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令和七年十二月三日提出質問第一〇二号
食品安全委員会事務局の在り方に関する質問主意書
提出者 上村英明
食品安全委員会事務局の在り方に関する質問主意書
二〇〇〇年代初頭に社会問題ともなった牛海綿状脳症(BSE)問題等において、農林水産省や厚生労働省がリスク管理とリスク評価の両方を担うことが、生産者や事業者の都合を重視して消費者を軽視したことにつながった等の反省に基づいて、食品安全委員会は、二〇〇三年七月、リスク評価機関として内閣府に設置された。農林水産省、厚生労働省等のリスク管理機関からの独立性が、食品安全委員会が科学的見地に基づいて実施する食品安全評価の客観性や中立性、公正性を担保するのに不可欠であることは、こうした同委員会の設立経緯からも自明である。
しかしながら、食品安全委員会によれば、二〇二五年十一月一日現在、同委員会の事務局職員合計六十四名のうち、農林水産省からの出向者が三十八名、厚生労働省からの出向者が二十一名の計五十九名であり、両省の出向者が常勤職員のほとんどを占めている。また、同委員会事務局の事務局長、次長、四名の課長の計六名(以下「事務局幹部」という。)の出身省庁の内訳は、農林水産省四名、厚生労働省二名であり、その比率は、両省からの出向職員の比率とほぼ同じの二対一である。
このように、農林水産省や厚生労働省というリスク管理機関からの出向者が、リスク評価機関である食品安全委員会事務局職員のほとんどを占めるという状態において、同委員会のリスク評価の客観性、中立性、公正性が十分に確保できるとは言い難い。
こうした問題認識の下に質問する。
一 食品安全委員会事務局職員の任命や採用に関する事務を所掌している部署を示されたい。
二 二〇二五年十一月一日現在、食品安全委員会事務局職員と事務局幹部における農林水産省出向者と厚生労働省出向者の比率が、ほぼ二対一となっている理由は何か。
三 食品安全委員会の設置後、毎年四月一日現在の同委員会事務局における@事務局職員の出身省庁別人数の内訳、A事務局幹部の出身省庁別人数の内訳をそれぞれ示されたい。
四 リスク管理機関である農林水産省と厚生労働省からの出向者が、リスク評価機関である食品安全委員会事務局職員のほとんどを占めていることは、リスク管理機関から独立しているはずの同委員会の存在意義、つまり、同委員会の客観性、中立性、公正性に対する疑念を生じさせ得るのではないか。疑念を生じさせないとすれば、その理由を示されたい。
五 食品安全委員会が設立されてから既に二十二年以上経過しており、本来であれば、その間、食品安全委員会あるいは内閣府のプロパー職員を採用・育成すべきであったと考えるが、なぜそのようにしてこなかったのか。現時点では、内閣府出身の常勤職員は一名のみと聞いているが、今後は、プロパー職員の割合を増やし、リスク管理機関からの出向職員の割合を減らすべきではないか。政府の見解を示されたい。
右質問する。

