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平成三十年六月六日提出質問第三五九号
外務省ロシア課長の更迭理由に関する質問主意書
外務省ロシア課長の更迭理由に関する質問主意書
平成三十年六月五日、外務省は毛利忠敦ロシア課長に「信用を損なう行為」があったとして、国家公務員法に基づき停職九カ月の懲戒処分とし、ロシア課長の職を免じたことを明らかにした。毛利氏は大臣官房付に異動し、当面、欧州局審議官がロシア課長を兼務すると承知している。
同日、河野太郎外務大臣は、記者団の取材に対し「このような事案が起きたことは誠に遺憾だ」と陳謝し、「厳粛に受け止め、綱紀粛正に努める」と発言した。
複数の報道によると、ロシア課長の更迭はセクハラによるもので、対象は外務省内の女性であると報じられる。河野大臣は更迭理由について、「外交に関わる事案ではない。被害者のプライバシーがあるので言えない」と記者らに語っている。
福田淳一前財務事務次官が辞任に至ったセクハラ事案において、財務省が被害者とされる女性記者に「直接連絡いただきたい」と呼びかけたことに批判が集まり、四月十八日に衆議院財務金融委員会で財務省の矢野康治官房長は「(名乗り出るのが)そんなに苦痛なことなのか」と発言し、批判を浴びたことは記憶に新しい。
財務省におけるセクハラ事案については被害者の女性記者には名乗り出ることを促し、外務省における今次のセクハラ事案と思しき事案については「被害者のプライバシーがあるので言えない」と外務大臣が見解を示している。このため、政府内の省庁による取り扱いの差、さらには被害対象である女性が政府職員(非常勤職員を含む)であるか、民間人であるか、否かで差異を設けているのではないかとの疑念を持たざるを得ない。
このような観点から、以下質問する。
二 財務省におけるセクハラ事案に関しては財務省官房長が「(名乗り出るのが)そんなに苦痛なことなのか」と発言するなど、被害者のプライバシー保護が十分なされていたとは言えないものの、今次の外務省ロシア課長の更迭理由となった事案については「被害者のプライバシーがあるので言えない」と外務大臣が見解を示しているが、省庁間でかかる事案のプライバシー保護の取り扱いに差があるという理解でよいか。
三 財務省におけるセクハラ事案の被害者女性は民間の報道機関に所属する記者であり、外務省ロシア課長の更迭理由となった事案の被害者女性は外務省職員(非常勤職員を含む)であると承知しているが、被害者の職務上の身分、すなわち国家公務員やそれに準ずる身分であるか否かにより、プライバシー保護の取り扱いに差が生じているのか。政府の見解如何。
四 安倍総理を本部長とする「すべての女性が輝く社会づくり本部」において、財務省の前事務次官のセクハラ事案を受けて、各府省庁の課長級以上の幹部職員を対象にセクハラに関する研修への参加を義務づけ、内閣人事局が実施状況を確認するなどとした緊急対策の案を取りまとめると承知しているが、かかる緊急対策では被害者のプライバシー保護についてどのような規定が設けられているのか。プライバシー保護について、被害者の身分の官民の差は生じないことを明記しているのか。政府の見解如何。
五 本件処分は、国家公務員法に基づく停職九カ月の懲戒処分であるが、停職九カ月とした理由を具体的に列挙し明示されたい。また財務省福田前次官に対する処分(減給二十%、六カ月)との違いはどのような理由によるのかも併せて明示されたい。
六 本件の発覚の端緒は何で、時期はいつか。また本件が発覚後のどのような場で処分を決めたのか。
右質問する。