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令和元年十一月十四日提出
質問第七六号

寡婦(寡夫)控除制度に関する質問主意書

提出者  奥野総一郎




寡婦(寡夫)控除制度に関する質問主意書


 寡婦(寡夫)控除は、配偶者と死別または離婚した納税者に対して一定の条件の下に適用される所得控除である。この制度は婚姻歴の無い、いわゆる「未婚のひとり親」には適用されないことが、従前から問題視されてきた。ひとり親が経済的に厳しい状況に置かれていることは、その原因が未婚であろうとそれ以外の場合と変わることはなく、未婚であることによって不利益を被る合理性は見当たらない。また未婚のひとり親への適用以外にも、寡婦と寡夫で要件が異なることの是非についても議論があるところである。
 厚生労働省の平成三十一年度税制改正要望には、未婚のひとり親への控除の適用拡大が盛り込まれ、地方公共団体においても、保育料等の計算に未婚のひとり親に対する寡婦(寡夫)控除のみなし適用を行う例が増えるなど、見直しを求める動きも拡大している。
 そこで、以下質問する。

一 未婚のひとり親を控除対象から外すことの根拠について、改めてうかがう。婚姻歴の有無を以て納税額に差をつけること、ひとり親世帯やその子どもに格差を生じさせることは、憲法第十四条の「法の下の平等」に照らし合理性が認められないと考える。この点について政府の見解をうかがう。
二 過去の質問主意書に対する答弁書(平成二十六年三月二十日受領、答弁第七一号)によれば、寡婦控除の適用を「結婚歴のない一人親」に拡大するため所得税法の改正を行うことについて、「政府としては与党における検討を踏まえて対応してまいりたい」とあるが、その後の検討状況について明らかにされたい。
三 本所得控除制度は、寡夫と寡婦、すなわち性別のみによって、要件や控除額に差異が設けられている。性別のみにより差別を行うことは、憲法第十四条の「法の下の平等」に照らせば、立法目的が重要なものであることを要求する「厳格な合理性」の基準が求められるところであるが、性別によって差別する合理的根拠がどこにあるのか説明を求める。
四 婚姻歴のない一人親に適用対象を拡大することに慎重となる根拠として、「未婚の出産を助長しかねない」との意見があると聞く。寡婦(寡夫)控除の適用範囲を未婚者に拡大することが、未婚の出産を助長するとは到底考えられないが、このような意見が実際に適用範囲拡大の障害となっている事実があるのか明らかにされたい。
五 寡婦(寡夫)控除制度は福祉政策的な性格が強いが、現行の所得控除方式は限界税率の高くなる高所得者ほど減税額が大きくなる問題があり、低所得者に有利に働く税額控除方式を導入すべきとの意見がある。さらに、そもそも非納税者等に対しては控除を適用できないという問題がある。この対応策のひとつとして、税額控除と給付を組み合わせた「給付付き税額控除」の制度導入が考えられるが、同制度採用を検討する余地について、政府の見解を示されたい。

 右質問する。

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