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令和七年十二月二日提出質問第九九号
児童発達支援管理責任者の現場運用の在り方に関する質問主意書
提出者 八幡 愛
児童発達支援管理責任者の現場運用の在り方に関する質問主意書
児童発達支援管理責任者(以下「児発管」という。)は、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)に基づく障害児通所支援事業において、個別支援計画の策定、モニタリング、支援内容の評価及び職員への指導等を担う中核的な専門職である。
しかしながら、現場からは、制度上の役割期待と実際の運用実態との間に大きな乖離があるとの指摘が相次いでいる。
すなわち、児発管が児童の様子を直接観察せずに個別支援計画を策定することは実務上困難である一方で、日常的に支援に従事すると、計画策定やモニタリングといった本来業務の遂行が難しくなる。このため多くの事業所では、「数か月に一度、支援現場に入り、児童の様子を把握した上で計画を更新する」という運用を採用しているが、この運用は法令上明文化されておらず、行政監査等において「現場に出すぎ」「出なさすぎ」といった判断が自治体ごとに分かれているのが現状であると承知している。
また、海外の例として、米国の特別支援教育制度においては、個別教育計画(IEP)を年に一度、夏季休業等の期間に集中して策定する仕組みが存在し、現場支援と計画策定業務を時間的に分離することで、専門職が業務に専念できる体制が制度として整えられている。
わが国においても、児発管の配置を実効的なものとするためには、計画策定及びモニタリング業務と現場支援の適切な関係を明確化し、一定の観察頻度や計画更新期間を制度的に位置付けることが求められると考える。
よって、以下質問する。
一 児発管が児童の様子を直接観察することなく個別支援計画を策定することの困難性について、政府はどのように認識しているか。
二 児発管が日常的に支援業務に従事した場合、計画策定及びモニタリング業務に支障が生じるとの現場の指摘について、政府としてどのように把握しているか。また、こうした現場の板挟みを解消するために、政府としてどのような運用上の工夫や通知等を行っているか。
三 児発管が数か月に一度程度、現場支援に参加し、児童の発達状況や支援内容を確認した上で個別支援計画を見直すといった実務運用を、法令、通知又はガイドライン等に標準的な手法として明文化することについて、政府の見解如何。
四 事業所の人員体制や業務分担に応じて、児発管が管理業務と支援現場業務を両立できるよう、児童指導員等の加配制度を拡充する考えはあるか。
五 米国等における、長期休暇期間に個別教育計画を集中的に策定する制度設計を参考に、わが国でも、児発管が個別支援計画の策定・評価に専念できる期間を制度的に確保する仕組みを検討する考えはあるか。
六 児発管の業務に関して、現場観察・記録・計画策定・評価の一連の流れを一体的に管理できるICTツールの導入を支援する必要性や、望ましい業務の在り方を優良事例として紹介する必要性について、政府の見解如何。
右質問する。

