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令和三年六月十一日提出
質問第二三一号

生活保護の生活扶助基準に関する再質問主意書

提出者  長妻 昭




生活保護の生活扶助基準に関する再質問主意書


 本年四月十六日に提出した「生活保護の生活扶助基準に関する質問主意書」に対する政府答弁に重大な問題がある。再度質問する。

一 前回の質問主意書の中で、厚生労働省の生活扶助相当CPI(物価指数)の計算について「生活保護世帯の実態からはかけ離れている」と指摘し、それについての見解を尋ねたところ、それに対する答弁の中に「生活扶助基準については、一般国民の消費実態との均衡を図る観点からその水準を調整することとしており、生活保護受給世帯の消費実態を基に定めることは適当ではないと考えている」との記載があった。
 この答弁は、生活保護法の条文を無視しており、極めて問題だと考える。
 生活保護法では、第八条で生活保護基準を決めるときの原則が説明されており、第一項の条文には「要保護者の需要を基とし」という文言があるので、生活保護基準を改定する際は、要保護者、つまり、生活保護の利用者や今後利用者となりうる人の需要を考慮せねばならない。また、第二項の条文には、要保護者の事情を考慮しなければならない旨の記載がある。
 ところが、前回の主意書に対する政府答弁の内容では、生活保護世帯の消費実態を考慮せずに生活扶助基準を改定したと考えざるを得ない。前回の主意書に対する政府答弁は生活保護法第八条に違反すると判断せざるを得ないが、内閣の見解をご教示願いたい。
二 前回の質問主意書の中で、二○○五年〜二○一○年の期間のパーシェ・チェックについてお尋ねした。それに対する政府答弁では、この期間のCPI(「持ち家の帰属家賃を除く総合」の年平均指数)の下落率がラスパイレス式では○・三%、パーシェ式では六・九%だったことを認めている。
 この五年間の統計誤差のない正しいCPI下落率は、ラスパイレス式の計算値に近いと考えている。この五年間の物価が概ね小動きであったことを前提に日本では経済政策や金融政策が運営されていたからである。そのため、前回の質問主意書では、パーシェ式の六・九%という下落率について「正しいCPI下落率から大きく乖離しているのではないか」という趣旨で、「大きな統計誤差を含んだ数値ではないか」と尋ねた。
 それに対する政府答弁は「国際労働機関等により作成された『消費者物価指数マニュアル:理論と実践』に基づく計算手法により適切に算出したものであり、統計上の誤差が大きいとは考えていない」であった。
 パーシェ・チェックの計算が消費者物価指数マニュアルに基づいているのは当然だが、それによって、正しいCPI変化率に近い計算値が算出されるとは限らない。お答えしてほしいのは「正しいCPI下落率と比べて大きな統計誤差があるのではないか」という疑問に対する回答である。
 パーシェ式の下落率の六・九%が大きな統計誤差を含んでいないとすると、この五年間のCPI下落率は六%台とか七%台といった非常に大きな下落率だったことになる。これはかなりのデフレ状態にあったことを示す下落率である。その当時、政府や日本銀行はそのようなかなりのデフレ状態にあったという認識で経済政策や金融政策をしていたか、内閣の見解を問う。
 かなりのデフレ状態にあったとの認識がないにもかかわらず、パーシェ式の下落率が六・九%だったとすると、この下落率は大きな統計誤差を含んだ数値ではないのか、内閣の見解をご教示願いたい。
三 前回の質問主意書で、厚労省の二○○八年〜二○一○年の期間の生活扶助相当CPIの計算についてお尋ねした。この期間の生活扶助相当CPIの下落率は約四・三%と著しく大きい。まず、その原因について前回の質問主意書では「テレビやビデオレコーダー、パソコンなどの電気製品の価格指数低下の影響が非常に強く出ているのが一番の原因だと思科しているがいかがか」と尋ねた。また、「厚労省が二○○八年〜二○一○年の期間をパーシェ式にしたのは、結果的に、テレビなどの電気製品の価格指数低下の影響が非常に強く出て生活扶助相当CPIの下落率が顕著に膨らむ計算方法を選ぶ行為だった、と考えざるを得ないが、政府の見解をご教示願いたい」と尋ねた。
 この二つの問いは、二○一三年の生活扶助基準改定の妥当性を検討する上では極めて重要であるが、前回の政府答弁書では回答がなかった。回答がないということは、こちらの見解が妥当である、と内閣が認めるという理解でよいか。そうでないならば、二つの質問に対する内閣の見解をご教示願いたい。

 右質問する。

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