質問本文情報
平成三十年七月十八日提出質問第四八五号
わが国の排他的経済水域である小笠原諸島・南鳥島沖に存在する莫大なレアアース(ジスプロシウム、テルビウム、イットリウム、ユウロビウム等を含む希土類)の発見に関連し、日本国が新時代の海洋大国として発展を遂げるための国家戦略に関する質問主意書
わが国の排他的経済水域である小笠原諸島・南鳥島沖に存在する莫大なレアアース(ジスプロシウム、テルビウム、イットリウム、ユウロビウム等を含む希土類)の発見に関連し、日本国が新時代の海洋大国として発展を遂げるための国家戦略に関する質問主意書
本年四月、英科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』(電子版)に、早稲田大学・東京大学・千葉工業大学・海洋研究開発機構などで構成される研究チームの論文「The tremendous potential of deep-sea mud as a source of rare-earth elements」が発表された。同論文によれば、わが国の排他的経済水域である小笠原諸島・南鳥島から二百五十キロメートル南下した海域の海底に、二千五百平方キロメートルに渡り千六百万トン超のレアアースが存在するとされている。歴史的に、わが国は資源小国であると自覚し、その経済政策を策定してきたが、同論文にて発表された内容によれば、そのレアアースの埋蔵量のポテンシャルは、ハイブリッド自動車のモーターに使用されるジスプロシウムやテルビウム、レーザー技術に使用されるイットリウム、液晶ディスプレイに使われるユウロビウム等において、世界需要の数百年分にも上ると推定されている。これは、わが国が将来の世界経済において大きなプレゼンスを持つために、十分すぎるほど莫大な資源量である。他方、現在はこれらの資源の開発にかかわる技術には未発達な部分も多いとされる。これらの固有資源の存在に対する確固たる認識を持ち、その開発に関する技術の発展を力強く促す政策を実行する必要がある。そして、新たな時代において、わが国が、天然資源と技術力を併せ持った世界に誇る海洋大国『日本』としての地位を築くため、新たな国家戦略を早期に策定するべきである。以上の観点から、以下質問する。
1 前述の論文「The tremendous potential of deep-sea mud as a source of rare-earth elements」について、政府としてその存在を認識しているか。
2 南鳥島より二百五十キロメートル南の海域に、豊富なレアアースが存在しているという知見または認識を、論文発表前の時点で持っていたか。持っていた場合、この海域のレアアースに関して、これまでどのような調査、研究を実施し、どのようなレアアースがどの程度の量、存在すると考えているか。
3 わが国の領海及び排他的経済水域に既述のレアアースを含む未開発の膨大な天然資源が存在し、今後その開発を進めることにより、わが国の経済発展に対し大きな貢献をする可能性があることを認識しているか。
二 わが国の固有資源としてのレアアースの活用について
1 海底深くに存在するレアアースの効率的な採取は現時点で技術的に未発達である。政府としてこうした技術の研究開発に対して、人材育成や資金助成などの形で取り組んでいるか。取り組んでいる場合、具体的にどのような助成や活動を行っているか。
2 わが国の将来的発展に向けた貴重な資源として、海底深くに存在するレアアースの開発を、国家戦略として進めることが必要と考えるが、海底深くに存在するレアアースの採取に関する技術や研究に対し、今後新たな投資や助成を行っていく方針を持っているか。
右質問する。