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令和元年十月四日提出
質問第二号

がけ崩れを誘発する恐れのある立ち木や、土砂崩れによる倒木を未然に防止するための立ち木の伐採に関する質問主意書

提出者  早稲田夕季




がけ崩れを誘発する恐れのある立ち木や、土砂崩れによる倒木を未然に防止するための立ち木の伐採に関する質問主意書


 今般の台風十五号により、丘陵地で土地がやせ、岩盤が露出しているところに先の大戦直後に植えた大木が浅く根を張っている傾斜地が多い神奈川県三浦半島の各自治体では、土砂崩れや風倒木により住宅や道路が深刻な被害を受けた。その中には、鎌倉市玉縄台の栄光坂など、かねてより危険性が指摘されていたところも少なくない。
 土砂災害警戒区域を指定する土砂災害防止法は、危険の周知、警戒避難体制の整備、住宅等の新規立地の抑制、既存住宅の移転促進等のソフト対策を推進しようとするもので、行政による防災工事の規定はなく、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律に基づき、国が防災安全交付金により二分の一を負担して県が防災急傾斜地崩壊対策工事を行う要件は、勾配が三十度以上の傾斜地で、垂直高十メートル以上で、十戸以上の住宅に被害がおよぶおそれがある区域に限られている。
 そこで各自治体では、要件を緩和し、危険な立ち木を未然に伐採するための単独補助事業を行っているが、その財政事情により予算上の制約がある上に、立ち木や傾斜地の所有者が不明であるなどの理由から、災害を未然に防止する手立てを十分に打てていないことが、今回の大規模かつ広範な被災であらためて浮き彫りになった。
 葉山町では、二〇一七年に葉山町危険木伐採工事費等助成金交付要綱を制定し、急傾斜地崩壊危険区域の要件を満たしていなくても、土砂災害警戒区域の指定があれば、住宅への倒木被害から町民の生命及び財産を保護するため、危険木の伐採費用の二分の一について、十万円を限度に助成しており、二〇一八年度は四件の交付実績がある。このしくみでは、樹木の所有者の同意を得られれば、住宅の所有者も申請でき、来年度からは道路の通行の障害になりうるケースも対象に広げることを検討中である。
 逗子市では、逗子市防災工事費助成金交付要綱に基づき、勾配が三十度以上の傾斜地で垂直高二メートル以上の土地における、二〇一七年度まで同様に立木の倒壊を防止する伐採工事費用の二分の一について、十万円を限度に助成していたが、おりからの財政対策プログラムの発動で休止となり、二〇一九年度からは本体工事のみが助成対象となっている。
 鎌倉市でも鎌倉市既成宅地等防災工事資金助成条例に基づき、勾配が三十度以上の傾斜地で垂直高二メートル以上の土地における、がけ崩れを誘発する恐れのある樹木の伐採工事費用の二分の一について、六十万円を限度に助成しており、昨年度は三千万円の予算が年度途中でなくなるほどの需要があり、今年度もさらに市民からの問合せが増えている。がけ崩れによる住宅の被災だけでなく道路の通行の障害になりうるケースも対象であり、樹木の所有者の同意が得られるなら、道路を普段利用する市民など誰でもこの制度の助成を受けることができるが、問題は誰が二分の一を負担するかである。市道なら市の道路部局に市の他の部局が補助することはできないし、まして一市民が費用を負担する道理はない。
 災害復旧のコストより、未然防止のコストの方が小さくて済むことは言うまでもない。財政力に大きな差がある自治体任せにせず、国として災害の未然防止に一層取り組むべきと考えるので、以下質問する。

一 公道や鉄道等の通行の障害や電柱等の倒壊を未然に防止するため、公道や鉄道等に近接し、風倒等の懸念がある立ち木について、立ち木の所有者の責任に帰することなく、その土地の勾配や垂直高の多寡にかかわらず、市町村が主体となって伐採できるよう、自治体に対する補助事業を創設すべきと考えるが、政府の見解をあきらかにされたい。
二 公道や鉄道等に近接する森林について、風倒等による通行の障害や電柱等の倒壊を未然に防止するため、危険な立ち木の伐採を、森林所有者の同意を得た上で、その土地の勾配や垂直高の多寡にかかわらず、市町村や施設管理者が行うことについて補助事業を創設すべきと考えるが、政府の見解をあきらかにされたい。
三 所有者が不明な土地については、今年六月に施行された所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法上の要件に合致すれば、都道府県知事に裁定を求め、土地収用法の特例が適用されて、二週間の公示等の手続きを経て市有地とした上で、立ち木の伐採や防災工事ができることとなったが、いまだ前例がない。この新しいしくみについて、自治体の理解が進んでいないことが一因と思われるので、自治体への再度の周知徹底を行うべきと考えるが、政府の見解をあきらかにされたい。

 右質問する。

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