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平成三十年六月一日提出
質問第三四二号

原発ゼロ・再生可能エネルギーへの全面転換に関する質問主意書

提出者  中谷一馬




原発ゼロ・再生可能エネルギーへの全面転換に関する質問主意書


 原子力政策は、非常に大きなテーマであり、私たちの世代がエネルギー政策をどのように考え、子や孫の世代に何を残すのか、国民一人ひとりが問われている。
 原発は、現時点の技術においては残念ながら人類との共存が困難である。こうした現状を踏まえれば、私たちのおかれた現状は、「原発に頼るか頼らないかの時代」ではなく、「原発に頼れない時代」であるという明確な認識を持った行動が必要だと考える。
 こうした観点から時代の岐路に立つ今、原発ゼロ・再生可能エネルギー推進で、産業構造の転換を図り、強い経済と安心雇用を担保した安心安全なエネルギー社会を目指すべきであると考えるので、次の事項について質問する。

一 新聞各社の世論調査を見ると、我が国の世論も原発ゼロに根強い支持があり、平成三十年一月十五日の共同通信の調査では、原発即時停止に賛成四十九%、反対四十二%とされ、また、同年二月二十日の朝日新聞の調査では、原発再稼働に反対六十一%、賛成二十七%となっている。
 また、同年五月十四日の東京新聞の分析によれば、エネルギー政策に関する「意見箱」に寄せられている意見も、三分の二が現行の原子力政策に反対とされている。
 このように、国民世論からは、原発再稼働に反対の意向が強く、原発に頼らない社会を求める熱意はすこぶる強い状態であり、原発ゼロを目指した取り組みが求められていると考えるが、政府はこの声をどのように受け止めているのか、見解を明らかにされたい。
二 経済産業省ホームページ「世界の原発利用の歴史と今」によれば、世界の潮流もドイツ・韓国・ベルギー・台湾・スイス・イタリア・オーストリア・オーストラリア等は原発ゼロに向けた舵を切り、米国は三十年間新規建設なく事業者も今後投資する意思はないとされている。
 また、英国でも、二〇三〇年までに一基を残し閉鎖予定で自国による新規建設はなし、フランスもオランド前大統領当時の「エネルギー転換法」による縮減方針など、世界的に衰退傾向を示しているが、こうした世界各国の動向を我が国はどのように捉え、政策に反映させていこうと考えているのか、政府の見解を明らかにされたい。
三 我が国は、東日本大震災後、全国の原発が順次停止され、ほぼ「原発ゼロ」状態となったが、原発ゼロでも日本社会は回ってきた。近年、再稼働した原発もあるがその割合は、二〇一六年で、一.七%に過ぎず、原発に頼る必要は全くないと言えるのではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
四 平成二十六年に閣議決定されたエネルギー基本計画では、「原発依存度を可能な限り低減する」としているが、この文言が示す意味について、具体的にどのような状況を想定しているのか、政府の見解を明らかにされたい。また、原発の電源構成比率については、平成二十七年の長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)において二〇三〇年度に二十%から二十二%にしていることから、これを見直し、原発依存度をさらに低くする見通しをたてるべきと考えるが、政府の見解を伺いたい。
五 政府は、原発を「原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める」としているが、これは原発の事故発生のリスクを完全にコントロールし、二度と事故を起こすことはないということを政府が保障して責任を担えるものであると考えているのか、見解を明らかにされたい。
六 政府は、「原発ゼロは責任あるエネルギー政策とは言えない」旨の表明をしているが、事故が発生した場合には政府がその影響に関する全ての責任を担えると考えているのか、政府の見解を明らかにされたい。
七 原発停止の影響として、政府は、「多くの原発が止まり、東日本大震災前から一般家庭の電気代が十%上がり、国民負担が増大し、火力発電の燃料代二十五兆円が海外に流出した」としている。しかし原発に関連した費用も高額であり、建設費用については東日本大震災後に高騰しており、一基あたり約一兆円程度かかるということが有識者からも示されている。また、事故処理・廃炉等に要する費用としては、平成二十九年二月二十九日の東京新聞によれば、原発処理費四十兆円、国民一人当たり三十二万円程度の費用が国民負担として求められるのではないかとの意見も述べられているが、このことについてはどのように考えるか、政府の見解を明らかにされたい。
八 原発を費用面から考えれば、イニシャルコスト、ランニング時におけるリスクコントロールコスト、バックエンドコスト、これらに備えた処理対策費用など様々な費用が必要となる。これらを見ても原発の経済合理性は破たんしており、原発の運用は非常に高価になると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
九 大震災後七年間、ほぼ「原発ゼロ」状態でも問題ないことが明らかになった実態を踏まえれば、将来にわたる「原発ゼロ」を行政の長たる内閣総理大臣が宣言する必要があると考える。これにより、各方面が一斉に準備を始めるとともに、電力会社においても、原発用に空けていた送電線に再生可能エネルギーで発電した電気を流すことができ、再生可能エネルギーの活用が急速に拡大するのではないかと考える。こうした観点から安倍内閣総理大臣においては今こそ原発ゼロ・再生可能エネルギーへの全面転換を決断するべきと考えるが、見解を明らかにされたい。

 右質問する。



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