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令和三年六月十一日提出
質問第二二三号

電動キックボードの運用に関する質問主意書

提出者  丸山穂高




電動キックボードの運用に関する質問主意書


 新たな移動手段である小型で電動走行する次世代モビリティーは、そのニーズから海外では普及が進み、中でも電動キックボードは欧米で普及が進んでいる。このような動きに応じ、国内でも、その展開を図る観点から、関連事業者等から諸規制の緩和等を含むルール整備について求められていた。
 このような状況を踏まえ、国家公安委員会及び国土交通省は、産業競争力強化法に基づき、本年四月、ヘルメット着用を任意とする等の内容を含む規制の特例措置を整備した。これを前提に、電動自転車シェアリングサービス事業を展開する会社など四社が認定を受けて、東京都内や千葉県内等で電動キックボードのシェアリングサービス事業を展開している。
 関連し、以下質問する。

一 経済産業省が所管する産業競争力強化法に基づく新事業特例制度に基づき、令和三年四月二十三日に認定された電動キックボードに関する四件の認定案件では、「貸し渡される小型電動車に係る交通事故があった場合その他当該新事業活動の安全な実施に支障が生じた場合における国家公安委員会への報告その他の必要な措置が行われる旨が記載されていること」とされている。また、令和二年十月十六日から令和三年三月三十一日までに認定された電動キックボードに関する認定案件では、「貸し渡される原動機付自転車に係る交通事故があった場合その他当該新事業活動の安全な実施に支障が生じた場合における警察庁、経済産業省、国土交通省への報告その他の必要な措置を行うこと」とされている。
 これらの電動キックボードに関する各事業が認定を受けてから現在までの当該事業における交通事故の発生件数、安全な実施に支障が生じたとして国家公安委員会、警察庁、経済産業省又は国土交通省へ行われた報告件数及び報告の概要をそれぞれ回答されたい。また、「その他の必要な措置」が行われているのであれば、その件数及び具体的内容について回答されたい。
二 新事業特例制度は、新事業活動を行おうとする事業者がその支障となる規制の特例措置を提案し、「企業単位」で、具体的な事業計画に即して規制の特例措置の適用を認める制度となっているが、道路交通法に関する規制の特例措置により、道路の交通に係る安全性等の確保が疎かになるようなことがあってはならず、我が国の現実的な道路状況に即して安全性を確保する措置が講じられる必要がある。そこで以下質問する。
 1 海外において電動キックボードの公道走行を許可したことにより死亡事故が発生している事例を把握しているか。把握しているのであれば、国別にその件数を伺いたい。海外事例を踏まえて、我が国において死亡事故等を防止するために、飲酒運転や二人乗りといった危険行為に対して、一般的に利用開始に向けたハードルが高くない電動キックボードの特性を考慮して特に講じている対策を回答されたい。
 2 道路交通法上、自転車は車道から歩道に乗り入れることが可能であるが、電動キックボードは歩道走行が一切禁止されている。この点、例えば電動キックボードが駐停車車両を避ける場合、自転車と同様に歩道に一時的に乗り入れようとする場面が想定される。自転車と異なり、電動キックボードは歩道を走行できないことを特に周知する必要があるのではないか。
 3 電動キックボードは普通車両と規格や構造等が大きく異なることから、車道又は歩道上の違法駐車が比較的容易に行われ得るものと考えられるが、例えば、自転車の違法駐輪と同様に、警察において行われている見回り・監視・取締の対象とする等の違法駐車防止措置を講ずるべきではないか。
 4 電動キックボードに係る規制緩和は、特定の事業者・特定の地域に限って認められていることから、規制緩和の対象であることやその内容について必ずしも広く一般の知るところとなっていないものと思われる。このため、通常の交通ルールを前提に道路を通行する一般の歩行者や車両運転手にとっては、電動キックボードの通行ルールが分からず、予見可能性を欠いた電動キックボードの通行により接触事故等を招く可能性が否定できない。今般の規制緩和に伴い、当該規制の特例措置及び認定内容について、事業者任せにすることなく広く一般向けに周知を徹底する必要があると考えるが、政府においてはこのための予算確保を含め、どのような取組を行っているか。
 5 新事業特例制度に基づく電動キックボードの道路交通法上の法的位置付けは、令和二年九月三十日に整備された規制の特例措置(以下、「前回の特例措置」という。)では原動機付自転車であったが、令和三年四月八日に整備された規制の特例措置(以下、「今回の特例措置」という。)では小型特殊自動車となり、運転時のヘルメット着用が任意となることによって利用者の利便性が向上した。一方で、小型特殊自動車に位置付けられた電動キックボードはいわゆる二段階右折が禁止されており、自動車と同様にいわゆる小回り右折を行う必要があるが、当該電動キックボードの最高速度が時速十五キロメートルであり、車体が小さく他の車両からの視認性が低いことから、直進車との衝突事故の危険性が否定できない。認定事業者によっては、交通量の多い交差点では小回り右折をせずに、交差点の手前で電動キックボードを降りて歩行者として横断することを推奨している場合があるが、これは法的義務ではなく事業者による推奨にとどまるため実効性の観点から不十分である。電動キックボードにおける右折に関する現状の取扱いで、事故回避が可能であるとする根拠を示されたい。また、将来的な二段階右折の導入の可能性について、回答されたい。
 6 電動キックボードの最高速度について、前回の特例措置では時速二十キロメートルだったのに対し、今回の特例措置では時速十五キロメートルとされているところ、このように取り扱うことになった理由、経緯及び政府における議論の過程を伺いたい。また、時速二十四キロメートルでの補助力停止が求められる電動アシスト自転車と比較しても著しく低速な時速十五キロメートルでは、交通渋滞を誘発する可能性があり、後方からの追突事故の危険性が高まるのではないかとの声があるが、これに対して政府としてどのように考えるか。併せて、電動キックボードの固有の最高速度を設定するための法整備に向けた検討の有無又は政府の方針を伺いたい。
三 電動キックボードは、道路運送車両法上は原動機付自転車に分類されることから、点検及び整備の法的義務はない状態となっている。一方で、原動機付自転車のメーカーや販売店では日常点検整備や定期点検整備に準じた点検及び整備を推奨し、レンタルサービス店においてもこれらが実施されているようである。
 今後、電動キックボードの走行場所の拡大等の検討に当たり、電動キックボードを所有者が使用する場合や、シェアリングサービスの事業として電動キックボードが貸し出される場合において、安全な走行環境を整える観点から、点検及び整備を推進する必要があると考えるが、どのような対応を検討しているか。また、法令上の義務付けを検討するか。見解を伺う。
四 道路運送車両法上の原動機付自転車の保安基準を満たさない状態で、市販の電動キックボードを公道に走行させる行為による事故事例が報じられている。
 平成十四年十一月の警察庁交通局による「いわゆる「電動キックボード」及び「電動スクーター」について」の発出以降、法令違反状態のキックボード走行により道路交通法違反として取締を行った件数と、これに起因して発生した事故の件数を回答されたい。併せて、当該違法事案に対する政府の対応策を伺いたい。

 右質問する。

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