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令和二年十一月十二日提出
質問第一四号

日本学術会議会員の任命に関する質問主意書

提出者  奥野総一郎




日本学術会議会員の任命に関する質問主意書


 十一月四日の予算委員会において近藤内閣法制局長官は「昭和四十四年の高辻内閣法制局長官の答弁において、いろいろ拒否できる場合というのを、大学の場合について、いろいろな議論の中で、客観的に大学の目的に照らして明らかに不適当というような言い方で一つ例を示されているというのはよく承知しておりますけれども、一昨日の答弁でもお話ししましたように、それぞれ日本学術会議と大学とは全然性格が違いまして、学術会議でも、大学のときになぜあれほど大きな問題になったかというと、憲法上認められている大学の自治というのと、十五条の問題の、調整権限だからどの程度まで本当にできるのかという議論ですけれども、学術会議の場合には、あくまでも、行政機関に関する法律で認められた職務の自律性との関係の調整で、申出に基づいてという規定ができていますから、当然、大学の場合とは全然、調整の立場が憲法同士の概念ではないですから、当然それより、それに、同じように狭くなるということでは必ずしもないという趣旨を一昨日申し上げました」と答弁されている。
 そこで、以下質問する。

一 日本学術会議には、憲法第二十三条の研究発表の自由など学問の自由の保障は及ばないのか。日本学術会議法第七条第二項の「推薦」については、憲法第二十三条と同第十五条第一項の調整が働き、極めて限定的な場合しか拒否できないのではないか。大学の学長人事と比べて広がるとしたら、どのような場合か。
二 十一月四日の予算委員会で近藤内閣法制局長官は「奥野委員の御質問に答えて恣意的という言葉を使いましたけれども、〜そこで、御指摘を受けております、主観的に政府当局の気に食わないということで任命しないのは違法であるという〜趣旨のことを申し上げた」と答弁している。この答弁のもととなったと思われる法制局の見解をまとめた決裁文書(昭和三十七年八月)ではより具体的に「申出のあった者がその時における政府の政策を支持しないという理由によって、任命権者がその申出を拒否することは許されないものと解すべきであ」るとあるが、日本学術会議法第七条第二項の任命においてもこの解釈が適用されているということでよいか。
三 十一月二日の予算委員会で近藤内閣法制局長官は「拒否をしていくというときには、消極的に拒否をしていくということだと思いますので、恣意的に政府が、自由な裁量権を発揮したような形でのものは認められない」と答弁しているが、拒否の基準はどこに書いてあるのか。具体的にどのような場合に拒否できるのか。
四 十一月二日の予算委員会で加藤官房長官は「判断基準とおっしゃる趣旨はあれですが、設置目的があり、そしてこの間においていろいろな議論がありました。当然、政府として、そうしたものを踏まえながら判断していくということであります」と答弁しているが、日本学術会議法第二条の設置目的以外に「判断基準」があるのか。あるとすれば具体的に学術会議法の条文、それ以外にあればその出典を示されたい。
五 十一月二日の予算委員会で菅総理大臣は、「専門分野の枠にとらわれない広い分野でバランスのとれた活動を行うべきであるという、私自身、総合的、俯瞰的な活動が求められる、こういうふうに申し上げてきたんですけれども。そういう中で、今委員から御指摘をいただきました選考ですよね。会員約二百人、連携会員約二千人、この人たち、先生方と関係を持たなければ、つながりを持たなければ、全国で九十万人いる方が会員になれないような仕組みになっているということも、これは事実だと思います。ある意味では、閉鎖的で、既得権益のようになっているのではないかなというふうに思います。私自身、これは正直言ってかなり悩みました。そういう中で、学術会議から推薦された方々、そのまま任命をするという、前例を踏襲をするのは今回は私はやめるべきだという判断をいたしました。」と判断の考え方を答弁している。「総合的、俯瞰的な活動が求められる」という考え方は総合科学技術会議の「日本学術会議の在り方について最終まとめ」の一節と承知しているが、法令でもなく官報にも載っていないこうした報告書の一節を、法令と同等の任命基準とすることは問題ないのか。
六 近藤内閣法制局長官が答弁しているように「消極的拒否」ということであれば、学術会議法に基づく任命を拒否するには、「総合的、俯瞰的な活動」になっていないことや「既得権益」であることが具体的に示され、その者の任命が少なくともそうした状況をさらに悪化させるということが明確である必要があるのではないか。「総合的、俯瞰的な活動」になっていないことや「既得権益のようになっている」とは具体的にはどのような状況をいうのか。またそうした状況に照らし、六名の任命が許容できないのか、考え方を示されたい。
七 十一月八日、共同通信は「首相官邸が日本学術会議の会員任命拒否問題で、会員候補六人が安全保障政策などを巡る政府方針への反対運動を先導する事態を懸念し、任命を見送る判断をしていたことが七日、分かった。安全保障関連法や特定秘密保護法に対する過去の言動を問題視した可能性がある。複数の政府関係者が明らかにした」と報道している。一般論として質問するが「安全保障政策などを巡る政府方針への反対運動を先導する事態を懸念」を理由に推薦に基づく学術会議会員への任命を拒否することは、違法ではないか。

 右質問する。

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