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令和七年四月三十日提出
質問第一七一号

フィリピン残留日系二世の就籍支援に関する質問主意書

提出者  屋良朝博




フィリピン残留日系二世の就籍支援に関する質問主意書


 日本人とフィリピン人との間に生まれ、第二次世界大戦後の混乱期にフィリピンに残されたいわゆるフィリピン残留日系二世(以下「残留日系二世」という。)は、戸籍についての届出がなされていないか、又は戸籍の所在が不明となったため、事実上の無国籍となっている。残留日系二世の日本国籍を回復するためには、家庭裁判所への就籍許可の申立て又は日本人父の本籍地自治体への出生事項記載申出のいずれかが必要になるが、父母の婚姻や自身の出生を証明する書類はほぼ滅失しているのが現状であるとされる。
 以上を踏まえ、次の事項について質問する。

一 中国残留邦人等に対する帰国支援のように、政府が積極的に動かないかぎり、身元を証明できる書類又は身元に関する証言のない残留日系二世の完全救済は不可能と考えられる。中国残留邦人等と残留日系二世に対する支援の違いについて、政府はどのように認識しているのか。
二 残留日系二世のうち、生存している就籍希望者が約五十名にまで減少したと聞く。残された時間は極めて少ないと考えるが、政府は速やかな救済の必要性を認識しているのか。
三 国籍を証明する証拠が不十分な残留日系二世について、速やかな救済が必要と考える。政府として、そのための施策を講ずる方針はあるか。あるのであれば、その詳細を伺いたい。
四 一九九〇年代後半から、残留日系二世等を記載申出人とする、日本人父とフィリピン人母の婚姻及び残留日系二世の出生に係る記載申出が、日本の民間ボランティアやNPOの支援により、父親の本籍地自治体に提出されてきたと聞く。前記支援により、何人の残留日系二世が父親の戸籍に記載されたか、政府は把握しているか。把握しているのであれば、その人数を伺いたい。
五 第二次世界大戦の激戦地となったフィリピンでは、同国各地の身分関係登録所及び統括機関である国家統計局(現フィリピン統計庁)に保管されていた書類が焼失したと聞く。このため、婚姻事項記載申出書や出生事項記載申出書に添付する婚姻証明書や出生証明書は、遅延登録とならざるを得ないとされる。高齢化する残留日系二世の就籍の際の遅延登録により作成された証明書の取扱いについて、政府の見解を伺いたい。
六 二〇〇七年頃より、婚姻事項記載申出及び出生事項記載申出に関する各法務局の審査が厳しくなり、遅延登録により作成された証明書について、教会の婚姻に関する記録や病院の出生に関する記録等、婚姻や出生の確実な裏付けとなる資料を求められるようになったと聞く。
 1 二〇〇七年頃より実施されているとされる審査の厳格化について、政府は把握しているか。
 2 審査の厳格化は、どのような事情によるのか。
七 残留日系二世の父母の婚姻事項記載申出又は残留日系二世自身の出生事項記載申出について、管轄法務局への照会の結果、記載不許可、不受理となり返戻された事例のうち、管轄の家庭裁判所への市町村長の行政処分に対する不服申立による審判の結果、最終的に受理された事例があると聞く。不許可、不受理事件で家裁への不服申立の結果、遅延登録の有効性が認められ、婚姻、出生の記載及び死亡の記載がなされた事例を政府は把握しているか。把握しているのであれば、それぞれの件数を示されたい。
八 父親の身元が判明していて入るべき戸籍があり、父親の婚姻証明書及び残留日系二世の出生証明書が遅延登録又は当時の記録で作成された場合、速やかに就籍を行うことが、残留日系二世の救済の一つの方法であると考える。
 1 現状、救済ができない理由はどのようなものか。
 2 救済に向けた改善策はあるか。
九 法務省のホームページには、「無戸籍でお困りの方へ」という特設ページが存在し、無戸籍解消の方法、手続及び解決事例等が紹介されている。いわゆる父系血統主義の時代に生まれ、出生の届出がない、又はフィリピンの日本領事館に届け出たが戦争により日本の本籍地自治体まで届かなかったために無戸籍状態にある残留日系二世は、まさに無戸籍で困っている人たちであると考える。戦災等で出生証明書等が滅失したという残留日系二世の特殊事情を踏まえれば、残留日系二世向けの無戸籍解消の方策が必要と考えるが、政府の見解を伺いたい。
十 石破総理大臣は、二〇二五年四月二十九日、フィリピンにおいて三名の残留日系二世と面会し、政府として、日本国籍の取得や一時帰国を支援する考えを伝えたと聞く。高齢化する残留日系二世に対して、早期に具体的な対応を進めねばならないと考えるが、どのような対応をいつまでに実施するのか、詳細を伺いたい。
 
 右質問する。

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