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平成三十年七月四日提出
質問第四二六号

内閣総理大臣臨時代理の権能に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




内閣総理大臣臨時代理の権能に関する質問主意書


 平成三十年七月三日、安倍総理は自民党の森山裕国対委員長ら国対幹部と総理大臣公邸で会食をした。この場で今般の国会情勢に関する意見交換がなされたと承知している。
 安倍総理は同月十一日から十八日の日程で欧州、中東を歴訪する予定であるが、通常国会の会期末は同月二十二日であり、安倍総理の外遊中に野党が内閣不信任決議案を提出した場合の対応が話題にのぼり、これに対して自民党の国対幹部は、安倍総理の不在時には内閣総理大臣の臨時代理が国会に出席し、内閣不信任決議案の採決を行うことが可能であると説明したと報じられている。
 内閣総理大臣臨時代理は、内閣法第九条の「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う」に由来すると解される。
 内閣総理大臣が死亡・病気・海外出張等で不在となった時、あらかじめ指定された国務大臣が「内閣総理大臣臨時代理」の職名で職務を代行する。内閣総理大臣臨時代理の権限は基本的に内閣総理大臣と同一であるが、内閣総理大臣の一身専属的な職務権限については及ばないと解される。
 平成十二年四月二十五日、参議院予算委員会で津野修内閣法制局長官は、「内閣総理大臣の臨時代理に国務大臣の任免権はあるかということでございますが、この点につきましては、内閣法九条に基づいて臨時代理が内閣総理大臣の職務を行う場合に、一般論としては臨時代理は内閣総理大臣のすべての職務を行うことになりますが、国会において指名された内閣総理大臣の地位に基づく一身専属的な職務権限については臨時代理が行使することができないものと考えております。国務大臣の任免権につきましては、直接内閣の構成に係るものでありますので、国会において指名された内閣総理大臣の地位に基づく一身専属的な職務権限の一つであることから、臨時代理はこれを行使することができないものというふうに考えております。それから、内閣総理大臣の臨時代理に国会の解散権はあるかというようなこととか、あるいは内閣総理大臣の臨時代理が総辞職をすることができるかというような御質問がございましたけれども、これらについても内閣総理大臣の一身専属的な権能に属するものと考えられますので、臨時代理が主宰する内閣において行うことはできないというふうに基本的に考えられております」と発言している。
 これらを踏まえて、以下質問する。

一 内閣総理大臣臨時代理を設置できることの根拠法令とその定義について明示されたい。
二 内閣法第九条でいう「臨時に、内閣総理大臣の職務を行う」ことの「職務」とは具体的にどのようなものか。具体例を明示の上、ご説明願いたい。
三 内閣総理大臣臨時代理の職務の中には、次に掲げる事案は含まれるのか。
 あ) 予算を編成すること。
 い) 衆議院予算委員会で内閣総理大臣の職務に関わることを内閣総理大臣臨時代理として答弁すること。
 う) 条約を締結すること。
 え) 防衛出動を発令すること。
 お) 国務大臣の任命を行うこと。
 か) 衆議院を解散すること。
 き) 内閣を総辞職すること。
 く) 内閣不信任決議案を議題とする衆議院本会議に出席すること。
四 日本国憲法下において、内閣総理大臣臨時代理が内閣総理大臣に代わって衆議院本会議に出席し、内閣不信任決議案の審議が行われた事例はないと承知しているが、事実か。
五 日本国憲法下において、内閣総理大臣臨時代理が内閣総理大臣に代わって衆議院本会議に出席し、内閣不信任決議案の審議が行われた事例がないことは、内閣総理大臣臨時代理の職務の中に衆議院を解散することや内閣を総辞職することが含まれないためであり、それは内閣不信任決議案と一体となるものであり、内閣総理大臣の一身専属的な職務権限に係るからであろう。内閣総理大臣臨時代理が内閣総理大臣に代わって衆議院本会議に出席し、内閣不信任決議案の審議を行うことは内閣法第九条の立法趣旨を鑑みれば、できないと解すべきと考えるが、安倍総理の見解如何。

 右質問する。



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