質問本文情報
平成三十年六月二十七日提出質問第四一〇号
原発輸出に関する質問主意書
提出者 宮川 伸
原発輸出に関する質問主意書
我が国の原発輸出に関連して、次の事項について質問する。
1 自国の原発事故の原因解明や賠償、除染、廃炉の見通しがたたず、被害者救済や復興が終わっていない中で、他国に原発を輸出することは倫理上問題があるのではないか。
2 世界の多くの国が原発廃止に向けて動いている中で、原発輸出は世界の流れに逆行しているのではないか。
二 日本が輸出した原発から発生した使用済核燃料を再処理することで、プルトニウムを抽出することが技術的に可能である。
1 日本が輸出した原発から発生した使用済核燃料が、輸出先の国で再処理される可能性はあるのか。
2 再処理によって抽出されたプルトニウムが、輸出先の国で核兵器に使用されたり、第三国に輸出されたりしないことをどのように担保するのか。
三 福島第一原発事故の被害は甚大であり、大切な故郷を奪われ、厳しい生活を強いられている方々が未だにたくさんいる。事故が起きた時に直接被害を受けるのは地域住民であり、少なくとも地域住民の同意無くして原発建設はあり得ない。
1 このような自国での経験を踏まえれば、原発輸出においても、輸出先の地域住民が反対している状態での輸出は倫理的に考えられない。地域住民の意向がどうであるか、日本政府は輸出を決定する前に確認する必要があると思うがいかがか。
2 イギリスへの原発輸出が報道されている。先日、アングルシー島の住民の方が原発を輸出しないで欲しいとの要望を持って来日した。日立製作所が輸出を計画している原発の建設に関して、アングルシー島の方々は反対していないか。
3 アングルシー島の地域住民に対して原発建設に関する住民説明会やアンケート調査は行われているのか。
四 福島第一原発事故の被害の大きさを考慮すると、住民の避難計画は重要である。
1 原発輸出においても、自国の経験から倫理的に、輸出先の住民の避難計画が整備されているか確認する必要があると思うがいかがか。
2 日立製作所がイギリスへ輸出を計画している原発に関して、アングルシー島の避難計画は整備されているのか。
3 整備されている場合、その範囲は半径何キロメートルか。
4 本土への橋が二本しかなく、通常時も渋滞すると聞いているが、問題ないのか。
五 原発の安全性基準は厳しくなっているので、以前よりも原発建設に係る費用は大幅に上昇している。東芝はウエスチングハウス社の問題で大損害を被ったが、これは東芝一社だけの問題ではなくて、雇用や技術流出など日本の国益にも大きなマイナスとなった。世界は自然エネルギーの利用に急速にシフトしており、もはや自然エネルギーの方が原発よりも安いという実績も出ている。また、原発ビジネスの採算が合わないので廃炉としたケースがいくつもある。このような中で原発輸出にはビジネス的に大きなリスクが伴うことは明らかである。
1 日立製作所のイギリスへの原発輸出に関して、日本政府が、日立製作所が損失を被った場合に最終的に税金で補填することになりかねない約一兆円の債務保証をするとの報道がなされていたが事実か。
2 日立製作所のイギリスへの原発輸出に関して、日本の政府系金融機関が約三千億円を融資するとの報道があるが事実か。
3 政府系金融機関が融資もしくは債務保証するプロジェクトが頓挫し資金回収できない場合、税金を使って損失を補填する可能性はあるか。
4 日立製作所のイギリスへの原発輸出に関して、日本の民間金融機関の出資に対して株式会社日本貿易保険が債務保証するとの報道があるが事実か。
5 日本の政府系金融機関がこれまでに、海外における一兆円を超える大型インフラプロジェクトに出資を行ったケースはあるか。
右質問する。