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令和二年十一月二十四日提出
質問第二七号

新型コロナウイルス感染症を踏まえた「命と暮らし」を守る地域医療の確保と京都府北部の医師偏在問題の解消に関する質問主意書

提出者  山本和嘉子




新型コロナウイルス感染症を踏まえた「命と暮らし」を守る地域医療の確保と京都府北部の医師偏在問題の解消に関する質問主意書


 政府はこれまで、医療需給は近い将来均衡し、医師過剰に転じることを前提に医師偏在対策を進めてきた。しかし現在、新型コロナウイルス感染症が全国で猛威を振るい、医師数が比較的多い地域でも、医療崩壊の可能性が浮き彫りになっており、ましてや医師数が少ない地域で感染症が拡大した場合、「命と暮らし」を守る地域医療の確保に重大な影響が及ぶことは明らかであることから、必要な医療をいつでもどこでも受けられる体制の整備が喫緊の課題となっている。特に京都府では、府全体の人口当たりの医師数は全国で二番目に多いとされているが、医療圏ごとで見ると都市部の「京都・乙訓」のみ全国平均を大きく上回り、その他は平均以下の水準で、特に京都府北部の「丹後」では、人口当たりの医師数は、全国平均を百とすると、わずか五十六と、全国でも著しい医師偏在問題を抱えている。今後、新型コロナウイルス感染症に限らず、感染症が想定外の速度で拡大し、長期化・蔓延化した場合、それが京都府北部のように人口当たりの医師数がもともと少ない地域であっても、安心安全の医療を受けることができる体制を国として維持確保することは、公平公正な保険医療制度の観点からも極めて重要と考え、以下質問する。

一 感染症が地域で急速に拡大し、その地域の医療サービス提供体制が限界に近づいた場合は、国が感染症対応の専門チームを派遣し、現場の医療をサポートする体制、いわば「感染症版DMAT(災害派遣医療チーム)」や「医療版TEC−FORCE(緊急災害対策派遣隊)」等の新たな制度を国レベルで創設することを積極的に検討すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
二 今回の感染症拡大で明らかになったように、ひとたび感染症が拡大し始めると、その感染症の診療科との関連性にかかわらず、多くの医療機関で患者の受診控えが発生し、経営の圧迫が連鎖的に拡がっていく。こうした医療全般の崩壊に対する社会不安を打ち消すために、全ての医療機関の運営に支障が出ないよう、国として必要に応じて財政支援できる制度を検討すべきと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。
三 昨年二月、新たな「医師偏在指標」が厚生労働省から公表され、医師の都道府県間偏在や地域間偏在の問題が改めて明らかにされた。この問題解消に向けて、都道府県が医師確保計画を定め、地域の実情を踏まえた対策に主体的に取り組むのは当然だが、それだけでは限界がある。国としても医師不足や地域間偏在の抜本的解消のための実効性ある仕組みづくり、例えば地域の拠点病院において、過度な負担のかかる勤務医や高度な医療技術を必要とする医療分野については、診療報酬を含めたインセンティブを設定することや、また、都道府県の医師偏在解消の施策に対して、その効果発現を加速させる財政支援を行うことなども検討すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
四 公立・公的医療機関は現在、地域における基幹的な医療機関としての使命と役割を担っており、住民が住み慣れた地域に安心して暮らし続けるために不可欠な存在であることが多く、医師偏在の問題を抱える地域では特に、再編統合を強制的に行うべきでないと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。
五 国の医師偏在指標に対する問題点の指摘として、地域の事情を十分に踏まえることなく一律に評価されているとの京都府の主張が存在する。例えば、考慮すべき医療側要因として、大学等の医療機関における教官・大学院生等は、教育や研修に時間を費やし、病院勤務医等に比べ、臨床に従事する時間は相当制限されるにもかかわらず、国の医師偏在指標の計算では同じ一人の扱いとなっているという。実際、京都府では大学関係者が多く、医師数は実態より約一割多いカウントとなっている。また国の計算では、医療機関まで患者が要するアクセスの時間を一切考慮に入れないが、へき地等の地理的要因は決定的な意味を持つのは自明である。因みに、京都府北部の「丹後」の医師偏在指標は、右記の要因等を考慮して補正する京都府方式の計算によると九十四・一となり、全国平均を百とすれば半分にも満たない四十四となるが、国の計算ではこれが五十六へと大幅に改善されてしまい、これでは京都府北部の医師偏在問題の深刻さを的確に捉えているとは言い難く、国の医師偏在指標の計算方法を少なくとも一部は修正すべきではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

 右質問する。

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