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平成三十年七月十八日提出
質問第四七九号

外国人労働者の受入れに関する質問主意書

提出者  もとむら賢太郎




外国人労働者の受入れに関する質問主意書


 我が国において人口減少が問題と言われるようになって久しい。国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)の「日本の将来推計人口」(二千十七)によると、二千十七年時点で一億二千六百五十三万人である日本の人口は、二千六十五年には約八千八百八万人まで減少し、百年後には約五千六十万人、二百年後には約千三百八十万人まで減少する。また、出生数が二千十六年に九十七万六千九百七十九人となり百万を割ったが、前述の社人研の推計によると、今後も出生数の減少の流れは止まらず、二千六十五年には五十五万七千人、二千百十五年には三十一万八千人まで落ち込む。安倍内閣は、「希望出生率一・八」の実現を目標としているが、人口維持に必要な合計特殊出生率が二・〇七であることを考えると、たとえこの目標が実現したとしても、出生数及び人口減少の勢いは弱まるものの、依然として止めることはできない。さらに、労働政策研究・研修機構の「労働力需給の推計」(二千十五)によると、二千十四年に六千五百八十七万人いる労働人口が、ゼロ成長・労働参加現状(ゼロ成長に近い経済状況のもと性・年齢階級別の労働力率が二千十四年と同水準で推移)では二千二十年に六千三百十四万人に、二千三十年に五千八百万人に減少すると見込まれる。加えて、経済再生・労働参加進展シナリオ(実質二%程度成長で若者・女性・高齢者等の労働参加が進む場合)のもとでも、二千二十年に六千五百八十九万人、二千三十年に六千三百六十二万人に減少するとされており、労働力人口の減少は止められない。人口減少、およびそれによる労働力人口の減少は、経済成長の減速など深刻な事態をもたらすのは政府も認識している問題であると思われる。ここでは、人口減少および労働力人口の減少に対する解決策の一つとして考えられる外国人労働者受入について取り上げる。
 これまでの「日本再興戦略」や「未来投資戦略 二千十七」においても外国人材の活用や外国人受入環境の整備が掲げられており、政府としても外国人労働者の受入を積極的に進めていると思われる。一方で、政府は千九百九十八年の第六次雇用対策基本計画制定以来、一貫して「高度人材は積極的に受け入れ、単純労働者の受け入れは認めない」という方針を維持しており、平成二十六年に公表された厚生労働省の雇用政策基本方針においても高度人材の受入・活用を優先し、受け入れる外国人の拡大に慎重な姿勢がうかがわれる。
 これらを踏まえ、以下質問する。

一 単純労働者の受入れを政府は否定しているものの、本来海外への技術移転、国際貢献を目的とする技術実習制度が外国人の単純労働者を受け入れる抜け道になっている現状がある。平成二十九年に発表された厚生労働省の「外国人技能実習生の実習実施機関に対する監督指導、送検等の状況」によると、平成二十八年に監督指導を行った実習実施機関のうち、労働基準関係法令に違反しているのは七十・六%にも上り、現場で単純労働力として悪用されている現状が認められる。これに対し、政府はどのような施策を行っているか、また今後どのような施策を検討していくつもりか。
二 先述のように、日本全体の人口減少、および労働力人口の減少は止められない流れであり、これに対処していくうえで、幅広い分野で外国人労働者の受入を進めていくことは不可欠である。厚生労働省の「労働経済動向調査」によると、特に「医療、福祉」「建設業」における人手不足が大きくなっている。これらに対し、政府は主に「医療、福祉」に対しては、フィリピンを始めとするアジア諸国との経済連携協定(EPA)を通して受入を拡大させており、「建設業」に対しては、「専門的・技術的分野の在留資格」による高度人材の受入で対処している。ただ、どちらも限定的であり、さらなる受入を進めるにはさらなる施策が必要と思われる。そこで、この二分野を含め、幅広い分野で外国人労働者をさらに受け入れるために、政府はどのような施策を行っているか、今後どのような施策の検討があるか、について示していただきたい。また、特に「医療、福祉」や「建設業」といった幅広い分野でさらに外国人労働者を受け入れていくために、「専門的・技術的分野」に準じる新たな在留資格の設定について検討しているか、について示していただきたい。
三 幅広い分野で外国人労働者の受入れを進めていく必要があるのは先述の通りだが、そのうえでの国内労働市場においてどの分野で労働力の確保が困難かを判断する基準・システムや業種・職種ごとにどのくらいの受入上限枠の設定を行う制度が現在日本にはない。ドイツ、英国、アメリカなどの国では、該当する制度として「労働市場テスト」や「数量割り当て」といった制度があるが、今後このような制度をおくことを検討しているかどうか、について示していただきたい。

 右質問する。



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