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令和二年四月十日提出
質問第一七一号

自衛隊中東派遣につき新型コロナウイルス感染症影響下の早期撤収可能性及び派遣根拠に関する質問主意書

提出者  青山大人




自衛隊中東派遣につき新型コロナウイルス感染症影響下の早期撤収可能性及び派遣根拠に関する質問主意書


 政府は、令和元年十二月二十七日に、オマーン湾、アラビア海北部及びバブ・エル・マンデブ海峡東側のアデン湾の三海域の公海において、護衛艦を新たに一隻派遣するとともに、海賊対処行動に現に従事する自衛隊の部隊の固定翼哨戒機P−3Cを活用して、情報収集活動を行うこと(以下、「今回の自衛隊中東派遣」という。)を閣議決定した。政府はこの派遣の根拠として、防衛省設置法第四条第一項第十八号の「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと」を挙げている。
 また、閣議決定時には予期されなかった、新型コロナウイルス感染症が、現在、全世界において拡大している。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 全世界において現在、新型コロナウイルス感染症が拡大を続けている中、中東地域へ派遣された自衛隊員の健康にも影響が生じかねない。
 新型コロナウイルス感染症の拡大を鑑み、今回の中東派遣部隊を活動期間(令和二年一月二十日から同年十二月二十六日)内に早期撤収すべきと考えるが、政府の見解をお伺いしたい。
二 政府は、令和二年一月三十一日付答弁書(内閣衆質二〇一第九号)で、防衛省設置法第四条第一項第十八号の規定は「自衛隊」が引き続き情報収集活動や警戒監視活動を行うことができることを法律上明らかにする等の趣旨で設けられたもの、としている。
 しかし、条文の文言上、同法第四条は「防衛省」がつかさどる事務を列挙したものであり「自衛隊」の任務を定めた規定ではない。また、自衛隊の任務、行動及び権限等は自衛隊法の定めるところによると明確に次条(同法第五条)にて規定されているが、自衛隊法上、情報収集活動や警戒監視活動の明文の定めはない。
 このように、今回の自衛隊中東派遣には派遣の根拠となる規定がなく、法の不備があると考える。
 なお、自衛隊法第八十二条には「海上における警備行動」が規定されているが、今回の自衛隊中東派遣における情報収集活動の根拠条文とはなりえない。なぜなら、令和元年十二月二十七日の閣議決定において、今回の自衛隊中東派遣における情報収集活動が「自衛隊法第八十二条に規定する海上における警備行動に関し、その要否に係る判断や発令時の円滑な実施に必要」であるとされ、同条の適用以前の段階で行われる活動であることが想定されているからである。
 また、同答弁書は、同条の「海上における警備行動」に関し、必要な情報収集をする観点から、防衛省設置法第四条第一項第十八号の範囲内で必要な対応すなわち情報収集ができるとの見解である。
 しかし、先に述べたとおり同法第四条及び第五条の趣旨に鑑みれば、自衛隊法上の明文のない行動の根拠を組織法である防衛省設置法第四条に立ち返って求めることは、同法第五条を骨抜きにしかねない。そのため、「防衛省」の組織法である防衛省設置法の第四条第一項第十八号を「自衛隊」の情報収集活動や警戒監視活動の根拠規定とする同答弁書における見解は、法治主義の潜脱と考える。
 以上から、今回の自衛隊中東派遣についてその根拠法に関し、法の不備及び法治主義の潜脱の問題があると考えるが、政府の見解をお伺いしたい。
三 従来、自衛隊を海外派遣する場合は国会で慎重な議論を重ね、特別措置法を制定してきた。しかし、例えば今回の自衛隊中東派遣のように、防衛省設置法第四条第一項を根拠とすれば、国会承認も閣議決定も不要となり、歯止めが利かなくなる恐れがある。
 立法措置をとることにより、その審議過程において、国民の間で、中東地域における日本関係船舶の安全確保の必要性や予期せぬ事態への対応等の議論をより深めることが可能であった。
 前項で述べたとおり法の不備があること、また、国会の機能を無力化しないため、更には法治主義潜脱の疑義のある先例を作らないためにも、必要な立法措置をとるべきであったと考える。なぜ、今回の自衛隊中東派遣にあたり新たな立法措置によらなかったのか、理由をお伺いしたい。

 右質問する。

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