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平成三十一年二月七日提出
質問第二五号

離婚後の親権制度及び面会交流の在り方等に関する質問主意書

提出者  山内康一




離婚後の親権制度及び面会交流の在り方等に関する質問主意書


 我が国では、離婚後の親権制度として単独親権制度が採用されているところ、離婚後の共同親権制度の導入の可否について、昨年十二月六日の参議院法務委員会において山下法務大臣は、「離婚後も父母の双方が子の監護、教育の責任を負うべきであるとして、離婚後も父母が共に親権者となる制度を導入すべきであるという意見がある一方で、離婚後の共同親権制度を導入すると、父母の関係が良好でない場合に、親権の行使について父母の間でタイムリーに適切な合意を形成することができないという事態も多くあり得ることから子の利益をかえって害するおそれがあるという指摘もあり、慎重に検討すべきであると考えられるが、法務省においては、この問題について国会を始めとした様々なところで検討がされていることから、これらの議論の状況等も踏まえながら検討していきたいと考えている。」旨答弁している。
 他方で、離婚後の面会交流については、平成二十三年の民法改正により、子の利益の観点からは離婚後も適切な親子の面会交流等が行われることが重要であるとして、離婚をする際に定める離婚後の子の監護について必要な事項として親子の面会交流等が明記された一方で、平成二十九年四月には、兵庫県において、家庭裁判所の審判による面会交流中に、父親が子を殺害するという事件(以下「本件事件」という。)も発生している。そして、本件事件については、裁判所が同居時の父親の言動等から自暴自棄な行動に出る可能性を把握できなかったか、言葉の暴力やモラルハラスメントについての危険性の認識が甘くなかったか、十分に検証する必要があるとの指摘がある。
 また、政府においては、児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)及び配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成十三年法律第三十一号)に基づき、様々な施策が講じられているものと考えるが、昨年八月三十日に厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課が公表した「平成二十九年度児童相談所での児童虐待相談対応件数〈速報値〉」によれば、平成二十九年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数は十三万三千七百七十八件と過去最多となっており、また、昨年九月二十八日に内閣府男女共同参画局が公表した「配偶者からの暴力に関するデータ」によれば、平成二十九年度の配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数は十万六千百十件と依然高水準で推移している。
 以上を踏まえて、以下質問する。

一 離婚後の親権制度の在り方
 1 昨年七月十七日の閣議後記者会見において、上川前法務大臣は「無戸籍者の解消に向けた取組の一環として、嫡出推定制度の見直しに向けた検討を開始する予定であり、これとも関連する親子法制の諸課題について、離婚後単独親権制度の見直しも含めて、広く検討していきたい」と述べているが、この嫡出推定制度の見直しに向けた検討は開始されたのか。また、この検討が既に開始されているとした場合、離婚後単独親権制度の見直しについては検討課題とされているのか。
 2 離婚後単独親権制度の見直しの検討において、他方の親に対して暴力を加え、又は子に対して虐待(子の面前で配偶者等に対して暴力を振るうという心理的虐待を含む。以下同じ。)をする親が存在することは考慮され得るのか。
二 離婚後の面会交流の在り方
 1 本件事件に対して政府としてどのように受け止め、どのような対策を講じたのか。
 2 家庭裁判所が家事調停や家事審判などを円滑に実施するためにはその人的体制を整備することが必要であると考えられるが、政府として、家庭裁判所の人的体制については十分であると認識しているのか。また、十分ではないと認識しているとした場合、家庭裁判所以外の外部の専門家の力を借りるような体制整備が必要であると考えられるが、子の最善の利益に資するため、どのような対策を講じていくこととしているのか。
 3 家事調停や家事審判において親と子の面会交流の可否及びその内容を定めるに当たって、一方の親が、他方の親に対して暴力を加え、又は子に対して虐待をしていた事実はどのように考慮されるのか。
三 児童虐待及び配偶者からの暴力等を防止するための対策及び教育
 1 児童虐待相談対応件数が増加している現状を踏まえ、政府として、児童虐待を防止するために、児童虐待をする当該児童の親権者等に対し、今後どのような対策を講じていくこととしているのか。
 2 配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数が高水準で推移している現状を踏まえ、政府として、配偶者からの暴力等を防止するために、暴力等を加える配偶者に対し、今後どのような対策を講じていくこととしているのか。
 3 児童虐待や配偶者からの暴力等を防止するためには、小学校、中学校、高等学校及び大学等における教育も重要であると考えられるが、現在、どのような教育を実施しているのか。
四 戸籍謄本等の交付請求
 1 戸籍謄本等の交付請求について、市町村長が、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第十条第二項に規定する「不当な目的によることが明らかなとき」に該当するかどうかを判断するための基準となる運用指針を定めているのか。また、これを定めているとした場合、その内容はどのようなものか。
 2 一方の親(甲)が、他方の親(乙)に対して暴力を加え、又は子(丙)に対して虐待をしており、その後甲乙について離婚が成立した場合において、甲による丙の戸籍謄本等の交付請求を認めると、乙の新たな配偶者の氏名やその婚姻届の届出地等が明らかとなり、乙の身に危険が及ぶおそれがあるとして、乙が、市町村長に対して、甲からの交付請求には応じないでほしい旨を申し出たときは、市町村長が、甲による丙の戸籍謄本等の交付請求が戸籍法第十条第二項の「不当な目的によることが明らかなとき」に該当するかどうかを判断するに当たって、当該申出の内容は考慮され得るのか。
 3 戸籍謄本等の交付請求についても、住民基本台帳事務処理要領(昭和四十二年自治振第百五十号等自治省行政局長等から各都道府県知事あて通知)第六の十に定めるドメスティック・バイオレンス等の被害者の保護のための措置の対象とするなど、ドメスティック・バイオレンス等の被害者からの申出によりその加害者からの戸籍謄抄本等の交付請求を拒むとする取扱いとすることの可否及びそのように考える理由を明らかにされたい。

 右質問する。



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