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令和七年四月二十三日提出
質問第一五九号

がん検診の新技術に関する質問主意書

提出者  井坂信彦




がん検診の新技術に関する質問主意書


 日本人の死亡原因の第一位は悪性新生物(以下、がんという。)であり、長年にわたって一番多くなっている。国立研究開発法人国立がん研究センターによると、二〇二〇年に新たに診断されたがんは九十四万五千五十五例、二〇二三年にがんで死亡した人は三十八万二千五百四人、二〇〇九年から二〇一一年にがんと診断された人の五年相対生存率は男女計で六十四・一%となっている。長寿化が進んだ我が国において、一生のうちにがんと診断される確率は男性で六十二・一%、女性で四十八・九%と、二人に一人はがんを経験する時代となっている。
 がんの治療には長期の入院や高額な先進医療、高額な抗がん剤などが必要となるため、保険医療費の拡大や高額療養費制度の課題が議論されている。
 一方で、がんの早期発見・早期治療が進めば医療費の拡大は防ぐことができ、患者や家族にとっても苦痛や負担が少なくて済む。がん検診を充実させることが、健康寿命の延伸や医療費の削減等につながり、今後の我が国の医療の持続可能性を高めることになると考える。がんの予防や検査の充実を進めるため、以下、政府に質問する。

一 現在、厚生労働省の指針で定めるがん検診は、胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がんとなっている。しかしがん死亡者数では先述の五つ以外に、膵臓がん、肝臓がんが上位に入っている。またがん罹患数では、前立腺がんが上位に入っている。政府はがん検診の項目拡大についてどう考えているか、見解を伺う。
二 厚生労働省では、がん検診の受診率を六十%以上とすることを目標にしている。しかし実態は先述の五つのがん検診において、受診率は高いもので五十%台、少ないものは三十%台となっており、目標を達成できていない。厚生労働省は全ての国民ががん検診を受診しやすい環境の整備を進めるとのことだが、具体的な施策が必要と考える。がん検診受診者へ何らかのインセンティブを付与する、あるいは受診しない人にデメリットを与えるということを考えているか、政府の見解を伺う。
三 いわゆるPET検査は、一度にほぼ全身の撮影ができ、がんの有無や広がりを早期に発見できる検査方法である。しかし、がんなどの保険適用の疾病が見つかった場合に、治療の一環として保険適用でPET検査を受けられるだけで、初期発見のためにPET検査を利用する場合は保険適用にならず全額自己負担となる。精度の高いPET検診を、初期発見から保険適用ができるよう、見直し等を考えられないか、政府の見解を伺う。
四 国立研究開発法人である国立がん研究センターや国立長寿医療研究センターを含む共同研究グループは、いわゆるマイクロRNAからがんの種類を高い精度で区別できることを実証した。現在は尿を使ったマイクロRNA検査が実用化されているが、保険の適用にはなっていない。国立の医療研究機関が実証した技術について、政府のがん検診に組み入れるか、検診実施者に補助をするなどして推奨すべきと考えるが、政府の見解を伺う。
五 前記の他にも、様々ながん検診の研究開発が進んでいる。消化器がんの遺伝子検査であるマイクロアレイ血液検査、血液中のアミノ酸濃度から検査するAICS(アミノインデックス)、血液中のタンパク質などの物質の変化を調べる腫瘍マーカー検査、膵臓がんのリスクを調べる膵酵素、胃がんのリスクを調べるABC検診、遺伝性腫瘍を調べる生殖細胞系列遺伝子検査など、保険適用外のがん検診が多数存在する。こうした新技術に対して有効性を確認して、保険適用や補助をするなどして検診を推奨することが考えられるが、政府の見解を伺う。

 右質問する。

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