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平成三十年六月二十一日提出
質問第四〇一号

教科書の重量化問題に関する質問主意書

提出者  松平浩一




教科書の重量化問題に関する質問主意書


 近年、学習内容の増加に伴い小中学校の教科書のページ数が増加し、その質量も増加している。業界最大手の東京書籍株式会社によると、約四十年前に使われていた小学三年生の国語、算数、理科、社会の同社教科書の重さは計約九百九十グラムであったのに対し、現行版では計約二千百五十グラムにもなるとのことである(二〇一八年五月二十八日付朝日新聞デジタル)。
 以上を前提に以下質問する。

一 大正大学の白土健教授によると、小学一年生から三年生の児童二十人のランドセルの重さを量ったところ、最高で九.七キログラム、最も軽くても五.七キログラムあり、平均は約七.七キログラムであったとのことである。最も重い九.七キログラムのランドセルを背負っていたのは、小学一年生の女子であったが、文部科学省が二〇一六年に公表したデータによると、この学年の女子の平均体重は二十.八キログラムであるから、体重の約半分の重さを背負っていることになる。児童が背負う荷物の重さは海外でも問題とされており、児童のバックパックやランドセルの重量が重すぎると背部痛が増す傾向にあるため、アメリカカイロプラクティック協会(American Chiropractic Association)は「体重の十%以下」を推奨している。このことに鑑みても、体重の五十%に迫る重さを背負うのは、異常な状況と思われる(二〇一七年十二月十七日付読売オンライン)。
 また、腰痛に悩む児童が増えており、専門家はその原因として教科書の重量化を指摘している。さらに、荷物が重いと体力を消耗しやすく、ランドセルに収まらない荷物で両手がふさがる状態となれば通学時の事故の危険性も高まる。
 近年の教科書の重量化は、児童の健康や安全等に密接に関わる問題であり、早急な実態調査と改善が必要と思料するが政府の見解を示されたい。
二 教科書の大きさやページ数などは、かつて国の教科書検定の細則で決められていたが、同細則は一九八九年に廃止になっている。その後も一般社団法人教科書協会が業界ルールの「目安」を設けていたが、公正取引委員会から排除勧告(平成十一年(勧)第二十四号。以下、「本件勧告」という)がなされた後、二〇〇二年発行の教科書からは、大きさ、ページ数、カラーの分量などが完全に自由になり、「より大きく、見やすく」の流れが一気に加速し、紙質も変わったと言われる(上記朝日新聞デジタル)。
 十九年前に行われた本件勧告の是非について意見するものではないが、現在の教科書の過度な重量化を是正するためには、教科書協会等により教科書の大きさやページ数について一定の従うべき基準が定められることも必要ではないか。一般論として、このように児童の健康や安全を目的とする場合、独占禁止法第八条第四号にいう「構成事業者・・・の機能又は活動を『不当に』制限すること」には該当しないとの考えも有り得ると思料するが政府の見解を示されたい。
三 このような教科書の重量化にも関わらず、学校に教科書を置いて帰るいわゆる「置き勉」を禁止する学校は多い。置き勉について公的なルールはなく、文部科学省は「教材を持ち帰るかどうかは各学校の判断。ただ、体の小さい低学年に対しては状況を見極めて判断してほしい」(児童生徒課)としている(二〇一七年十一月二十二日付日本経済新聞)。このことに関し、ツイッターでは「教科書の学校保管を進めてほしい」という投稿が二万六千リツイートされるなど話題になったことも記憶に新しい。
 長年の慣行となってしまっている置き勉禁止について、各学校における自主的な対応では限界があると思われる。置き勉の容認について、政府が統一的な指針を策定し、あわせて具体的対応にかかる必要な支援等も行うべきと考えるが政府の見解と取組を示されたい。

 右質問する。



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