質問本文情報
令和七年三月十三日提出質問第一〇七号
レプリコンワクチン開発における政府の対応等に関する質問主意書
提出者 原口一博
レプリコンワクチン開発における政府の対応等に関する質問主意書
MeijiSeikaファルマ株式会社(以下「メーカー」という。)は、新型コロナウイルス感染症に対するレプリコンワクチンの開発を行っており、その過程で厚生労働省及び経済産業省がどのような関与をしたのかが注目されている。メーカーのレプリコンワクチン開発には公費が投入されていることから、その支出が適正なものであったかを検証する必要があると考える。また、厚生労働省及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)の審査担当者とメーカーとの間での事前のすり合わせや協議が行われた事実がないかを確認し、行政の透明性を確保する必要があると考える。さらに、レプリコンワクチンを含む二〇二四/二五シーズン(令和六年度)の新型コロナワクチンの見込み供給量を明示した厚生労働省厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会(以下「部会」という。)資料作成時における製薬会社とのやり取りについても、詳細を明らかにすべきであると考える。
右を踏まえて、以下質問する。
一 メーカーのレプリコンワクチン開発への公費の投入に係るこれまで国から支出した金額、期間及び内容を具体的かつ網羅的に、それぞれ可能な限り示されたい。
二 令和六年度の新型コロナワクチンの定期接種について、ワクチン生産体制等緊急整備基金から市町村に対して助成金が支払われているが、同基金はワクチンの生産や確保等のために設けられたものであり、ワクチン接種に対する支出は基金の目的外使用といえると考える。同基金のワクチン接種に対する支出の適法性、正当性について政府の見解を問う。
三 新型コロナワクチンの見込み供給量を示した部会資料を作成するに当たり、厚生労働省はメーカー及び他の製薬会社とどのようなやり取りを行ったのか、具体的な内容を示されたい。
四 厚生労働省は、令和六年二月に、新型コロナワクチンの製造会社各社から令和六年度の定期接種に供給するワクチンの希望小売価格を聴取し、その内容を参照しつつ、令和五年末の時点で三千二百六十円としていたワクチン代を一万千六百円に見直したとしている。この見直しの過程に係るワクチン代の算定根拠及びワクチンの製造会社各社の意見、議論の内容、当事者、決定理由等の検討過程について具体的かつ網羅的に、それぞれ可能な限り示されたい。
五 メーカーのレプリコンワクチンが通常の承認手続とは異なる特別な措置で早期承認された事実があるか。その場合、その法的根拠及び判断基準を示されたい。
六 五に関して、事実上、他の製薬会社と比べて公平性を損なう措置があった場合、その内容及び正当性について政府の見解を示されたい。
七 メーカーと厚生労働省との間で、承認後のワクチン買上げに関する保証(事実上これと同等の効果を有する一切の合意を含む。)がなされていた事実があるか。具体的な協議内容や合意事項を示されたい。
八 七に関して、他の製薬会社との比較において不公平性が認められる場合、政府としてどのように対応する意向かを示されたい。
九 レプリコンワクチンの承認及び供給に関する政策決定プロセスで、厚生労働省又はPMDA以外の関与があった場合、その具体的内容を明らかにした上で、今後、ワクチンの承認及び供給に関し、透明性確保のために政策決定プロセスをどのように見直す意向か、政府の方針を示されたい。
十 メーカーのレプリコンワクチンに関する早期承認及び買上げ保証(事実上のものを含む。)の判断について、国民に対する公平性と透明性をどのように担保するか、政府の見解を示されたい。
十一 レプリコンワクチンのベトナムにおける治験では途中からプラセボ群に対しても実際のワクチンが接種された。そのため、プラセボ群と接種群との間で、安全性の比較をすることが困難になっている。緊急事態においては倫理的な視点からワクチンにある程度の効果が認められた段階で、このようなパターンで臨床試験を行うことはあり得るが、新型コロナウイルスが五類感染症に分類されるようになった後で、このような緊急避難的な臨床試験の結果を用いて承認することは不適切であると考える。この指摘を否定するに足る十分な根拠があれば、その根拠を示されたい。
十二 メーカーの非臨床試験において、レプリコンワクチンの体内での持続性を解析した実験においては、実際のスパイクタンパク質を用いず、ルシフェラーゼ(発光酵素)のmRNAを用いている。レプリコンワクチンの細胞間伝播においては、実際の抗原を使用して行うべきであることは言うまでもないと考える。なぜならばスパイクタンパク質がウイルス感染において重要な役割を担っており、さらにこのタンパク質は膜タンパク質であるため細胞から放出されるであろう細胞外顆粒の膜上に局在すると想定すべきであると考えるからである。このような実験結果について、厚生科学審議会や薬事審議会等(審議会に置かれた分科会や部会を含む。)における審議において疑義が提示されたかについて、政府の認識を示されたい。
十三 レプリコンワクチンの個体間伝播を否定するに足るだけの根拠を製薬会社は示していないが、このようなデータを厚生労働省は製薬会社に請求することを考えているのか。もしも請求しないというのであれば、個体間伝播を否定する根拠を示されたい。
十四 ベトナムの治験においてレプリコンワクチン接種者のうち計十八名、全体としては計三十四名が亡くなっている。これはベトナムの死亡率と比べて半分程度であり、高齢者や基礎疾患者を含む治験とはいえ、多過ぎる可能性があるのではないかと考える。
1 政府は、死亡者の年齢区分・基礎疾患区分による死亡数を把握しているか。
2 年齢区分が分からなければ、例えば実際には基礎疾患のない若者が多く亡くなっている場合があるなど、死亡率が通常と比べて高いかどうか判断できず安全かどうかも判断できないのではないかと考えるが、もしこの死亡数でも問題ないという見解なら、その根拠を示されたい。
右質問する。