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平成三十年六月十四日提出
質問第三八八号

立野ダムに関する質問主意書

提出者  田村貴昭




立野ダムに関する質問主意書


 熊本県の白川上流に建設がすすめられている立野ダムは、安全性、自然と景観の破壊など様々な問題点が指摘され、南阿蘇村をはじめ流域住民、少なからぬ熊本県民が建設中止を求めている。
 二〇一四年に日本共産党熊本市議会議員団が熊本市民を対象に行ったアンケ−トでは、七割が「立野ダム中止」との回答を寄せ、二〇一六年の熊本地震、その後の大雨・洪水により、ダム建設予定地周辺の大規模な崩落、亀裂が発生し、テレビや新聞等で報じられる中で、その流れは一段と広がっている。
 国土交通省と白川流域首長の意見交換会では、熊本市の大西一史市長が、「ダムの安全性について、国交省は説明を」と発言し、他の首長からも同調の声が上がったとの報道がなされている。
 南阿蘇、熊本市中央区、熊本市北区など白川流域では「白川の安全と立野ダム」についての学習会が開かれ、「立野ダムの工事は一旦中止し、流域住民・県民に説明を」との決議がされ、国土交通省九州地方整備局立野ダム工事事務所、熊本県、熊本市をはじめとする流域自治体へ要請されている。その動きはさらに広がり、熊本市江南・江原・籐園、渡鹿、北区、菊陽、大津、南阿蘇とつながり、「白川の安全と立野ダムを考える流域住民連絡会」結成に至っている。「流域住民連絡会」には、町内自治会の会長、元会長など、広い層の住民が参加し、地域ぐるみの運動に発展しつつある。
 こうした中で、国土交通省九州地方整備局が、立野ダム建設(一期)工事を強行することは許しがたい行為である。
 従って、次の事項について質問する。

一 白川(熊本市街地)の流下能力について
 白川の現況河道流下能力算定表によると、二〇〇八年二月時点では基準地点(代継橋)付近(一二・二キロ地点、以下同じ)では二三六三m3/秒(右岸、以下同じ)、一三キロ地点(大甲橋)では、一五五四m3/秒である。二〇一五年三月時点では、基準地点付近では二六九一m3/秒、一三キロ地点は二六八三m3/秒である。
 二〇一二年の「九州北部豪雨」後の白川の河川改修により、熊本市街地の流下能力が大きく増大したことが明らかになっている。
 ところが、二〇一七年二月時点では、基準地点付近で二三六〇m3/秒、一三キロ地点で二五〇六m3/秒となっている。
 こうした流下能力の減少は、熊本地震とその後の洪水、阿蘇山の噴火等による土砂の流下による堆積によるものと推察されるがいかがか。
 二〇一七年二月の現況河道流下能力算定表にみられる流下能力の減少は、基準地点付近、一三キロ地点にとどまらず、全体として顕著であり、この状態を放置すれば、これまでの河川改修の成果を減退・消失させることになりかねない。
 新世安橋周辺、蓮台寺橋周辺をはじめ熊本市の市街地の堆積土砂の撤去について、流域住民の生命と財産を守るうえで、抜本的な対策が必要だと考える。そのための具体的な計画と予算措置はいかがか。
二 事業費について
 「立野ダム事業検討報告書」によると、「平成二十四年三月末において、約四百二十一億円が実施済みであり、平成二十四年度末における実施見込額は約四百二十六億円である」と記している。
 総事業費約九百十七億円に対して、現時点での実施済み額はいかほどか。
 工事開始以降、年度ごとに予算額、実施済み額、工事ごとの額、国の負担(その際の立野ダム事業、災害復旧、ほかの分類で)、熊本県の負担等について明らかにされたい。今後の出費額の推計を示されたい。
 熊本地震とその直後の豪雨、今年の洪水等によって、工事事務所、工事用道路、仮排水路、周辺山腹、護岸等の被害が著しい。これらの再建、修復等に、現時点まで費やした費用は、いかほどか。
 総事業費は見直すことになるのではないかと考えるが、どうか。

 右質問する。



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