質問本文情報
平成三十年十一月二十九日提出質問第九三号
固定価格買取制度の運用変更に関する質問主意書
提出者 高井崇志
固定価格買取制度の運用変更に関する質問主意書
電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(以下「FIT法」)に関しては、平成三十年十月二十二日から十一月二十一日にかけて、同法施行規則(平成二十四年経済産業省令第四十六号)(以下「FIT法施行規則」)、および、同法の規定に基づき調達価格等を定める件(平成二十九年経済産業省告示第三十五号)(以下「調達価格告示」)の改正案の意見公募手続きが行われた。
これら改正案のうち、太陽光発電に係る内容については、調達価格等算定委員会の平成三十年十一月八日に発表した意見によると「総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第九回)において、運転開始期限による規律が働かず長期間運転開始しない事業用太陽光発電(いわゆる「未稼働案件」)については、認定当時のコストを前提にした高い調達価格ではなく、運転を開始するタイミングのコストを反映した適正な調達価格を適用するとともに、早期の運転開始を担保するための措置を講じる方向が取りまとめられた」ことを受けて企図したものとまとめられている。
そこでこれら改正案の内容が、その目的に照らして、適切なものとなっているかどうか確認する観点から、以下政府の見解を問う。
またFIT法第十三条には「経済産業大臣は、認定事業者が認定計画に従って再生可能エネルギー発電事業を実施していないと認めるときは、当該認定事業者に対し、相当の期限を定めて、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる」としている。
したがって、未稼働案件の早期運転開始を促すためには、早急な制度変更をするのではなく、まずはFIT法およびこれまでの国会における同法にかかる説明の趣旨に則り、第十二条に基づく「指導及び助言」および第十三条に基づく「改善命令」が広く行われるべきと考えるが、政府はこれまでFIT法第十二条および第十三条に基づいてどのような取り組みをしてきたか。
二 政府は太陽光発電の未稼働案件対策としては、平成二十八年七月二十九日にすでに固定価格買取制度の運用を変更し対策を行っている。資源エネルギー庁から発表された「平成二十八年八月一日以降に接続契約を締結する太陽光発電設備の運用変更について」とする通知によると、当時の運用変更の概要については「固定価格買取制度の適用を受ける太陽光発電設備のうち、平成二十八年八月一日以降に接続契約を締結する案件に対して、@運転開始期限を付与する一方で、A変更認定に伴う価格変更ルールを見直します」と説明し、平成二十八年八月一日以降に接続契約を締結する案件については、三年間の運転開始期限が付与される一方、運転開始前の太陽電池のメーカーの変更、太陽電池の種類の変更、太陽電池の変換効率の変化を伴う変更認定をしても調達価格が変更されないものとされた。
この時点において、固定価格買取制度の適用を受ける太陽光発電設備のうち平成二十八年八月一日以降に接続契約を締結する案件と、それ以前に接続契約を締結した案件(以下「旧ルール案件」)の間に、このような運用の差を設けたのはなぜか。
三 意見公募手続きにおいて示された調達価格告示改正案にかかる資料では、政府は新たに「系統連系工事着工申込みの受領」という手続きの創設を想定している。他方でFIT法およびFIT法施行規則では「系統連系工事着工申込み」に関連する規定は見当たらない。
そこで伺うが、「系統連系工事着工申込み」はFIT法のどの条項の委任を受けて創設されるものなのかご教示いただきたい。
四 意見公募手続きにおいて示された調達価格告示改正案にかかる資料には、「運転を開始していない十kW以上の太陽光発電設備のうち、平成二十七年三月三十一日以前に旧認定を受け、平成二十八年七月三十一日以前に接続契約が締結されたものについて、系統連系工事着工申込みの受領の日が平成三十一年四月一日から平成三十二年三月三十一日までの間に属する場合は、平成二十九年度の調達価格(二十一円/kWh)を適用する」との記載があり、一定の要件を満たせない旧ルール案件について調達価格の変更をすることが示されている。
この調達価格の変更措置は、FIT法第三条第十項の「経済産業大臣は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、調達価格等を改定することができる。」という規定に基づくものを想定しているのか。それとも他の規定に基づくものを想定しているのか。明らかにされたい。
政府の見解は如何か。
右質問する。