二 卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案では、これまで経済的地位を利用した特権的で不公平な行為などを厳重に監視してきた国や自治体などの公的関与を、ゼロに等しいレベルへと格段に弱めている。その上、市場ごとの細部にわたる取引ルール(業務規程)を策定する権限を担って来た「開設者」の地位そのものを、地方公共団体から民間にも開放出来るとする法案となっている。これでは、取引ルールが一部の民間企業の思いのままとなり、卸売市場はその一部にとって恣意的な運営や取引、撤退までも可能な税金投与つきの物流センターにされかねない。このリスクに関しての政府の見解はいかがか。
三 今回の改正法案によって、卸売市場が大手企業や多国籍資本の独壇場になりかねない危険がある。それは結果として、日本国民の食生活ばかりか、地元生産者や地元事業者が淘汰され、国民の圧倒的多数が依拠し、生計の拠りどころとしている地域経済の軸としての自立性・独立性が奪われるものと考えるが、政府の見解はいかがか。
右質問する。