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平成三十一年二月十八日提出
質問第五〇号

MRワクチンによって予防できる麻疹の流行と風疹ワクチンの定期接種化に関する質問主意書

提出者  初鹿明博




MRワクチンによって予防できる麻疹の流行と風疹ワクチンの定期接種化に関する質問主意書


 今月八日と十日、新大阪・東京間の東海道新幹線に、麻疹に感染している乗客がいたことが分かりました。大阪のショッピングモール「あべのハルカス」でも従業員十一名、客八名が麻疹に感染していたことが判明しました。
 麻疹については、平成二十七年にWHO(世界保健機関)から排除認定がされたにも関わらず、国外から持ち込まれ、毎年のように流行を繰り返しています。国立感染症研究所によると、今年に入ってから二月三日までで百四十八名の感染報告があり、排除勧告以降最大の感染者であった昨年一年間の二百八十二名の半数を既に超えてしまっています。
 麻疹はワクチン接種によって感染を防ぐことができ、接種していれば感染しても重症化を防ぐことができるものであります。しかしながら、十分な抗体をつけるためにはワクチンの二回接種が必要ですが、昭和五十三年から平成十七年までは定期接種は一回のみでありました。
 そのため、一回接種であった世代を対象に、平成二十年から平成二十五年までの五年間、中学一年生に三期、高校三年生に四期のMRワクチンの定期接種が行われました。
 しかし十分に広報が行き届かなかったのか、この三期、四期の接種率は最終年でも三期で八十八.八%、四期で八十三.二%に過ぎず、目標に掲げていた九十五%からは程遠い接種率に留まってしまいました。
 この数年間、麻疹が流行しているのは、この二回目のワクチン接種をせずに抗体がついていない者が一割程度いて、この層が感染源となっていると考えられます。
 政府は昨年の風疹の大流行を受けて、風疹についてはワクチン接種をしていない五十代から三十代の男性について定期接種の対象に加えることとしました。風疹のワクチンは、麻疹と混合のMRワクチンが使われております。そのことを考えると、麻疹についても二回目の接種をしていない年齢層を、改めて定期接種の対象に加えることが必要であると考えます。
 厚生労働省は、麻疹については抗体保有率が九十五%を超えているから必要ないとの見解を示していますが、この数値はあくまでも測定ができた人についてであり、二回目の接種をしていない約一割の者を全員調べたものではなく、実際の保有率はもっと低いものと考えられ、この数値のみをもって、実際の感染状況を顧みずに定期接種の対象にしないのは、公衆衛生の観点から非常に問題があると考えます。
 また、風疹についても抗体検査を受けることを前提としており、ワクチン接種を希望する者全員に直ちに接種する運用にはなっておらず、働く世代の方々に複数回仕事を休むなどの負担を強いることとなっており、実際に接種が進むのか疑問があります。
 麻疹との関係では、風疹の抗体はあっても麻疹の抗体は無い者もいると考えられますが、せっかくMRワクチンの接種を考えて病院に来院したにもかかわらず、風疹の抗体が有ることで定期接種の対象にならず、麻疹については感染のリスクを抱えたままになってしまいます。
 麻疹が昨年以上に流行している現状に加えて、同じMRワクチンを接種する風疹について未接種世代を対象に定期接種化を行うことになったことに鑑み、以下の措置が必要だと考え、政府に見解を伺います。

一 風疹の抗体検査をした結果、風疹については十分な抗体を保有していると判明した者は、麻疹の抗体価が低くても定期接種の対象外となるのか、政府の見解を伺います。
 対象外とする場合、感染する可能性のある者に対して接種をしないことは、「伝染のおそれがある疾病の発生及びまん延を予防するために、予防接種を行い、公衆衛生の向上及び増進に寄与する」という予防接種法第一条の目的規定に反するのではないか、政府の見解を伺います。
二 麻疹の患者と接触した者で、予防接種歴がないもしくは一回のみの者については、特に定期接種の対象として公費で接種すべきだと考えますが、このような場合でも自費によるワクチン接種を求めるのか、政府の見解を伺います。
三 麻疹について、毎年海外から持ち込まれて流行している現状を踏まえ、また、来年の東京五輪・パラリンピック競技大会でより多くの外国人が訪日することを考慮し、風疹のみならず麻疹についても、三期四期で未接種だった者を対象に、定期接種の対象に加える必要があると考えますが、政府の見解を伺います。
四 風疹のMRワクチン接種において、抗体検査を受け、抗体価の低い者のみにワクチンを接種することとしていますが、麻疹も対象とした場合には、共に抗体検査をすることの手間やコスト、接種希望者の負担を考え、抗体検査を受けることなく、ワクチン接種するようにすべきだと考えるが政府の見解を伺います。
五 抗体検査をしないでワクチン接種をすると、MRワクチンが足りなくなるおそれがあるという理由で、抗体検査をして抗体価の低い者のみ接種すると考えているのであれば、新型インフルエンザのワクチンで過去に行ったように、海外で使われているMMRワクチンを緊急輸入することを検討すべきだと考えますが、政府の見解を伺います。

 右質問する。



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