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令和七年六月十一日提出質問第二四八号
花粉症対策に関する質問主意書
提出者 長友よしひろ
花粉症対策に関する質問主意書
我が国において、花粉症の有病率は四割を超えていると推定されている。社会的・経済的に大きな影響を及ぼす花粉症の対策は、今日の我が国にとって重要な課題であると考える。
政府は、令和五年五月に決定した、花粉症対策の全体像(以下、全体像という。)において、令和十五年度(十年後)の花粉発生源となるスギ人工林の約二割減少と、将来(約三十年後)の花粉発生量の半減を目指し、スギ人工林の伐採量を増加させるとともに、花粉の少ない苗木や他樹種による植替えを推進することとしている。また、令和五年十月には、全体像が想定している期間の初期の段階から集中的に実施すべき対応を、花粉症対策初期集中対応パッケージ(以下、対応パッケージという。)として取りまとめている。
神奈川県においても、スギやヒノキなどの人工林が森林面積の四割を占めており、広範囲に飛散する花粉の発生源となっていることから、平成三十年に、神奈川県花粉発生源対策十か年計画を策定し、一般的なスギやヒノキの品種と比べて花粉生産量が少ない、あるいは全く生産しない品種の苗木(以下、花粉症対策苗木という。)の生産やスギ・ヒノキ林のいわゆる針広混交林化、花粉の少ないスギなどの植替えの取組を進めている。一方で、平成三十年度からの十か年で、混交林化面積五千ヘクタール、植替え面積三百六十ヘクタールの目標を掲げているが、令和五年度までの六年間で、ともに約三十%の進捗率となっている。
これらを踏まえ、以下政府に対し質問する。
一 全体像においては、令和十五年度にスギ人工林の約二割減少、将来的(約三十年後)に花粉発生量の半減を目標に掲げ、スギ人工林の伐採を決定当時の約五万ヘクタール/年から、十年後には約七万ヘクタール/年まで増加させるとしている。これに関連して、次の項目についてそれぞれ可能な限り示されたい。
1 全体像決定当時におけるスギ人工林の全国及び都道府県別の面積
2 1のうち、全体像における伐採の対象となるスギ人工林の全国及び都道府県別の面積
3 直近年度において伐採又は花粉の少ない苗木や他樹種による植替えを行ったスギ人工林の全国及び都道府県別の面積
二 林野庁は、平成三十年三月二十日の衆議院農林水産委員会において、神奈川県、東京都、埼玉県の一都二県のスギ、ヒノキの花粉症対策苗木への植替えには、単純計算ではあるが約三百五十年かかると答弁している。全体像及び対応パッケージによる取組を進めた場合における、全国のスギ及びヒノキの人工林を全て花粉症対策苗木へ植え替えるのに必要な期間についてそれぞれ示されたい。
三 対応パッケージでは、花粉発生源対策の一つとして、花粉の少ないスギ苗木の生産割合を決定当時の五割から十年後に九割以上に引き上げることを目指すとしている。神奈川県では、県内で生産しているスギ及びヒノキの苗木は全て花粉症対策苗木となっているとされているが、全国で花粉症対策苗木の供給を進めるためには、近隣の都道府県との広域的な連携や協力が必要であると考える。これに関連して、次の項目についてそれぞれ可能な限り示されたい。
1 花粉症対策苗木の全国及び都道府県別の生産量及び生産割合
2 花粉症対策苗木の生産・供給促進のための広域的な連携・協力に対する政府の取組
四 全体像及び対応パッケージにおいては、花粉発生源対策として、スギ材需要の拡大や林業の生産性向上等が掲げられているが、我が国の山林は急峻な立地が多く、木材搬出の困難さ、生産費用の高さなどによって、国産木材が利用されにくくなっているのではないかと考える。政府における、木材搬出を円滑に行うための支援及び生産費用軽減のための支援についてそれぞれ示されたい。
右質問する。