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令和七年三月十八日提出
質問第一一六号

日本のコンテンツがディープフェイク技術によって悪用されている問題に関する質問主意書

提出者  八幡 愛




日本のコンテンツがディープフェイク技術によって悪用されている問題に関する質問主意書


 日本のアニメ、マンガ、ゲーム、映画などのコンテンツ産業は、国内外で広く支持され、政府も「クールジャパン戦略」のもとでこれらの分野を日本の基幹産業の一つとして育成・推進している。しかし、近年の人工知能(AI)技術の発展により、いわゆるディープフェイク技術を用いたコンテンツの改変・偽造が急増し、日本のコンテンツが不正利用される事例が多発している。
 特に、アニメ・マンガ・ゲームのキャラクターや映像が無断で加工され、虚偽のコンテンツが制作されることで、クリエイターや権利者の意図とは無関係に不適切な形で利用されるケースが見受けられる。実際に、人気アニメのキャラクターの顔を用いた偽の広告が出回ったり、ゲームのキャラクターが成人向けコンテンツに改変されたりする事例が発生している。また、架空の映画ポスターを作成し、あたかも公式作品のように見せかけて偽の配信サービスで使用されるケースも確認されている。これらの事例が増加することで、ブランド価値の毀損や消費者の混乱を招くおそれがあると考える。
 また、海賊版対策と同様、ディープフェイク技術の悪用を放置することは、日本のコンテンツ産業の国際競争力を低下させる要因となる可能性があると考える。政府が進める「クールジャパン戦略」の根幹を揺るがす問題であるにもかかわらず、現在の日本の法制度ではディープフェイク技術による不正改変を直接規制する法律が存在せず、現行の著作権法や不正競争防止法では対応が困難なケースがある。
 特に、EUや米国などでは、AI技術を悪用した偽コンテンツの流通を防ぐための法整備が進められており、日本においても国際的なルール形成に積極的に関与する必要があると考える。
 さらに、ディープフェイク技術を用いたコンテンツが、いわゆる認知戦の手段として利用される可能性についても深刻に考慮する必要がある。特定のキャラクターや作品を使って、政治的・社会的なプロパガンダを拡散したり、歴史や文化を歪曲する目的で偽情報を流布する手法が、既に海外では確認されている。日本のコンテンツがこのような形で悪用されるリスクに対し、政府がどのような対応をとるかが問われると考える。
 このような状況を踏まえ、政府に対し以下の事項について質問する。

一 現行法において、ディープフェイク技術を用いたアニメ・マンガ・ゲーム・映画等のコンテンツの不正改変および拡散を直接的に禁止する規定が存在しないと考えるが、その認識で相違ないか。
二 ディープフェイク技術を用いたコンテンツの不正改変が、現行の著作権法や不正競争防止法では十分に規制できないケースがあると考えるが、その認識で相違ないか。
三 海外では、ディープフェイク技術を用いた偽造コンテンツの規制が進められている。日本においても同様の立法措置を講じる必要があると考えるが、政府の見解を問う。
四 ディープフェイク技術を悪用したコンテンツの流通を防ぐため、インターネットプラットフォームやSNS事業者に対し、削除対応を義務付ける法整備が現行法では十分に整備されていないと考えるが、政府の見解を問う。
五 ディープフェイク技術を悪用したコンテンツが、日本のクリエイターや企業のブランド価値を毀損し、創作活動の継続に悪影響を及ぼす可能性がある。現行の法制度ではこうした被害を十分に救済する仕組みが存在しないと考える。政府は、@クリエイターが自身の作品やキャラクターが不正利用された際に迅速に対応できる相談窓口の設置、Aディープフェイクによる経済的損失の補償策、B海外市場におけるブランド保護の強化など、ディープフェイク技術による被害に対する包括的な支援策を講じる必要があると認識しているか。
六 現行の名誉毀損罪および侮辱罪の適用範囲において、ディープフェイク技術を悪用したコンテンツ改変に対する明示的な規定が存在しないため、これらの刑罰を適用することができないと考えるが、その認識で相違ないか。
七 日本のコンテンツが著作権者の許諾なく海外で無断翻訳・改変される事例が増えているが、これにより著作権者の権利侵害のみならず、作品の意図が歪曲されるリスクも指摘されている。
 1 このような被害が発生した場合、日本政府は、@著作権者が迅速に対応できる相談窓口の設置、A海外プラットフォームとの協力による削除手続の簡素化、B国際的な著作権保護のための外交的措置などを検討する必要があると考えるが、政府の見解を問う。
 2 既存の法制度の枠内で対応可能な具体的な手続があれば明示されたい。
八 ディープフェイク技術を用いたコンテンツが、政治的プロパガンダや社会分断を目的とした認知戦に利用されるリスクが指摘されていることについて
 1 日本のアニメ・マンガ・ゲームのキャラクターを使用し、外国勢力が特定の政治的メッセージを拡散する可能性について、政府の見解を問う。
 2 現在の国内法において、@意図的な偽情報の拡散に対する規制、A国家安全保障上の脅威としての対応策、BSNS・プラットフォーム事業者との連携による監視体制の整備といった措置が可能か否か、具体的な見解を問う。
九 ディープフェイク技術を利用し、日本の歴史や文化を歪曲するコンテンツが作成・拡散されるリスクについて
 1 日本政府はどのように認識しているか。
 2 日本の戦争史や国際関係に関する偽造コンテンツが、SNSや動画配信プラットフォームで流通することで、日本の国際的評価に影響を与える可能性について、政府の見解を問う。
 3 前記1および2に対し、@外交的な抗議・訂正要請の手続、A国内外のプラットフォームに対する削除依頼の制度、B国際機関と協力した偽情報対策の枠組みの強化など、具体的な対応策を検討する必要があると考えるが、政府の見解を問う。
 
 右質問する。

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