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令和四年六月十日提出
質問第一五〇号

憲法第九条の解釈に関する質問主意書

提出者  足立康史




憲法第九条の解釈に関する質問主意書


 平成二十六年五月十五日に公表された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(以下「安保法制懇」という。)の報告書(以下「報告書」という。)について、安倍晋三総理大臣(当時)(以下「安倍総理」という。)は、同日の記者会見において、憲法第九条の解釈の在り方について、「今回の報告書では、二つの異なる考え方を示していただきました。一つは、個別的か、集団的かを問わず、自衛のための武力の行使は禁じられていない、また、国連の集団安全保障措置への参加といった国際法上、合法な活動には憲法上の制約はないとするもの(中略)もう一つの考え方は、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方」と述べられた。
 更に安倍総理は、同じ会見において、「二つの異なる考え方」のうち前者の「個別的か、集団的かを問わず、自衛のための武力の行使は禁じられていない、また、国連の集団安全保障措置への参加といった国際法上、合法な活動には憲法上の制約はないとする」考え方について、「いわゆる芦田修正論(中略)は政府としては採用しないということであります。」と述べられた。

一 安倍総理が述べられた「いわゆる芦田修正論」とは、報告書に示された「二つの異なる考え方」の一つ、前者の「個別的か、集団的かを問わず、自衛のための武力の行使は禁じられていない、また、国連の集団安全保障措置への参加といった国際法上、合法な活動には憲法上の制約はないとする」考え方を指すと理解して宜しいか、政府の見解を示されたい。
二 いわゆる芦田修正論について、政府が「採用しない」と決定した経緯、行政過程、具体的な行政手続きについて、政府の見解を示されたい。
三 政府が芦田修正論を「採用しない」と決定した理由について、政府の見解を示されたい。特に、安保法制懇が「二つの異なる考え方」の一つとして芦田修正論を報告書に明記したにもかかわらず、芦田修正論を「採用しない」と判断した理由について、政府の見解を示されたい。
四 平成二十六年七月一日付けで閣議決定された「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」には、「憲法第九条はその文言からすると、国際関係における「武力の行使」を一切禁じているように見えるが、憲法前文で確認している「国民の平和的生存権」や憲法第十三条が「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」は国政の上で最大の尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏まえて考えると、憲法第九条が、我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることを禁じているとは到底解されない。一方、この自衛の措置は、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置として初めて容認されるものであり、そのための必要最小限度の「武力の行使」は許容される。これが、憲法第九条の下で例外的に許容される「武力の行使」について、従来から政府が一貫して表明してきた見解の根幹、いわば基本的な論理であり(中略)この基本的な論理は、憲法第九条の下では今後とも維持されなければならない。」と記述されている。
 いわゆる芦田修正論と当該「基本的な論理」との関係について、「基本的な論理」を維持したままでは芦田修正論を採用できないのか、場合によっては採用できる可能性もあるのか、政府の見解を示されたい。
五 前記四の「基本的な論理」は、憲法第九条の下では、いかなる場合にあっても維持されなければならないのか、あるいは、パワーバランスの変化や技術革新の急速な進展、大量破壊兵器などの脅威等により我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容した場合には、憲法第九条の下であっても、「基本的な論理」を見直す余地があるのか、政府の見解を示されたい。

 右質問する。

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