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令和七年十二月五日提出
質問第一一六号

アクワイアラ制度の公共性に関する質問主意書

提出者  八幡 愛




アクワイアラ制度の公共性に関する質問主意書


 我が国では、キャッシュレス決済の普及が政策的に推進され、加盟店におけるクレジットカード・デビットカード・電子マネー・QRコード決済等の導入が急速に進んでいる。これに伴い、カード決済において中心的役割を担うアクワイアラ(加盟店契約会社)の影響力は、クレジットカード決済の仕組み上のみならず、国民生活に対しても大きくなりつつあると考える。
 アクワイアラは、加盟店審査、売上金の立替払い、国際ブランドネットワークとの接続、決済端末の管理、決済データの保持といった多岐にわたる業務を行っており、その機能は単なる金融サービスを超えて、決済インフラとしての「準公共」的性格を帯びつつあると考える。特に、医療機関、公共交通、公共料金、教育機関等におけるキャッシュレス化の進展に伴う加盟事業者の裾野の広がりにより、アクワイアラが事実上のゲートキーパーとして機能する場面は増加していると考える。
 我が国におけるアクワイアラ業務は、加盟店契約の透明性、審査の基準、決済端末のロックイン構造、QRコード決済との非互換性、不正利用対策の標準化不足、決済データの集中が競争政策上の課題を生む可能性など、制度上の論点は多岐に及ぶ。
 また、加盟店の入金サイクルや手数料の格差、加盟店審査における中小事業者の排除、決済代行事業者(PSP)を介する三層構造における責任の不明確性など、現場レベルでの課題も存在すると承知している。
 さらに、国際的には決済インフラの標準化や統合、不正利用対策基準の明確化、クラウド型のアクワイアリング、オープンAPI化などが進展している。我が国はこれらにどのように対応し、将来的に中央銀行デジタル通貨(CBDC)が導入された場合にアクワイアラ制度がどのように転換され得るかについても、見通しが求められていると考える。
 以上を踏まえ、政府に質問する。

一 アクワイアラ制度の公共的性格に関する政府の認識について
 キャッシュレス決済が公共交通、医療機関、公共料金支払い等にも浸透する中、アクワイアラが支払い手段としての公共的インフラの担い手として機能しているとの指摘がある。
 現状におけるアクワイアラの役割を、どの程度「公共性を有する業務」と考えているのか、政府の認識を示されたい。
二 加盟店手数料及び契約条件の透明性に関する制度的課題について
 加盟店手数料、入金サイクル、端末費用その他の条件がアクワイアラごとに大きく異なり、特に中小事業者にとって実質的な交渉力が乏しいとの指摘がある。
 政府は、手数料や契約条件に関する透明性確保について、現行制度の課題をどのように認識しているか。
三 アクワイアラの寡占状況及びイシュアとの垂直統合に関する競争上の影響について
 大手グループによるアクワイアラ業務の集中や、イシュアとの垂直統合が競争に与える影響について、公正な取引を確保する観点から政府はどのように評価しているか。 
四 地方におけるアクワイアラ機能の実態と地域格差について
 地方部や観光地におけるアクワイアラの契約環境、加盟店審査、端末導入の容易性等に地域差が存在する可能性が指摘されているが、政府は地域格差の実態についてどのように評価しているか。また、必要な是正策を検討しているか。
五 決済代行事業者(PSP)を介する多層構造における責任所在について
 加盟店、決済代行事業者、アクワイアラ、国際ブランドと進む多層構造による決済により、不正利用や情報漏えい発生時の責任が不明確となる事例があると承知している。
 政府は、近年の割賦販売法改正に基づくセキュリティ対策の評価も踏まえ、公平な責任分担の明確化を図る制度検討の必要性をどのように認識しているか。
六 加盟店審査における中小・個人事業者排除の実態について
 アクワイアラによる加盟店審査落ちの件数・理由・業種別・規模別の実態を政府は把握しているか。把握していないのであれば、キャッシュレス推進政策との整合性を踏まえ、加盟店審査の透明性確保や実態調査の必要性について政府の見解を示されたい。
七 決済端末(CAT端末・POS端末等)のロックイン構造と標準化について
 決済端末の仕様がアクワイアラごとに異なるため、加盟店が乗換えを行う際に端末再購入等の負担が生じ、競争が阻害されているとの指摘がある。
 端末仕様やAPI等の標準化ガイドライン策定の必要性について、政府の認識を示されたい。
八 カード決済とQRコード決済のインフラ分断による非効率性について
 我が国ではカード決済とQRコード決済が別インフラとして運用されており、加盟店における導入コストの二重化が生じている。
 政府は、決済手段間の相互運用性向上や統合型インフラの必要性について、どのように認識しているか。
九 アクワイアラ制度の見直しの必要性について
 キャッシュレス比率の上昇、フィンテックの進展、QR決済等の多様な決済手段の普及を踏まえ、アクワイアラ制度の在り方を検討し、包括的見直しを行う必要性があると考えるが、政府の見解如何。
十 中央銀行デジタル通貨(CBDC)導入後のアクワイアラ制度の再定義について
 CBDCが本格的に導入された場合、国際ブランドネットワークに依存しない新たな決済方式が普及し、アクワイアラの役割が大きく変容する可能性がある。
 CBDC導入後のアクワイアラの必要性、業務範囲、制度上の再定義について、政府の中長期的見解を示されたい。
 
 右質問する。

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