答弁本文情報
令和七年五月十三日受領答弁第一七一号
内閣衆質二一七第一七一号
令和七年五月十三日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員屋良朝博君提出フィリピン残留日系二世の就籍支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員屋良朝博君提出フィリピン残留日系二世の就籍支援に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の「完全救済」の意味するところが必ずしも明らかではないが、今次の大戦に起因して生じた混乱等により本邦に引き揚げることができず引き続き本邦以外の地域に居住することを余儀なくされた中国残留邦人等に対しては、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成六年法律第三十号)等に基づき、帰国旅費の支給等を行っている。他方、「フィリピン残留日系二世」については、戸籍に記載されていない場合や、日本人の子であることを隠して生活をしていた場合もあり、中国残留邦人等とは事情が異なっていたため、支援内容に違いが生じたものと承知している。
二、三及び十について
お尋ねの「速やかな救済」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、例えば、令和六年十二月十九日の参議院外交防衛委員会において、岩屋外務大臣が「日本政府としては、フィリピン残留日系人の方々の高齢化が進む中において、・・・身元確認につながる実態調査に係る予算をここ四年間で約六倍に拡大するなど、予算上の措置を既にとっているところでございます。」と答弁したとおり、御指摘の「フィリピン残留日系二世」の「国籍の取得」に向けて取り組んできたところであり、「フィリピン残留日系二世」の高齢化が進む中、希望する方々の一日も早い「国籍の取得」や一時帰国が実現するよう引き続き取り組んでまいりたい。
四について
御指摘の「日本の民間ボランティアやNPOの支援」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「記載申出」により「フィリピン残留日系二世」の出生事項が父の戸籍に記載された人数については、統計をとっておらず、お答えすることは困難である。
五について
お尋ねの「遅延登録により作成された証明書」の就籍許可の申立事件における取扱いについては、当該事件を審理する裁判所において個々の事例に応じて個別具体的に判断されているものと承知している。
六について
御指摘の「記載申出」により「フィリピン残留日系二世」の出生事項等が戸籍に記載されるか否かについては、国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)又は明治三十二年に制定された旧国籍法の定める要件を充足しているか否かにより決せられるものであり、お尋ねのような「二〇〇七年頃より」「審査の厳格化」が実施されているとの事実はない。
七について
御指摘の「記載不許可、不受理となり返戻された事例」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにしても、「遅延登録の有効性が認められ、婚姻、出生の記載及び死亡の記載がなされた事例」の件数については、統計をとっておらず、お答えすることは困難である。
八について
お尋ねの就籍の許可については、裁判所において個別具体的な事案に即して判断されるものであるが、政府としては、就籍届を含む戸籍の届出について、戸籍事務を担う市区町村において迅速に対応するよう、市区町村を管轄する法務局若しくは地方法務局又はその支局において助言をしているところであり、今後とも、市区町村等と連携しつつ適切に対応してまいりたい。
九について
お尋ねの「残留日系二世向けの無戸籍解消の方策」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、「フィリピン残留日系二世」の国籍について、身元確認につながる実態調査等の支援をしているほか、就籍届を含む戸籍の届出について、戸籍事務を担う市区町村において迅速に対応するよう、市区町村を管轄する法務局若しくは地方法務局又はその支局において助言をしているところである。